第791回

入試までの資金計画を総点検!教育ローンの保障サービスも要チェック

高校3年の娘が大学入試を控えています。 指定校推薦を利用しようと考えていますが、入学金などの準備はもう始めた方が良いのでしょうか。 (会社員 Sさん 49歳)
推薦で入学が決まると、入学金や前期授業料の納入は、合格発表後に速やかに行わなければなりません。 資金計画を立て、早めに準備に取りかかりましょう。

推薦入試を考える場合の資金計画は早めに!

大学受験を控えたご家庭では、そろそろ入試に向けて準備を始める時期ですね。 大学入試は大きく一般入試、推薦入試、AO入試に分けられ、最近では私立大学を中心に推薦入試やAO入試で受験する割合も増えています。 面接や書類審査で受けられるAO入試は、すでに出願が始まっている大学もありますし、推薦入試もそろそろ準備を始める時期です。

推薦入試には、特定の高校に大学からの受け入れ枠が与えられる指定校推薦や、大学が求める出願条件を満たしていれば応募できる公募制推薦などがあります。 推薦入試では、合格発表後、数日から2週間程度で入学金や前期授業料などの納付金の振り込みが必要となります。 一般入試より早く大きなお金が必要になりますので、合格が決まってから慌てないよう早めに準備しておきましょう。

推薦入試利用でも、一般入試を視野に入れた資金計画を

高校での指定校推薦の対象者に選出されると合格がほぼ決まりますが、選ばれなかった場合は別の受験方法を考えなければなりません。 また、公募制推薦やAO入試では必ずしも合格するとは限りませんので、合格した場合の前倒しの資金準備とともに、一般入試も視野に入れた資金計画が必要です。

大学に進学する場合、初年度の納付金は、国立大学で約82万円(標準額の場合)、私立大学では、約132万円(文部科学省「平成28年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額調査」より)にもなります。 入学が決まれば、入学金と前期分の学費や施設費などをまとめて納入する必要があります。

大学進学後の学費は学資保険などで準備していても、意外と見落としがちなのが受験にかかる費用です。 検定料はセンター試験が18,000円(3教科以上)、一般試験では国公立大学が約17,000円、私立大学は約35,000円ですが、一般入試では複数校受験することが一般的ですので、検定料だけで数十万円かかるというのも珍しくありません。 また、遠方の大学を受験する場合には交通費や宿泊費も必要であり、塾や予備校を利用していればその費用もかかります。 一般入試では、受験にかかる費用が推薦入試よりも多くなりますので、資金不足にならないように見積もっておきましょう。

受験費用が不足する場合は教育ローンも検討

受験にかかる費用や入学後の学費を見積もり、預貯金や学資保険では教育資金が不足する場合、まず思い浮かぶのは奨学金でしょう。 しかし、事前に申し込みをしていたとしても支給される時期は入学後となりますので、受験の費用や合格後すぐに必要となる納付金には利用できません。 この場合は、教育ローンの利用を検討しましょう。

教育ローンには受験費用や自宅外通学になった場合の新生活準備金にも利用できる商品や、住宅ローンのように「団体信用生命保険(団信)」付きの商品もあります。 団信付きの教育ローンでは、借り主である保護者に万一のことがあった場合や、がんにかかった場合にローン返済が免除になります。教育ローンを選ぶ際の検討事項としても良いでしょう。

この時期、入学後だけでなく受験そのものにかかる費用が、いつ、どのくらい必要かをリストアップして資金計画にもれがないかを確認しておきましょう。

【参考】 団体信用生命保険付き教育ローンの例
ローン名 常陽銀行
教育ローン「学援生活」
福岡銀行
教育ローン
(学資ローンDX)
千葉銀行
スーパー教育ローン
〈学生生活〉
※証書貸付方式にて「団信」付帯
実質年率
2.3~3.975%
2.6%~3.3%
2.2%~2.4%
金利体系
変動金利
変動金利
変動金利
借入可能額
10万~3,000万
10万~2,000万
10万~3,000万(当座貸越方式は1,000万以内)
審査回答期間
最短即日
最短1日
最短即日
団信・ローン
の特長
団信を保険料銀行負担で利用可能。来店不要で手続き可能。 仮審査は6ヶ月間有効。融資金額に応じてTポイント付与。 証書貸付方式(一括借入)と当座貸越方式(都度借入)があり。
「がん団信」を金利0.3%の上乗せで利用可能。 来店不要でも利用可能だが、他社からの借り換えや「がん団信」加入を希望する場合は来店手続きが必要。 証書貸付方式(一括借入)。
団信は証書貸付方式にて付帯(保険料は銀行負担)。 当座貸越方式からの切替えの場合も、原則として銀行所定の団信を付保。 仮審査は3ヶ月間有効。証書貸付方式(一括借入)と当座貸越方式(都度借入)があり。 医学部、薬学部にも対応可。

2018年8月22日の情報を元に筆者作成

【参考リンク】

私が書きました

福島 佳奈美 の写真

福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2018年08月27日