第1000回

カードローンにおける「総量規制」を再確認!

会社員ですが、最近残業が少なく収入が厳しくなり、カードローンを利用しています。今のところ計画通り返済できそうですが、今後さらに借り入れが必要になるかもしれません。別の金融機関で申込めば借り入れられるでしょうか。(Yさん 大阪府 30歳)
「貸金業者」のカードローンでは、貸金業法の総量規制により、年収の3分の1を超える借り入れはできませんが、総量規制対象外の金融機関では一律に決まっているわけではありません。借入金額がこれ以上増えないように対策を立てて、早めに完済しましょう。

貸金業法の「総量規制」とは?

カードローンは資金使途が自由で、借り入れの際に設定した限度額内なら繰り返し利用できますので、生活費やレジャー費などが不足した時には便利なローンです。但し、資金使途が自由な分、住宅ローンや自動車ローンなどの資金使途が限定されるローンより金利が高めで、返済の負担が大きくなる可能性もあります。

既に借り入れているお金を返済するために、他の会社から借り入れることを多重債務状態といいます。多重債務が大きな社会問題となり、過度な借り入れから消費者を守るため、2010年に貸金業法を改正し「総量規制」が導入されました。これにより原則年収の3分の1を超える借り入れができなくなりました。

総量規制の対象は?

総量規制の対象になるのは、個人が消費者金融、クレジットカード会社などの「貸金業者」から借り入れる場合です。銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫等は貸金業者に該当しません。

しかし、貸金業法改正以降、総量規制対象外の金融機関によるカードローンの過剰貸付が問題視され、総量規制対象外の金融機関でも自主規制を行う先が出てきました。

基本的には1社で50万円超、または複数社で100万円超のカードローンを申込む場合、源泉徴収票や給与明細、確定申告書等の収入を証明する書類を提出しなければなりません。個人がいくら借り入れているかは、内閣総理大臣が指定する信用情報機関に登録され、総借入残高を把握できるようになっているのです。

カードローン利用の際の注意点

カードローンは、一律に年収の3分の1まで借り入れができるわけではありません。3分の1というのはあくまでも総量規制で借り入れられる上限です。収入や勤続年数、過去の返済実績などを審査し、返済能力を考慮して借入限度額が決まりますので、実際にはそれより少ない額になることもあるでしょう。

借入金額が大きくなると、返済負担も大きくなります。自分に必要な分だけを借り入れるようにしましょう。もしさらに資金不足になってしまったら、別の会社で新たに借り入れるより、同じ会社で限度額を増やしてもらう方が金利を抑えられる場合もあります。複数の金融機関で比較して金利の低いところから借り入れるようにしましょう。

カードローンは限度額の範囲内で繰り返し利用できるため、足りなくなったら借り入れる生活になってしまい、なかなか完済できないケースも見られます。収入が減った分は不要な支出を削減するなどして、残業代がなくても生活できるように見直しましょう。ボーナスで臨時返済をすれば、その分支払う利息の負担も減らせます。なるべく早めに完済することを心がけましょう。

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2022年10月31日