第976回

意外に負担が大きい仕送り費!教育ローンの利用も可能?

自宅外通学の大学生の子どもがいます。学費は準備していた預貯金でなんとか目途が立っていますが、予想以上に毎月の仕送り費の負担が大きく家計の赤字が続いています。お金の工面はどうすればよいでしょうか。奨学金はすでに利用しています。(Tさん 55歳 会社員)
まずは家計の見直しを進め、それでも不足する場合は教育ローンの利用を検討しても良いでしょう。

自宅外通学の場合、仕送り額は平均いくら?

コロナ禍でオンライン授業中心だった大学も、2022年度に入ってからは対面授業に戻るところが増え、ようやく大学生らしい生活を送れるようになっているようです。大学では入学金、授業料や施設設備費などにまとまったお金が必要となりますが、自宅外通学の場合には住居費や生活費の負担も少なくありません。

日本政策金融公庫が高校生以上の子供がいる保護者に実施した、令和3年度「教育費負担の実態調査結果」によりますと、自宅外通学にかかる仕送り費の平均額は年間95.8万円、月額では約8万円になるということです。

仕送り費用をどう工面する?

同調査によりますと、教育費の捻出方法としては、教育費以外の支出を削って節約しているという回答が約27%と最も多く、学生本人がアルバイトをしている(約22%)、奨学金を受けている(約19%)、と続いています。

Tさんも予想外に仕送りの負担が大きいということですが、お子様のアルバイトや奨学金も利用しつつ、家計を見直して毎月の家計から仕送り費を捻出する努力をしていきましょう。

家計の節約というとレジャー費や食費などが削りやすいと思われがちですが、毎月かかる費用を見直すことも有効です。例えばスマホ代を格安SIMに変更したり、生命保険を見直したりすることができれば継続的に支出を削減できます。

それでも不足する場合には、まずは奨学金の利用ができないかを検討しますが、すでに奨学金も利用している場合や、急ぎで資金を工面したい場合には、仕送りにも使える教育ローンを検討してみてはいかがでしょうか。

仕送りに使える教育ローンの選び方

教育ローンというと、入学金や授業料などの学費関連にしか利用できないのでは?と思われるかもしれませんが、仕送りなど学費以外の目的に使える教育ローンもあります。

例えば、日本政策金融公庫が扱っている「国の教育ローン」は、学費だけでなく在学のため必要となる住居費用や通学費用にも使え、2022年5月現在、固定金利で年利1.8%と比較的低金利で利用できます。基本的には子ども1人あたりの借入上限額は350万円ですが、自宅外通学の場合は450万円まで利用できます。但し所得制限があり利用できない場合もあります。

教育ローンを利用するなら、「国の教育ローン」のようにまとまった金額を一括で借り入れるタイプ(証書貸付型)のローンを利用しても良いのですが、毎月の仕送りに利用するなら、当座貸越型のローンを利用しても良いでしょう。

当座貸越型のローンは、カードローンのように設定した限度額の範囲内ならその都度繰り返し利用できるローンです。仕送り費用に必要な金額だけ随時利用し、在学中は利息のみ返済する方式だと家計への負担を抑えることができます。教育ローンは、使途が自由なカードローンより金利は低めですが、借り過ぎには注意しましょう。

仕送り費用に使えるかどうかは、教育ローンの「資金使途」をチェックして確認しましょう。イー・ローンの教育ローン検索の画面でも、「学生仕送り」の項目をクリックすることで、仕送りに使える教育ローンを検索できますので、活用してみてください。

【参考リンク】

私が書きました

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2022年05月16日