第1143回NEW
事業資金の調達方法「ブリッジファイナンス」とは?
- 会社を経営して4年になります。まだまだ事業が安定しているとは言えず、資金繰りに苦労しながら仕事をしています。最近「ブリッジファイナンス」という資金調達に関する言葉を見かけたのですが、どんなものなのか教えていただけませんか。(会社経営 男性 51歳)
- 「ブリッジファイナンス」は、ブリッジローンやつなぎ融資などとも言われ、本来の資金調達ができるまでの間の一時的な資金不足をカバーするための短期融資のことをいいます。なお、融資ではありませんが、売掛債権を専門業者に売却して現金化するファクタリングという方法でも資金不足の解消をできます。また、売掛債権担保融資(ABL)やビジネスローンでも短期資金の確保はできます。活用する際には、資金の目的や必要な時期、金額、本来の資金調達が確実に遅延なくできるかどうかなどを確認した上で、複数の商品や金融機関等の中から、金利や手数料、審査スピードなどを比較、検討して選択するとよいでしょう。

ブリッジファイナンスとは、本来の資金調達ができるまでの短期融資
ブリッジファイナンスとは、本来の資金調達ができるまでのつなぎとして活用される数週間から数ヶ月の短期融資のことで、ブリッジローンやつなぎ融資とも言われます。なお、企業の売掛債権をファクタリング会社に売却して現金化するファクタリングも、短期的な資金調達の手段として活用できます。また、売掛債権を担保にした売掛債権担保融資(ABL)や、ビジネスローンなどでも短期資金を確保することができます。
事業を運営していく上で、短期的な資金が必要になるケースには、以下のような例があります。
- 売掛金が回収できる前に、仕入先への支払いや給与の支払いなどが必要な場合。
- 補助金を申請中で、資金を受け取るまでに設備投資資金の支払いが必要な場合。
- 不動産を購入する際、本融資が実行される前に購入資金等の支払いが必要な場合。
- 商品・サービスの開発費の支払いが先行し、収益化できるまでの運転資金等が不足する場合。
など
必要な資金の目的や商品の特徴を吟味して選択する!
ブリッジファンナンスに活用できる主な仕組み・方法には次のようなものがあります。
種類 | 主な目的や用途 | 融資期間 | 担保の有無 | 相対的な金利水準 | 特徴・留意点 |
---|---|---|---|---|---|
ブリッジローン | 本来の資金調達ができるまでの一時資金 | 短期(数ヶ月程度) | 有担保/無担保 | 高め | 金利はやや高め。多額な資金調達が可能。 |
つなぎ融資 | 長期的な融資が実行されるまでの一時的な事業資金 | 短期~中期 | 有担保が一般的 | 中~やや高め | 一般的に期間終了後に本融資に切り替える。 |
ファクタリング | 売掛金の早期現金化 | - | - | 高め(手数料) | 融資ではなく債権譲渡。最短即日で資金化可能。売掛債権の信用力が重視される。 |
売掛債権担保融資(ABL) | 売掛金を回収するまでの運転資金確保 | 売掛金回収まで | 売掛債権が担保 | 中程度 | 売掛債権の信用力・回収期間等が重視される。 |
ビジネスローン | 設備投資、仕入れ、運転資金など幅広い事業資金 | 短期~中期 | 有担保/無保 | 低~中程度 | 汎用性が高い。審査基準は金融機関により多様。 |
短期的な資金調達を行う場合、まずは、目的や必要な時期、金額、期間などを明確にする必要があります。なぜなら、それらによって適切な仕組み・方法が異なる場合があるからです。また、融資を利用する場合には、返済原資が確実に準備できる時期なども、しっかりプランニングする必要があります。仕組みや方法を決定したあと、複数の業者・金融機関、商品の中から、金利や手数料の水準、審査スピードなどを比較、検討して選択するとよいでしょう。
私が書きました

ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。
教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。
※執筆日:2025年08月04日
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