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第1003回

一時的な出費にフリーローンを利用するメリットは?

必要なお金が手元の貯蓄でカバーできない時に手軽に利用できるローンとして、カードローンやクレジットカードのキャッシングがあるのは知っていましたが、最近「フリーローン」というものがあることを耳にしました。フリーローンには、どんな特徴やメリットがあるのでしょうか。(20代 男性 会社員)
いずれも、借入金の用途が限定されておらず、使い勝手がよい無担保ローンです。カードローンやクレジットカードのキャッシングは、申込み後の審査によって設定された借入限度額の範囲内で、自由に何度でも借り入れをすることができます。一方、フリーローンは1回の申込み・契約で1回のみの借り入れとなります。追加の借り入れが必要な場合、審査は申込みのたびに受ける必要があります。フリーローンの主なメリットには、一般的にカードローン等よりも金利が低めに設定されていることや、借入可能額が大きく設定されていること、返済中の管理がしやすいことなどがあります。

フリーローンとカードローンの比較

「フリーローン」というと、借入金の用途が自由なローン全般と解釈され、カードローンもフリーローンの一種に分類される場合があります。また不動産担保ローンも借入金に用途制限がない商品は、フリーローンに区分されることがあります。ここでは「フリーローン」を、金銭消費貸借契約を交わした上で行われる貸付サービス(証書貸付)で、借入金に用途制限のない個人向けの無担保ローンとし、カードローンや不動産担保ローン等とは区別して扱うこととします。

まずは、フリーローンとカードローンの主な違いを確認しましょう。

フリーローンとカードローンの主な相違点
 
フリーローン カードローン
取扱会社
・主に銀行
・銀行
・信販、クレジット会社
・消費者金融 など
借入金の用途制限
・事業用や投資資金は不可の場合あり
・申込時に用途の申告が必要な場合あり
・事業用や投資資金は不可の場合あり
借入回数
・1回の契約で1回
(契約ごとに審査があり、借入金額、金利、返済金額等を決めた上で融資が実行される)
・借入限度額の範囲内であれば何度でも借り入れが可能(契約前の審査結果で借入限度額が設定される)
借入期間
・あり
・利用状況による
借入可能額
・カードローンより大きめ
・フリーローンより小さめ
金利水準
・一般的にカードローンより低く設定されていることが多い
・一般的にフリーローンより高く設定されていることが多い
申込みから借り入れまでの期間
・最短1日~3日程度
・即日~3日程度
(なお、2回目以降は、限度額の範囲内であればすぐに借り入れが可能)
借入残額や返済の管理
・借り入れが1回のみであるため、返済プランを立てやすい
・何度も借り入れを繰り返すと借入残高や返済額が変動して管理が困難になる

必要な金額が明確で、高額な借り入れの場合は、フリーローンが適している!?

上表の【フリーローンとカードローンの主な相違点】にある通り、フリーローンは、一般的に、カードローンよりも借入可能額が大きく、金利水準は低めです。そのため、必要な金額があらかじめ明確で、比較的高額な借り入れをする場合は、金利が低く利息負担が軽いフリーローンの方が適していると考えられます。

また、フリーローンは、1回のみの借り入れで、返済期間や適用金利、返済額等が決まっているため、借入残額や返済額等の管理がしやすいメリットがあります。複数回利用する場合は、利用するごとに申込み・審査・契約の手続きが必要で、借り入れまでに手間や時間がかかります。このことは、安易に借り過ぎてしまう事態を防ぐ仕組みになっていると考えることもできます。

一方、追加で何度も借り入れる必要がある場合や、突発的な出費に急いで対応しなければならない場合は、フリーローンの利用は不向きだと考えられます。借入限度額の範囲内で何度でも借り入れが可能なカードローンのほうが適していると言えるでしょう。ただし、カードローンで何度も借り入れると、返済中に借入残高や返済額が変動し、完済時期がずるずると延びたりして、返済の管理が難しくなるかもしれません。

専用のローン商品が利用できる場合は、フリーローンを使わない!!

フリーローンは、借入金に用途の制限がない自由度の高いローンですが、教育資金や自動車購入資金、リフォーム資金などを借り入れる場合は、まず、教育ローンやマイカーローン、リフォームローンなど、それぞれ用途別に提供されている目的別ローンの利用を検討しましょう。目的別ローンは、フリーローンよりもかなり低い金利で借り入れを行うことができるため、返済負担を軽くすることが可能です。

冠婚葬祭に関わる資金や、旅行・レジャー資金、医療費用など、目的別ローンで対応できない資金の借り入れに、フリーローンは適しています。また、複数のローンを1本のローンにまとめて返済の効率化を図る「おまとめローン」として、フリーローンを利用する方法もあります。

なお、フリーローンはたくさんの金融機関が提供しています。それぞれ申込条件や借入条件等が異なります。事前に複数の商品を比較してしっかりと吟味し、できるだけ有利なものを選択することが大切です。

【参考リンク】

私が書きました

中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2022年11月21日