第13回

【個人事業主向け】事業資金の融資について知っておきたいポイント!

事業をするうえで必要となる事業資金。起業したばかりで資金が不足してしまうと、思うように事業を行うことができません。できれば無借金経営を目指すことが望ましいですが、事業拡大を図るには大きな資金が必要になる場合もあります。そんなときに、資金調達方法がわからないと大きな壁にぶつかってしまうかもしれません。
今回は、個人事業主向けの事業資金の種類や融資について、知っておきたいポイントを解説します。金融機関別の資金調達方法や特徴、事業資金の融資の活用方法についてもあわせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。

事業資金とは

事業をするうえで必要なあらゆる資金を総称して「事業資金」と呼び、主には以下の種類に分けられます。
・開業時に必要な創業資金
・仕入れから販売代金を回収するまでに必要となる運転資金
・従業員に給料を支払う資金
・事業に必要な設備資金
・事業拡大に伴う仕入れ資金

これらの事業資金については、個人事業主としても「いつどのような性質の資金が必要になるか」をしっかりと把握しておくことをおすすめします。それは多くの企業が事業資金を金融機関からの借り入れによって賄っている現実があるからです。

例として、中小企業庁が公表している2019年度版「中小企業白書」では、2017年度における中小企業の無借金企業の割合は約34%でした。これは裏を返すと中小企業の65%以上は銀行などから融資を受けているともいえます。

場合によっては必要となる事業資金の融資ですが、そもそもの目的を明確にするとともに融資を受ける際は、その注意点を押さえておく必要があります。

事業資金の種類と目的

事業資金の代表的な種類を見ていきましょう。

  1. 起業資金
    「起業資金」とはその名の通り、事業の立ち上げに必要な資金を指します。現在はパソコン一つで起業をすることもできる時代です。しかし、店舗を構えるには不動産を借りる必要があります。ゼロから始めるので、仕入れや従業員の賃金、機械や車両の購入資金など、事業が軌道に乗るまでに多額の先行資金が必要となることは決して珍しいことではありません。
    起業時は自己資金や家族のお金で何とか資金を賄うことも多いですが、開業計画書を作成して金融機関から融資を受けるケースも多くあります。
  2. 設備資金
    「設備資金」とは、機械機器や車両など設備投資に必要な資金を指します。パソコンや営業車両の購入、店舗の内装工事や商品を生産する機械、場合によっては自社ビルを購入することもあるでしょう。古くなったものを買い換える維持修繕費もあれば、最新機械設備導入による事業拡大・多角化のための費用など、目的はさまざまです。
    融資を受けた場合、設備導入効果による利益から返済できなければ事業の継続は困難になります。そのため、設備投資による利益増加が見込める綿密な事業計画書を作成して、金融機関から融資を受けることが必要です。
  3. 運転資金
    「運転資金」とは、一般的に営業活動を行うために必要な資金を指します。販売代金回収までに先行する仕入れや材料費の支払い、外注費や人件費、光熱費の支払いなど、通常の営業活動を行うために手元に確保しておかなければならない資金です。資金繰りの安定を目的として手元に資金を確保したいときに金融機関から融資を受けるケースが多いでしょう。

事業資金の融資における注意点

確定申告はしっかりと!

個人事業主が融資を受ける際に必要となるのが「確定申告書」です。金融機関は、法人なら「決算書」、個人事業主なら「確定申告書」を精査して資金繰りや財務内容をもとに審査します。つまり、個人事業主は確定申告書の内容がしっかりしていれば、法人と変わらず事業資金の融資を受けることが可能です。

金融機関は、事業性資金の審査をするときに納税証明書の提出も求めてきます。確定申告をしていなかったり、税金を滞納していたりすると融資を受けるのは困難です。また、個人事業主が所得を低く抑えることは銀行もある程度把握しているので、所得が低いからといって必ずしも融資を断られるわけではありません。適切に確定申告をして滞納なく納税を行っていれば、融資を受けることが期待できます。

資金繰りが重要(運転資金のショート)

事業資金の融資は、資金繰りに重点を置いて審査します。所得が低くても資金繰りが円滑であれば、融資は受けられます。たとえば、小売店であれば、商品を仕入れ、その販売代金が売上になります。

仮に利益がわずかでも商品仕入れから販売までの資金の流れや回収原資が明確であれば、事業を行うために必要な資金として運転資金の調達が期待できるでしょう。また、運転資金がどのようにショートして、回収原資は何なのかを的確に金融機関の担当者へ説明できることも大切になります。

虚偽の申込みは金融機関との取引ができなくなる

事業資金の融資を受けるには資金の目的をはっきりさせなければなりません。事業資金の使い道のことを資金使途と呼びますが、資金使途を偽って申込みをしたことが発覚すれば、融資を断られるばかりでなく、金融機関との今後の取引にも影響します。

たとえば、営業車両を購入すると偽って運転資金に使用しても、領収書の提出を求められることがあります。決算書の減価償却費明細からも発覚してしまいますので、偽って申込みをするのはやめましょう。さらに虚偽の申込みが発覚すれば、融資したお金の一括弁済を請求されることになりかねないので注意が必要です。

個人ローンを事業資金へ利用するのは厳禁!

