第890回

マイカー減税が再延長。自動車購入時の減税措置をチェック

コロナ禍が長期化するのではないかと思うと、マイカーがあれば、家族での旅行もできるかと思い、自動車購入を検討しています。どんなことに気を付けたらいいのでしょうか?(東京都・Sさん)
Sさんと同じように考えている人が増えてきているようです。自動車購入にあたっては、購入時、保有時にかかるコストを十分に理解し、税の軽減措置の対象となる車種も調べてみましょう。ローンを組む際は、借りやすさも大事ですが、金利負担なども考えてシミュレーションしておくといいでしょう。

2019年10月の消費増税時に変わっていた税制を再確認

自動車を購入した際にかかっていた自動車取得税が廃止され、2019年10月に「環境性能割」という新制度が導入されました。

自動車取得税は普通自動車が取得価額の3%、軽自動車が取得価額の2%というように、購入時の価格に対して一律課税されていました。環境性能割は、燃費性能に応じて、段階的に減税されるというもので、特に環境性能が高い電気自動車などは非課税となっています。

この新制度は消費税が10%に上がる際に導入されたもので、2020年9月30日までの1年間は、燃費にかかわらず1%軽減が適用されます。

環境性能割の臨時的軽減による税率

登録車(自家用の乗用車)の場合
対象車 通常の税率 臨時的軽減後の税率
(2019年10月1日から
2020年9月30日までの間)
電気自動車など 非課税 非課税
★★★★かつ2020年度燃費基準+20%達成車
★★★★かつ2020年度燃費基準+10%達成車 1.0% 非課税
★★★★かつ2020年度燃費基準達成車 2.0% 1.0%
上記以外の車 3.0% 2.0%

エコカー減税が再延長で、2021年3月31日まで適用に

間もなく、本来の臨時的減税措置の期限になりますが、これが半年延長となり、2021年3月末まで適用されることになっています。これは新型コロナウイルス感染症によって、需要減少をやわらげる意味合いもあります。

コロナ禍によって、さまざまな給付、補助金、社会保障の減免などが行われていますが、自動車関連に関しても、取得時にかかる環境性能割の減税措置の延長で対応したということになります。

また、県をまたぐ移動の制限によって、思うように外出できない状況が続いています。日常的に、公共交通機関の利用をできるだけ控えたいと思っている人も少なくありません。これまでマイカーを保有していなかった人も、コロナ影響が長引くなら、マイカー購入を考えるという流れにもなっています。

ただ、購入時にかかる税金については、減税措置が延長されますが、自動車を保有していくためには、さまざまなコストがかかります。保有していることでかかる自動車税、数年に1度の車検費用、任意加入の自動車保険、ガソリン代など、これまで不要だったお金が出ていくことになります。今後の収入予測、家計収支を十分確認してから、購入するようにしましょう。

ディーラーローン、マイカーローン。どちらにするか、よく検討を

購入にあたっては、環境性能割の対象車であるかどうかも大切ですが、得てして燃費性能の高い電気自動車やハイブリッド自動車は高額になりがちです。予算をしっかり決め、その範囲内で購入することが最も大事です。

もしローンを組む場合、ディーラーローンにするか、マイカーローンにするかで金利負担は大きく異なります。ディーラーローンは審査基準がそれほど厳しくなく、ディーラーにおまかせで手間もかかりません。キャンペーンなどで金利を低くしている場合もありますが、総じて、銀行などの金融機関が扱っているマイカーローンに比べると金利は高めです。

マイカーローンは自分で金融機関に申込みをしなければならず、審査結果次第で金利が決まる点が、面倒と思うかもしれませんが、ディーラーローンより金利が低くなるケースが多いので、返済額を少しでも減らしたいなら、まずはマイカーローンを優先に考えてみてもいいでしょう。

車種の検討と合わせて、マイカーローン選びでは返済シミュレーションなど使い、経済的な負担を減らすような資金計画を立てるようにしましょう。

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私が書きました

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伊藤 加奈子 (いとう かなこ)

ファイナンシャル・プランナー。

大学卒業後、リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。不動産、住宅、マネー情報誌の編集者、マーケティングプランナーを経て2003年独立。フリーランスで各種媒体のエディトリアルアドバイザーを務める。2013年沖縄移住後は、各種WEBサイトに不動産、ライフプラン、マネープランに関するコラムの執筆を中心に活動中。

※執筆日:2020年09月04日