第1163回NEW

物価高に人件費高騰…「値上げ」前後の資金繰りにビジネスローンを

食品製造業を営んでいます。円安などによる物価上昇が響いていて、従業員確保のための人件費増加、光熱費の値上がり、さらに仕入れ先からの値上げの通告と、資金繰りに苦労しています。やむなく販売価格の値上げを検討中ですが、当座の資金繰りのためにビジネスローンの利用を考えています。利用する際の注意点を教えてください。(経営者60代)
資金繰りにビジネスローンを利用するなら、返済負担も考慮して、値上げの資金計画を立てましょう。補助金や助成金、公的融資などの低コストの資金調達手段の利用もご検討ください。
物価高騰に悩む食品製造業の経営者のイラスト

物価高・人件費高騰…コストに見合った価格にしたい

物価の上昇が続き、原材料費、光熱費、人件費等のコストが急激にかさみ、資金繰りに苦労されている経営者の方も多いのではないでしょうか。経営を安定させるためには、コストに見合った利益を確保できる販売価格への値上げが必要になります。

しかし、顧客に事前に交渉することも必要ですし、値上げできても、その効果が現れるまでには時間がかかります。値上げの実行と、その効果が出て経営が安定するまでの資金繰りのために、迅速に利用できるビジネスローンの活用は有効な手段と考えられます。

資金繰りにビジネスローンの活用も

ビジネスローンは、銀行や信用金庫、専業のローン会社などの金融機関で取り扱われる、使途を事業性資金とするローンです。無担保のビジネスローンの多くは保証人不要で、審査期間が即日~2日程度と短いことが大きなメリットとなります。来店不要でインターネット上で手続きできるビジネスローンもあります。

申込んで審査を受けるには、本人確認書類のほか、ローン商品によっては確定申告書や決算書、商業登記簿謄本などが必要になる場合があるので、あらかじめ準備しておくと、借り入れまでスムーズに手続きすることができるでしょう。

ただし、金利は3%~15%と、公的融資などに比べると高めです。資金繰りのためにビジネスローンを活用したら、その後は、ビジネスローンの返済負担も含めた資金繰りをすることになります。値上げ後の経営安定のためには、ビジネスローンの返済負担も考慮した資金計画を立て、そのための『値上げ額』を設定する必要があるでしょう。

補助金や助成金、公的融資なども検討を

今後、物価上昇が続けば、さらなるコスト増も考えられます。将来に渡って経営を安定化するためには、コスト対策だけでなく売り上げを伸ばすために事業内容の検討や社内体制の見直しも必要になるでしょう。政府は、中小企業の設備や人材への投資、価格転嫁などへのさまざまな支援策(補助金・助成金制度、税制優遇、公的な融資制度など)を用意しており、利用できれば、返済不要あるいは低コストの資金調達が可能になります。

ただし、補助金や助成金、公的融資制度などは利用できる目的や対象が限定されていて、必要書類も多く、申請後に入金されるまでには時間がかかります。たとえば、補助金は後払い制で、申請して補助金の交付が決定となり、対象事業を実施して実績報告を提出してから補助金が交付されます。公的な支援制度は時間の余裕をもって計画的に進めることが必要です。

ビジネスローンで資金繰りを乗り切る目処がついたら、どんな目的で、いくら、いつ、どんな流れで資金調達できるのかを確認し、公的な支援制度の活用の検討も進められるとよいでしょう。

【参考リンク】

私が書きました

大林 香世 の写真

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2026年01月06日