第797回

ファイナンスを理解し、経営戦略を昇華

最近、「ファイナンス」についての関連書籍が多いと感じています。経営者である自分も会計に関する知識はある程度持っているつもりですが、ファイナンスも必要な知識なのでしょうか。(会社経営者Tさん54歳)
会計の知識をすでに持っていらっしゃれば、ファイナンスの知識も合わせ持つことで事業経営に役立つことは間違いありません。ファイナンスを学んでビジネスに生かしてはいかがでしょうか。
福島 佳奈美
福島 佳奈美

まずは、会計の基礎知識について振り返ろう

会計では、事業を評価する「ものさし」として損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー表計算書のいわゆる財務三表を作成しています。 損益計算書は、四半期や1年といった期間内での会社の事業における売上、支払費用、それに伴う損益を表すもの、貸借対照表は、ある時点においての会社の財務状態を資産、負債及び資本を表すものです。 またキャッシュフロー計算書では、ある時点においての過去の現金の流れ、つまり現金の増減を表しています。 これらの財務三表を読み解く会計の知識は、事業経営には不可欠なものとなっています。

また会計には投資家など社外に経営状態を情報提供するための財務会計、税金を計算するための税務会計、企業内部で経営に利用するための管理会計がありますが、管理会計を経営戦略に生かしている会社もあるでしょう。

会計とファインスとの違いとは?

最近話題となっているファイナンスは、会計の考え方とどう違うのでしょうか。 朝倉祐介氏の著書「ファイナンス思考」(ダイヤモンド社)では、ファイナンスとは会社の価値を最大化するために投資家等の外部から資金を確保し、その資金を事業投資等にまわした事による利益(リターン)を資金提供者へと還元し、その経緯の合理性を説明する、という一連の活動であると述べています。 さらに、長期的な視点で戦略的に事業戦略を組み立てる考え方がファイナンス思考であり、ビジネスパーソンが未来を生き抜くために必要な知識だとしています。

会計は「過去や現在」を分析・判断するためのものであり、ファイナンスは会計期間にとらわれず、自律的に「未来や将来」の戦略を立てるためのものだということが大きな違いです。 また会計は売上や利益といった数値で企業の現状を把握するために行いますが、ファイナンスは、現状を踏まえた上で将来的な企業価値を大きくすることを目的としています。

ファイナンス思考をビジネスの経営戦略に生かす

ではファイナンスの知識や考え方は、どのような場合に必要となるのでしょうか。 ファイナンスの知識では、将来得られるお金の価値を現在の価値に換算するとどうなのかといった「時間軸」を持った考え方が重要となっています。 このような考え方は、経営戦略を立てる場合に目先の売上や利益にとらわれず将来の企業価値を大きくするための資金調達や設備投資などの場面で生かせるのではないでしょうか。 中小企業等で将来的な事業見通しに伴う資金調達が必要な場合には、銀行からの一般融資やビジネスローンなどの借入金の利用も検討するべきでしょう。 不動産を担保としたビジネスローンでは長期の借り入れも可能となりますので、資金使途に応じて長期資金なのか短期資金なのかを判断してください。

ファイナンスの知識は、経営者でなくてもすべてのビジネスパーソンに役立ちますので、ぜひビジネスに活用してください。

【参考リンク】

担当:福島 佳奈美 (執筆:2018年10月05日)