第945回

高級車を購入するときこそ、マイカーローン選びは慎重に!

自動車を購入したいと考えています。以前から憧れているいわゆる高級車と呼ばれる部類のもので、購入に向けて少しずつ貯蓄もしてきましたが、不足分はマイカーローンを利用する予定です。高額なので不安もあります。購入にあたり気を付けておくべきことを教えて下さい。(31歳 会社員)
マイカーローンは借入可能額が1,000万円までの商品が多いですが、一部の金融機関では1,000万円を超える融資にも対応しています。しかし、借入金額が大きくなるほど利息の負担も大きくなります。購入後のライフプランも考えた上で資金計画を立てましょう。

本体価格以外にかかるコストも意識して

自動車はそれ自体が高額な商品ですが、他にも購入時には税金や自賠責保険などの諸費用が、購入後にはガソリン代や車検費用などの維持費がかかります。また、自動車を購入することでドライブなどのレジャー費が増える可能性もあります。

自動車購入時の諸費用と維持費の例
購入時の諸費用 維持費
自動車・軽自動車税
自動車重量税
環境性能割
消費税
自動車リサイクル料
自賠責保険
その他諸費用
駐車場代
ガソリン代
自動車・軽自動車税
任意保険
車検費用
消耗品費

外車を購入する場合は、部品を海外から取り寄せる場合などもあり、国産車と比べて修理費用やメンテナンス費用が高くなる傾向にあります。さらに外車はハイオク指定の車も多く、燃費性能についても国産車の方が優れた車種が多いため、その分ガソリン代が高くなる傾向にある点についても考慮しておく必要があります。

長期的な家計の収支を考えた資金計画を

自動車の購入資金はできるだけ自己資金でまかないたいところですが、高級車ともなるとそうもいきません。希望の車種によっては本体価格が1,000万円を超えるものもあり、自己資金で不足する部分はマイカーローンを利用することになります。

マイカーローンは借入可能額が1,000万円までの商品が多いですが、1,000万円を超える融資に対応している金融機関も一部あります。また、借入期間についても最長10年の商品を取り扱う金融機関もあります。借入金額が高額になるほど利息の負担は大きくなりますが、無理をして返済期間を短く設定してしまうと毎月の返済が家計を圧迫しかねません。

仮に800万円を実質年率2%で借り入れるとして、返済期間7年と10年で比較してみたのが次の表です。借入期間7年の方が利息総額を30万円抑えることができますが、毎月返済額は2.8万円も増えてしまいます。これに加えて、維持費もかかります。

返済期間の違いによる毎月返済額、利息負担額の違い
(借入金額800万円、実質年率2%の場合)
借入期間 毎月返済額 総返済額 利息総額
84ヶ月(7年) 102,139円 8,579,677円 579,677円
120ヶ月(10年) 73,610円 8,833,235円 833,235円

※筆者による試算。最終回の毎月返済額は掲載の数値と異なる場合があります。

返済計画を立てる上で忘れてはならないのが、今後のライフイベントについてです。30代であれば結婚や出産、住宅購入など、大きなライフイベントと重なることもあるでしょう。そのときに返済を続けられるのか、ライフイベントに対応できる貯蓄を確保できるのかを考えながら、できるだけ家計への負担の少ない返済計画を立てましょう。

【参考リンク】

私が書きました

宮野 真弓 の写真

宮野 真弓 (みやの まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。

※執筆日:2021年10月05日