第1140回NEW

カードローンやクレジットカードのキャッシング枠は完済後に解約すべき?

住宅の購入を考えています。住宅ローンの審査の際、カードローンやクレジットカードのキャッシングの利用が関係すると聞きました。以前カードローンを利用していたことがあり、既に完済していますが、大丈夫でしょうか。(会社員 36歳)
カードローンを完済していても、いつでも利用できる状態ではローンの審査に影響する可能性があります。今後利用しないならなるべく解約した方がよいでしょう。
カード券面のイラスト

カードローンやクレジットカードのキャッシング枠は他のローンに影響する?

ローンにも様々なものがありますが、生活費やレジャー費などが不足して、カードローンやクレジットカードのキャッシングで資金を調達した経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

カードローンやクレジットカードのキャッシングだけでなく、教育ローン、マイカーローンなど他の様々なローンを利用すると、氏名、住所、契約内容、返済状況などの情報が信用情報機関に一定期間記録されます。これらの情報は、新たな借り入れの際、ローンの借入額や返済状況、また延滞の有無も含めて照会され、融資の判断材料となります。

カードローンやクレジットカードのキャッシングは、使途が自由で、契約時に設定した上限の金額(極度額)の範囲内なら繰り返し利用できるのが特徴です。つまり、完済後も解約しない限りいつでも利用できる状態です。返済が終わった後も「またお金が足りなくなったら使うかも」とそのままにしていると、他のローンを利用する際に影響が出る場合もあるのです。

住宅ローンの審査にどう影響する?

金融機関で住宅ローンなどを借りる場合には、年収や年齢、勤務先や勤続年数などが審査されます。また、信用情報機関の信用情報も照会されます。過去にカードローンやクレジットカードのキャッシングを利用したことがあっても、きちんと返済していれば他のローンの審査に悪影響があるわけではありませんが、延滞の履歴が残っている場合や、返済中の借り入れがあったら審査に影響が出る場合もあります。

住宅ローンでは返済負担率も重視されます。返済負担率とは、年収に対するローンの年間返済額の割合です。例えば、年収600万円で毎月のローンが15万円だったら、

15万円×12÷600万円=0.3となりますので、返済負担率は30%です。

返済負担率がどの程度までなら融資可能なのかは金融機関によって異なりますが、年間返済額は、住宅ローン以外のローンも含めて判断されますので、住宅ローンを申込む際にカードローンなどを利用していれば、その分住宅ローンで借り入れできる金額が減ることになります。また、カードローンを完済していたとしても、解約していなければいつでも借りられる状態であるため、返済負担率が増えやすいと判断され住宅ローン審査に影響がある可能性も考えられます。

カードローンやクレジットカードのキャッシングを完済後のおすすめの対応

住宅ローンなど金額が大きなローンを借りる場合には、審査への影響を減らすため、なるべく他のローンを利用していない方がよいでしょう。すでにカードローンを完済していて今後利用する予定がないなら、解約するのがおすすめの対応です。今後の生活で安易に利用するのを予防する対策にもなります。

クレジットカードのキャッシングを利用したことが無い場合でも、カード作成時にキャッシング枠を設定している可能性もあります。キャッシング枠の有無はクレジットカード契約時の書類や、カード会社の契約内容照会などで確認できます。利用しない場合には削除または0円にしておく方がよいでしょう。

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2025年07月17日