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第663回

個人と事業者ではローンを組む際に必要な収入証明書類が異なる?

開業して2年経ち、ようやく軌道に乗ってきました。とはいえまだまだ収入が安定せず、苦しい月もあります。そこでカードローンを利用したいと思っているのですが、必要書類や手続きはサラリーマン時代とは違いますか?(Uさん 33歳 会社経営)
個人も事業者も手続きの流れは原則同じです。ただし、収入証明書類には違いがありますので事前に確認し準備しておきましょう。また、一般的なカードローンは事業資金には使えません。事業資金としても使うことが想定される場合には、事業者向けカードローンの利用も検討しましょう。

カードローンの申し込みに必要な書類

事業者は毎月の収入が一定ではないので、急な出費やいざという時にはカードローンがあると頼りになりますね。事業者だからといって、手続きが大きく変わるわけではありませんが、必要書類には違いがあります。

一般的にカードローンを申し込む場合には、運転免許証や健康保険証、パスポートなどの本人確認書類と、収入を証明する書類が必要になります。収入を証明する書類は、サラリーマンの場合は源泉徴収票や給与明細書で済みますが、個人事業主や自営業者などの事業者の場合は源泉徴収票を使うことはできず、ほかの書類で収入を証明する必要があります。

収入を証明する主な書類と取得方法を確認してみましょう。

(1)源泉徴収票(直近の期間のもの)
(2)給与明細書(直近2ヶ月+1年分の賞与明細書)
(3)住民税決定通知書、納税通知書(直近の期間のもの)
(4)課税証明書(直近の期間のもの)
(5)所得証明書(直近の期間のもの)
(6)納税証明書(直近の期間のもの)
(7)確定申告書の控え(直近の期間のもの)
(8)青色申告決算書(直近の期間のもの)
(9)収支内訳書(直近の期間のもの)
(10)年金証書
(11)年金通知書(直近の期間のもの)

(1)、(2)は勤務先から受け取ります。 (3)は毎年6月頃に会社員の方は勤務先から、個人事業主等の事業者の方は市区町村から交付されます。 (4)、(5)は1月1日に住所のあった市区町村の窓口で発行してもらうことができます。 (6)は市区町村が発行するものと税務署が発行するものがあります。このうち、市区町村が発行する納税証明書には所得金額が記載されていないことがあり、この場合収入の証明として利用することはできません。納税証明書を収入の証明として利用する場合には、税務署で発行してもらう方がいいでしょう。 (7)、(8)、(9)はご自身がお持ちの税務署受付印または税理士印があるものを使用します(電子申告の場合は税務署受付印・税理士印は不要)。 (10)は年金の裁定請求をすると日本年金機構から送られてきます。 (11)は毎年6月頃に日本年金機構から送られてきます。

希望する利用限度額によっては収入証明書類不要で申し込めるカードローンも多くありますが、審査の結果によっては収入証明書類の提出を求められる場合もあります。また、収入証明書類を準備しておくとカードローンの選択肢を広げることもできますので、必要なときには提出できるようにしておくことをお勧めします。

事業者がカードローンを利用するときの注意点

カードローンは資金使途が原則自由とされていますが、事業資金としては利用できないのが一般的です。日常の急な出費などプライベートでしか使わないのであればカードローンでも十分対応できますが、運転資金の確保などの事業資金として使うことはできません。 事業資金が必要な場合にはビジネスローンなどを別途利用する必要がありますが、大きな額ではないけれど急ぎで資金が必要、という場合などに便利なのが事業者向けのカードローンです。 金融機関によっては担保や保証人無しで利用することもできますが、金利や限度額について事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

私生活でも事業においてもいざという時に頼りになるカードローンですが、安易な借入は禁物です。日々のやりくりをしながら、少額でもコツコツと蓄えて資金力をつけていきましょう。

【参考リンク】

私が書きました

宮野 真弓 (みやの まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。

※執筆日:2016年03月01日