第813回

確定申告でビジネスローンも経費にできる?

昨年、会社を辞めて自宅の一室を仕事場にしてフリーランスで仕事を始めました。 そのとき、事業資金が必要でビジネスローンを借りました。 今年、フリーランスになって初めて確定申告をするのですが、ビジネスローンで返済しているお金は経費にできるのでしょうか? その他、経費について教えてください。(F・Yさん/29歳)
フリーランス(個人事業主)の人は、毎年、確定申告が必要です。 初めての確定申告とのことで、何が経費になるかよくわからないでしょう。 ビジネスローンなどの借入金は、利息と、借入にかかった手数料などを経費にできます。 詳しく説明するとともに、間違いやすい経費についても触れておきます。
小川 千尋
小川 千尋

ビジネスローンは利息と手数料を経費に計上できる

フリーランスは、事業(仕事)を行うために使った費用を経費として売上から差し引けます。 経費は幅広く、下記のような勘定科目があります。 これらの科目のうち、自分の仕事で使った科目に経費を計上すればいいのです。

表1 経費の勘定科目の例
水道・光熱費 荷造運賃 旅費交通費
通信費 広告宣伝費 接待交際費
修繕費 消耗品費 減価償却費
福利厚生費 給料賃金 外注工賃
利子割引料 地代家賃 貸倒金
損害保険料 租税公課 雑費

勘定科目のうち、借入金に関する科目は「利子割引料」です。 これは、事業のための借入金の利息や、手形の割引料などです。 F・Yさんの質問にあるビジネスローンも事業のための借入金にあたり、利息のみが経費になりますが借入元本は経費として認められないわけです。

昨年、借り入れをするときに、手数料や保証料、印紙代などがかかっていたら、それは、経費になります。 また、今後、繰り上げ返済をして手数料がかかった場合も経費になります。

さて、確定申告は1年間(1月1日~12月31日)の所得と所得税額を確定するための手続きですから、今年の確定申告で経費に計上できるのは、昨年1年間に支払った利息と手数料などです。

例えば、100万円を4.5%、3年返済(元利均等返済)で借りた場合で見てみましょう。 返済開始は4月からとします。 このケースでは、借入するときに手数料はかかっていないとすると、4月から12月までの9か月間に支払った利息合計の30,204円が経費です。

表2  返済明細
支払い月 返済額 元本分 利息分
2018年4月 29,746 25,996 3,750
5月 29,746 26,094 3,652
6月 29,746 26,192 3,554
7月 29,746 26,290 3,456
8月 29,746 26,389 3,357
9月 29,746 26,488 3,258
10月 29,746 26,587 3,159
11月 29,746 26,687 3,059
12月 29,746 26,787 2,959
合計 267,714 237,510 30,204

単位:円

フリーランスの経費で間違いやすいものは?

フリーランスの経費で間違いやすいものをいつくかあげておきましょう。

仕事を始めるにあたって仕事場として賃貸物件を借りた場合は、借りるためにかかった費用や引っ越し代、引っ越し後の家賃、水道・光熱費、通信費は経費になります。

しかし、自宅の一部を仕事場にする場合は、家賃(持ち家の場合は固定資産税、管理費など)や水道・光熱費、通信費は、仕事で使っている分と私的に使っている分を分け、仕事に使っている分のみが経費になります。 仕事の内容によっては、水道代とガス代は経費と認められないことがあります。 ちなみに、家賃は仕事と私的で使っている面積で、電気代と通信費は時間で按分するとわかりやすいでしょう。

また、仕事を始めるにあたって、仕事のために10万円以上のパソコンやコピー機、カメラ、オフィス家具、車などを買った場合は、消耗品ではなく「資産」になります。 このため、一定期間にわたって減価償却していき、確定申告ではその年1年分の減価償却費を経費にできます。

そして、フリーランスは、仕事相手に迷惑をかけないための健康管理も大切です。 そのため、定期的に健康診断を受けたり、人間ドックを利用したり、スポーツクラブで身体を鍛えたりする人も多いでしょう。 しかし、そのお金は「福利厚生費」として経費にすることはできません。 福利厚生は、従業員の勤労意欲向上などを目的とした活動で、従業員ではないフリーランスには福利厚生という概念はないからです。

なお、自宅で仕事をしていると、たまには気分転換で近所のカフェで仕事をしたくなるときもあるでしょう。 こんなケースのカフェ代は「雑費」で経費に計上できます。

【参考リンク】

担当:小川 千尋 (執筆:2019年02月01日)