第1027回

マイカーローンを比較する際は、金利の決まり方も確認しよう!

マイカーローンを活用して自動車を購入しようと思っていますが、調べてみると、実にさまざまな金融機関が商品を提供しています。商品によっては金利に幅があり、自分が借り入れる時に金利が何%になるかわからないものもあります。マイカーローンを選ぶ時のポイントを教えてください。(30代 会社員 男性)
マイカーローンは、それぞれの金融機関が独自に申込条件等を設定して特徴を持たせています。選ぶときは、表面的な情報だけを比較して決めるのではなく、細かい条件や金利の決まり方等を確認した上で、できるだけ経済的負担の軽いものを選択するようにしましょう。

金利の決定方法は、金融機関によって異なる!

マイカーローンの金利は金融機関が独自に決定しますが、決定方法にはいくつかのパターンがあります。金利の幅を提示している金融機関の場合、借入金額によって適用金利を決める金融機関と、サービスの利用状況によって適用金利を決める金融機関があります。また、金利幅を示さず、シンプルに単一の金利を提示する金融機関もあります。

例をあげて見てみましょう。

金利幅を提示し、借入金額によって適用金利を決める金融機関の例
金利:0.950%~2.350%
  • 借入金額900万円以上の場合:0.950%
  • 借入金額500万円以上899万円以下の場合:1.750%
  • 借入金額499万円以下の場合:2.350%

この例の場合は、自分が購入しようとしている自動車の価格や頭金によって借入金額が決まり、適用金利が決定します。高額な自動車を購入して借入金額が大きくなれば、より低い金利が適用され、負担が軽減される可能性があります。

金利幅を提示し、他のサービスの利用状況によって適用金利を決める金融機関の例
金利:1.500%~2.000%
  • 当行で次の対象取引のある方(「給与の受け取り」・「住宅ローン」・「カードローン」のいずれか1つ以上):1.500%
  • 対象取引のない方:2.000%

この例の場合は、金融機関の他のサービスを利用しているかどうかで、適用金利が変わります。マイカーローンの検討をする際は、まず、現在取引をしている金融機関の商品をチェックしてみるといいでしょう。

金利幅を提示せず、単一の金利を示す金融機関の例
  • 金利:1.7000%

この例の場合、適用金利は決まっています。ただし、インターネットでの申込みが必須となる場合があります。

3つの例で見てきたように、金融機関によって金利の決まり方はさまざまです。どのような条件で金利が決定されるのかを、商品ごとにしっかりと確認する必要があります。

また、上記の他にも電気自動車等の環境対応車を購入する場合に金利優遇が適用される金融機関が多数あります。

地域、金利タイプ、保証料や事務手数料などのコストの確認も必要!

マイカーローンの選択時に確認すべきことは、金利の決まり方や適用金利だけではありません。地域、金利タイプ、コストなどもチェックしておきましょう。

金融機関によって、利用できる地域を限定している場合や、全国対応している場合があります。自宅住所や勤務先住所を対象外としている金融機関は、比較検討の対象から外す必要があります。

変動金利、固定金利といった金利タイプの確認も重要です。変動金利の場合、返済中に金利が上昇して返済額が増えるリスクがあります。一方、固定金利は、借り入れ時の金利が返済中に変わらないため、返済額が途中で増減することはありませんが、一般的に借り入れ時の金利は変動金利より高い傾向にあります。

コストについては、保証料の負担の要・不要、事務手数料の有・無、繰上返済手数料の有・無などをチェックしておく必要があります。

その他、団体信用生命保険の有・無や、手続きに関する来店の要・不要、インターネット繰上返済の可・否、申込みから借り入れまでの期間などもあらかじめ確認しておきたいものです。

購入する自動車を決めた後、マイカーローンを選ぶまでの期間が短いと、急いで決める必要に迫られ、十分な比較、検討ができない可能性があります。マイカーローンの活用を前提とするのであれば、自動車を選ぶ前から、あるいは、自動車選びと併行して、複数のマイカーローンをじっくりと比較、検討し、できるだけ経済的な負担が軽くて有利なものや、手続き等の利便性が高いものを選ぶようにしましょう。

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私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。株式会社 ワーク・ワークス代表取締役。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2023年05月12日