第604回

住宅ローン減税と住まい給付金の延長!マイホーム購入への影響は?

数年以内にマイホームの購入を考えています。住宅ローン減税の見直しについてニュースで見ましたが、どのように変わるのでしょうか?(Bさん 32歳 会社員)
消費税率10%への引き上げが1年半延期されたことに伴い、住宅ローン減税と住まい給付金の期間も1年半の延長が検討されています。それぞれの制度を押さえたうえで、増税をにらみながらマイホーム購入に向けた準備を始めましょう。

住宅ローン減税の延長

住宅ローン減税とは、住宅ローンを借り入れてマイホームの購入や増改築をした時に、一定の要件を満たすと年末のローン残高の一定割合が所得税額から控除される制度です。

2014年4月に消費税率が5%から8%へと引き上げられるのに伴って減税枠が拡大され、期間も2017年12月末まで延長されました。そして消費税率10%への引き上げが1年半延期されたことを受け、2019年6月末まで再延長することが来年度の与党税制改正大綱に盛り込まれました。

現行の住宅ローン減税の概要
居住年 住宅ローン
年末残高の
限度額
控除率 控除期間 各年の控除
限度額
最大控除額(10年合計) 住民税からの
控除上限額
2017年
12月末
4,000万円
(5,000万円)
1.00%
10年
40万円
(50万円)
400万円
(500万円)
13.65万円/年
[前年課税所得×7%]

※( )内は長期優良住宅・低炭素住宅の場合

ただし、住宅ローン減税は税金が減額される制度ですので、収入が少ない人や扶養家族が多い人など納税額が少ない場合は、減額される金額も少なくなります。

住まい給付金の延長

納税額が少なく住宅ローン減税による負担軽減効果が十分でない中低所得者の負担軽減をはかるため、現金を支給する「すまい給付金」が2014年4月に創設されました。給付額は収入額(都道府県民税の所得割額)によって決まり、消費税率8%時は年収の目安が510万円以下で最大30万円、消費税率10%時は年収の目安が775万円以下で最大50万円です。

この住まい給付金についても、住宅ローン減税と同様に期間が2019年6月末まで延期される方針です。

購入のタイミングは家計とラインプランに合わせて

消費税の再増税前に住宅を購入すべきか悩んでいる方も多いと思います。住宅ローン減税や住まい給付金の額について、増税前と後の額をシミュレーションできるウェブサイトなどもありますので、活用してみると良いでしょう。また、増税前に購入したいのであれば、注文建築の場合は引き渡しの時期や建築請負契約の締結の時期を意識しておく必要があります。さらに、消費税率5%から8%への増税時には駆け込み需要によって工事の遅延や工事費の上昇が一部であったようです。10%への増税時にも同様のことが起こることも考えられますので、余裕を持って計画を立てましょう。

マイホームは大きな買い物ですので消費増税の影響は気になるところですが、それ以上に大切なのは、今後の家族のライフプランとそれに合わせた資金計画をしっかりと立てることです。特に重要なのは、頭金をしっかりと準備することと、「借りられる金額」ではなく「返せる金額」を借り入れることです。過去のFPからのアドバイスに「家に使えるお金」の試算のしかたを紹介したものがありますので、参考にしてみてください。

【参考リンク】

また、住宅ローン選びも重要です。金利だけでなく、保証料や繰上返済手数料の有無など、さまざまな条件がありますので、イー・ローンの検索機能を利用して調べておくと良いでしょう。

私が書きました

宮野 真弓 の写真

宮野 真弓 (みやの まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。

※執筆日:2015年01月07日