カードローンを含め個人ローンのほとんどが事業資金の利用を認めていないので注意が必要です。虚偽の申込みは金融機関からの信用を失います。法人と違い個人事業主は個人名で借り入れを行うことになります。だからこそ、事業資金と個人の生活費の使い分けを普段から厳格に行う必要があるのです。

事業資金の調達方法とは

事業資金の調達ついて代表的な例を見てみましょう。

事業資金の調達先

銀行、信用金庫

最もポピュラーな調達方法は銀行や信用金庫などの金融機関から受ける融資です。これは各都道府県にある信用保証協会を利用することで融資が受けやすくなる保証付融資と、銀行独自の判断で融資を行うプロパー融資と呼ばれる2種類が一般的です。返済期間は数か月での一括返済や長期の場合は5~7年ほどが基準となります。

日本政策金融公庫

政府が100%出資している政策金融機関の日本政策金融公庫も銀行融資の一つになります。この日本政策金融公庫ですと一般的な金融機関よりも審査に柔軟性があるため、「新規開業資金」など起業時に利用する方も多いでしょう。固定金利で金利が比較的低く調達コストが抑えられるため魅力的です。

ノンバンク

ノンバンクとは銀行以外の預金の受け入れを行わずに資金の貸付けなどを業務とする金融機関のことをいい、資金使途を問わない個人向けカードローンや事業者向けのビジネスローンを取り扱っています。

ノンバンクのビジネスローンの融資限度額は、事業の規模や収支状況に応じて判断されますが、1,000万円程度を上限とする金融機関が多いようです。しかし、審査スピードは速く、急な資金にも対応できるのは大きなメリットと言えます。

不動産を担保に事業資金を調達する

ビジネスローンの中には、事業資金に利用ができる「不動産担保ローン」と呼ばれる有担保型のローンがあります。金融機関は、不動産担保があれば、最悪の場合には担保を処分することで貸出金の回収が図れると考えます。したがって、安心感がある分、金利を低くしたり、審査を通りやすくしたりすることができるのです。有担保型のローンなら、担保となる不動産の価値も考慮して審査をするので、不動産の価値が高ければ、一般的なビジネスローンよりも大きな金額の融資を受けることが可能になります。中には35年の長期の返済が可能なものもあります。

不動産の調査や抵当権・根抵当権の設定などで融資を受けるまでに時間がかかり、担保設定費用などの費用がかかるデメリットもあります。しかし、起業したばかりで銀行からの信用が得られない場合や、多額の資金が必要で長期の返済を希望する場合には、有担保型のローンを利用するのも一つの方法です。

銀行のプロパー融資とビジネスローンの比較

銀行のプロパー融資とビジネスローンの違いを比較してみましょう。

  銀行のプロパー融資 ビジネスローン
融資の限度額
銀行独自の審査基準で決定するため原則限度額なし
500万円~1,000万円程度が上限
審査難易度
厳しい
比較的通りやすい
金利
銀行独自の審査や財務内容により決定するが比較的低金利(場合によっては1%を切ることも珍しくない)
5~15%程度 
銀行系は比較的金利が低いが、プロパー融資に比べると高め
融資スピード
数ヵ月程度かかることもある
即日から1週間程度
担保
融資の目的や信用状態によって必要
不要
連帯保証人
信用状態など場合によって必要
不要

銀行のプロパー融資は、すべて銀行独自の審査次第となることがわかります。ただし、厳しい審査を通過できれば低い金利で融資を受けられることや、物件購入といった大きな金額の相談も可能です。今後の事業拡大や法人設立など多くの相談に乗ってもらえ、メイン銀行と良好な関係を築くことで得られるメリットは大きいでしょう。

銀行プロパー融資とビジネスローンの使い分け(活用方法)

