第709回

必要な金額だけ借りて計画的に返済しやすい「フリーローン」

親元から遠距離通勤していましたが、思い切って職場の近くで一人暮らしをすることにしました。引っ越し、家具や家電の購入などでお金がかかるので、ローンを利用したいと思います。カードローンは使いすぎてしまいそうでちょっと抵抗があるのですが、ほかにも利用できそうなローンはありますか?(岡山県 S)
カードローンは契約した限度額の範囲内で何度も借り入れが可能な便利なローンですが、使い過ぎが懸念される点もあります。他に資金使途が原則自由で必要な金額だけ当初に借りられる「フリーローン」もあります。フリーローンは使い過ぎを予防して計画的に返済しやすいローンです。

使途自由でまとまった金額が借りられるフリーローン

新生活の準備にはお金がかかりますよね。 ローンは一般に、住宅ローンや自動車ローン、教育ローンのように、利用目的が限定されるほど金利が低いのが一般的なのでまず検討したいところです。 でも、新生活の準備に必要な費用となると、利用目的が限定されない資金使途が自由なカードローンやフリーローンが利用しやすいでしょう。

Sさんがちょっと抵抗があるという「カードローン」は、利用目的を限定せずに利用でき、契約した限度額の範囲内であれば、何度も借り入れ可能な便利なローンです。 ただ、その便利で使い易い点が、「使い過ぎ、借り過ぎてしまうかも」という心配につながる面があります。

一方、「フリーローン」は、利用目的を限定しない点はカードローンと同様ですが、カードローンのように何度も借り入れることはできません。 借入金額や返済期間などの条件を借り入れ当初に決めて契約書を作成し、その契約書に従って返済を行うことになります。 再度利用したい場合には、改めて申し込み、審査を受け契約書を締結し直す必要があります。

「つい借りてしまう」ことはできないフリーローン

フリーローンは、カードローンのように繰り返し借り入れできないので不便、と感じる方もおられるかもしれませんが、カードローンは便利な代わりに、借り入れを繰り返しているうちに借入残高が膨らみ、返済がなかなか進まない可能性もあります。 しかし、フリーローンは気軽に繰り返し借りられないので「つい使ってしまう、借りてしまう」ことができません。新たなローンを組まない限り、借入残高は増えず、コツコツ返済していけば借入残高は着実に減っていきます。

なお、フリーローンを利用する場合、「借りたお金はなるべく早く返したい」と思っているなら、繰上返済手数料など返済の際の手数料についても確認しておきましょう。 カードローンの場合は繰上返済も自由に手数料無料で行える場合がほとんどですが、フリーローンの繰上返済手数料は商品によってさまざまです。 また、カードローンよりも、審査や契約手続きに時間がかかる場合があるので、申し込みから融資実行までに必要な期間も確認しておきましょう。

無理のない返済計画も考えた上でローンを利用して、快適な新生活がスタートできるといいですね。

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私が書きました

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大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2017年01月25日