第1020回

エコカー減税は2024年から徐々に基準が厳しく。新車選びはお早めに

エコカー減税が延長されると聞きました。車の買い替えを検討しているところだったのでほっとしましたが、買い替えを急いだほうがよいのでしょうか。(千葉県 Kさん)
エコカー減税制度は3年延長されることになりましたが、現行のままの制度は2023年12月まで。2024年以降、段階的に対象車となる基準や減税割合が見直されます。購入後、納車までに時間がかかることもあるので、エコカー減税対象車を狙うなら、早めに動き出したほうがよいでしょう。
緑でできた車の画像

現在の内容のエコカー減税は、2023年末まで延長

いわゆる「エコカー減税」は、環境性能の優れた車の普及促進などを狙って設けられた、自動車重量税(国税)の優遇制度です。自動車重量税は、新車登録時や車検時に支払う国税で、自動車の重量等によって税額が決められています。

現行のエコカー減税は2021年5月1日から2023年4月30日までの間に、環境性能に優れた電気自動車や燃料電池車、一定の燃費基準を満たすガソリン車・ハイブリッド車等を購入し新規登録を行った場合に、納付すべき自動車重量税の減免(25%・50%・75%・100%)が受けられるものです。 

さらに、電気自動車等※や2030年度燃費基準120%達成車両は、新規車検の有効期間満了後に受ける初回継続検査の際にかかる自動車重量税も免税(環境に影響するような一定の改造が行われている場合を除く)となります。

※電気自動車等…電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、天然ガス自動車

2023年度の税制改正で、この制度は3年延長されることになり、2023年12月までは、現行の制度がそのまま継続されます。

しかし、2024年1月1日からは、電気自動車等以外のガソリン車・ハイブリッド車等の車種については段階的に対象車の燃費基準が厳しくなり、減税幅が小さくなっていきます。なお、電気自動車等は現行の制度内容が2026年4月末まで適用されます。

2024年以降、段階的に基準が厳しく

2023年度の改正により、エコカー減税制度は2024年1月1日、2025年5月1日を境に、2段階で見直されます。

たとえば、2023年12月までは、2030年度燃費基準60%達成者もエコカー減税の対象となりますが、2024年1月からは、燃費基準70%以上でないと対象となりません。「50%軽減」となる基準も75%から80%と厳しくなります。

2025年5月以降は、2030年度燃費基準が75%であってもエコカー減税の対象となりません。また、燃費基準80%の場合の軽減率は、2025年4月までなら50%ですが、2025年5月からは25%の軽減となります。条件がだんだん厳しくなることがわかりますね。

エコカー減税を適用したいなら、早めに新車選びを

電気自動車等を除くと、エコカー減税の対象となる基準や軽減割合は、段階を追って厳しくなります。購入を決めても納車までの期間が長くなる場合も多いので、新車購入・買い替えでエコカー減税の適用を考えるなら、早めにスタートしたほうがよいでしょう。

希望する車種について、メーカーのホームページやディーラー等で、エコカー減税の対象となる燃費基準等の条件に合致するのかを確認しましょう。さらに、納車までの期間も確認し、納車時期がエコカー減税の適用に間に合うかを確認した上で、購入車種を検討されるとよいでしょう。

また、購入時期が早まり購入費用の準備が間に合わなかった場合などに備えて、マイカーローン選びも進めておけば、購入のタイミングを逃さずにすみます。借入金額や金利、返済期間の違いによってどれくらい返済負担が違うのか、繰上げ返済による負担軽減効果はどれくらいか、なども試算して検討しておくと、無理のない返済プランも立てやすいでしょう。

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私が書きました

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大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2023年03月28日