時間があるときは銀行プロパー融資

銀行プロパー融資は、審査が厳しいうえに融資を受けるまでに時間がかかってしまうことがありますが、低金利で大きな額の資金調達が可能です。

運転資金を急ぐならビジネスローン

審査スピードを考えるならビジネスローンがおすすめです。長く事業をしていれば緊急事態が起こる可能性もゼロではありません。いざというときに、審査に時間のかかりがちな銀行プロパー融資では資金調達が間に合わない可能性があります。ビジネスローンには即日融資が可能な金融機関もあるので、事前に確認しておくと万が一のときも安心でしょう。

ビジネスローンと銀行プロパー融資の併用

両者のメリットを上手に使い分けることも事業戦略の一つです。銀行プロパー融資は、低金利なだけではなく、実績を作り信用を積み上げていけば多くのメリットが生まれます。ビジネスマッチングのように銀行の取引先同士で商談の機会を作ってくれたり、関連会社のサービスを提供してくれたりすることも期待できるでしょう。また、住宅ローンや年金の相談などさまざまなサービスを受けることができます。

一方、ビジネスローンにはカードローンタイプの商品も多くあります。契約時に極度額(利用上限額)を設定するため、極度額の範囲内であれば、いつでも繰り返し簡単に融資を受けることが可能です。「資金が即日必要」といった、いざというときのためにもカードローンタイプのビジネスローンは事前に契約しておくと重宝します。

ビジネスローンのメリットとは

ビジネスローンのメリットを整理してみましょう。

  1. カードローンタイプ(当座貸越タイプ)であれば限度額まで繰り返し融資が受けられる
    必要なときに必要な金額だけ短期で借りれば、利息負担は抑えられます。月末の一時的な支払いで利用し、売上ですぐに返済するというような無駄のない借入が可能です。コンビニATMが利用可能な会社もあります。
  2. 赤字決算でも融資が受けられる場合がある
    銀行プロパー融資と比較して「審査が通りやすい」というのは大きなメリットです。金融機関は貸し倒れのリスクを考慮して金利を決めています。金利が高いのは、多少の貸し倒れがあったとしても収益があげられるとの判断でもあるのです。
    いつも利益を計上しているが一時的な理由で赤字になってしまった場合や、売上規模に比べて借り入れの負担が少ない場合、赤字解消の見通しがあり将来性がある場合など、返済能力があると判断されれば融資が受けられる可能性はあります。ただ単に赤字だからというだけで融資が断られるわけではありません。そのため、仮に赤字決算で銀行のプロパー融資は難しくても、ビジネスローンなら審査が通ることがあるのです。
  3. 無担保無保証人で融資が可能
    ビジネスローンは、個人ローンと同様、担保や保証人を提供できない人でも融資が受けられます。
  4. 来店不要、最短即日融資も可能
    最近では、ネットやWEBの利用により来店不要で契約ができる金融機関も増えています。即日融資が可能な金融機関もあり、個人ローン同様、申込み方法も簡単です。

まとめ

事業をするうえで必要なあらゆる資金を総称して事業資金と呼びますが、代表的なものに「起業資金(創業資金)」「設備資金」「運転資金」の3種類があります。これら事業資金について、個人事業主が融資を受けるには、確定申告をしっかりと行い、資金繰りや資金使途に気を付けることが重要です。

銀行プロパー融資は、低金利で融資の目的によっては大きな金額を借り入れすることができます。ビジネスローンは、金利が比較的高い半面、審査が早く最短即日での利用も可能です。しかも、カード型なら何度でも必要なときに繰り返し利用することができ、利便性が良いでしょう。

余裕があるときは銀行プロパー融資でじっくりと信用を付け、急な支払いはビジネスローンを利用して短期で借りるなど、場面に合わせて上手に使い分けるのが賢明です。

日本最大級のローンポータルサイト「イー・ローン」では、ランキングを発表しています。自分の条件に最適なローンを探すためにもさまざまな視点からなるランキングをチェックしてみましょう。総合ランキング、実質年率ランキング、アクセス数ランキング、申込数ランキングなど、一目で確認することが可能です。

ライター紹介
加治 直樹(かじ・なおき)
氏名
加治 直樹(かじ・なおき)
保有資格
1級FP技能士、社会保険労務士
主なキャリア
銀行に20年以上勤務し、融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士及び特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタントを目指す。法人個人を問わず対応可能で、会社と従業員双方にとって良い職場をつくり、ともに成長したいと考える。

融資の審査に関する内容につきましては、特定の金融機関がお申込みされたお客様に対して独自に行うものであり、当社は審査の過程および結果については一切関与しておりません。また、特定の金融機関の審査への適合性、正確性、完全性について保証するものではありません。