第517回

貯めて買う?それともローン?消費税増税を控えたマイカー取得

車の買い替えを考えています。200万程度の車をできれば現金で買いたいのですが、資金はこれから貯めるところで、月4万円ずつ準備していこうと考えています。ただし、貯まる前に消費税が上がってしまいそうなので、消費税が上がる前にマイカーローンを併用して購入した方が得なのか、それとも現金が貯まるまで待つべきか、悩んでいます(Aさん31歳、会社員)。
エコカー減税に該当するものは、やはり消費税増税前に購入した方が有利です。毎月貯蓄できる習慣ができているのであれば、低金利のマイカーローンも上手に活用して早めに購入してみるのも良いのではないでしょうか。

迫る消費税増税。買い時はやはり今年中?

消費税は2014年4月に8%(+3%)へ、2015年10月に10%(+5%)へと、2段階でアップする予定です。「予定」と書いたのは、実際にこのスケジュールで消費税を上げるかどうかは今年の秋に判断することになっているので、まだ確定ではないためです。アベノミクスでは「実質経済成長率2.5%程度」を掲げており、これを下回れば見直される可能性も残っています。しかし、消費税が上がる前提で心づもりはしておいた方がいいでしょう。

例えば、現在人気のあるトヨタ「アクア」(新車価格で169万円~196万円)をイメージして、予定通りに消費税がアップした場合はどれくらいの負担増になるかを確認してみましょう。

【参考リンク】

計算上、車体価格を200万円とした場合、消費税が5%→8%→10%にアップすると、10万円→16万円→20万円と増え、消費税率5%時に比べ+6万円、+10万円と負担が増えます。

この負担を軽減するため、自動車取得税の廃止も決まっています。自動車取得税は車の購入時にかかる税金で、消費税との二重課税が指摘されていたものでもあります。自動車取得税率は5%(軽自動車は3%)で、新車価格をベースとする「取得価額」(車体価格の9割)に税率を掛けて計算します。消費税が10%に上がる2015年10月に廃止されることになっています。200万円の新車の場合は9万円で、消費税増税分をやや下回る額です。

ただし、元々導入されていたエコカー減税(2015年3月31日まで)の対象になる所定の環境性能に優れた車の場合、自動車取得税、自動車重量税がすでに50%~100%免除となっています。例として取り上げた「アクア」は100%免除適用車のため、エコカー減税ありきで考えると消費税増税分がやはり負担増となり、増税前の方が買い時と言えます。エコカー減税適用車の場合は、同様のことが言えます。

【参考リンク】

貯めて買う?借りて買う?

エコカー減税適用となる環境にやさしい車を購入するのであれば、消費税増税前がいいと前述しましたが、質問者のように、自動車購入資金が十分でない場合はどう考えればいいのでしょうか。

消費税が8%に上がる2014年4月までは約11ヵ月ありますが、少し余裕を見て、8ヵ月後に買い替えると想定して準備をしたとします。車購入のために無理なく貯蓄できる月4万円は積み立て、同時に有利なマイカーローン探しを進めておきます。前述の通り、200万円の車を購入することを想定して、今から8ヵ月後、自動車購入用の貯金が約30万円。購入金額不足分が170万円となります。

このときに、マイカーローンを年度内に使用した場合の効果についてみてみましょう。

購入不足金額である170万円のマイカーローンを金利3%で借りたとすると、48回の元利均等払いで月3万7,628円。積み立てを毎月4万円ずつ8ヵ月間継続できた実績から、購入後にマイカーローンに置き換わったとしても、4万円以下ならやっていけるものと考えられます。貯蓄分(30万円)とローン返済分(170万円+利子)も含めた支払総額は210万6,144円となります。マイカーローンの利子が10万6,144円ですので、2015年10月以降の消費税10%で増える分10万円とほぼ同額となります。将来的に、貯蓄により、現金での支払いの割合を増やしてから、マイカーローンを利用すれば、利子を抑えて自動車を購入することができますが、購入のタイミングによっては、年内に買ったときと同等の消費税が上乗せされることになります。利子を家計のバランスをとるためのコストとして納得することができない場合は、ボーナスなどからも資金を足して、できるだけ小さいマイカーローンを組んで、できれば早めに返すことです。そうすることで、消費税の増税前に購入する恩恵がより実感できます。

<貯蓄分>

毎月4万円×8ヵ月=32万円 ⇒うち30万円を現金で捻出したとする

<マイカーローン>

170万円のローンを実質年率3%、元利均等返済で借りると・・・
48回払い:3万7,628円/月(合計180万6,144円)

(参考)36回払い:4万9,438円/月(合計177万9,768円)

もし、マイカーローンの負担が大きい場合は、無理をしないことも大事です。より有利な金利のローンを探すか、あるいは購入する車種を変更するか新車でなく中古車にして予算を引き下げる、といった方法もあります。ほかにも、返済期間を延ばすか、そもそも消費税増税などを気にせずもう少し貯蓄する、といった方法もあります。車は維持費もかかる固定費ですので、重すぎる負担を抱え込まないことを心がけましょう。

私が書きました

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豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2013年04月26日