第964回

通常の銀行融資と違う?ビジネスローンを再確認!

創業して数年、ようやく会社経営も軌道に乗ってきました。今後の資金調達について検討していますが、ビジネスローンは通常の銀行融資とどう異なるのでしょうか?(Yさん 石川県 40代)
経営も安定してきて、今後の事業への視野が広がってきたのですね。銀行融資とビジネスローンの違いを確認しながら、最適な資金調達方法を検討しておくとよいでしょう。

銀行融資とは?

中小企業が資金調達を検討する場合に重視するのは、なるべく低金利で借り入れするということではないでしょうか。その場合の選択肢として、銀行融資が挙げられます。

銀行融資は、事業の実績を積んだ上で地域密着の地方銀行や信用金庫、信用組合などの金融機関に申込む場合が多いでしょう。申込みの際には、事業の収益や安定性、将来性などを判断するため決算書や確定申告書、事業計画書などの提出を求められます。その審査基準は金融機関によって異なりますが、一般的には債務超過の状態での銀行融資は厳しいといわれています。しかし、キャッシュフローがプラスの場合などで経営状態が安定しているなら、融資可能となるケースもあると考えられます。金融機関によっては融資を受けられる可能性もありますので相談をしてみるのもよいでしょう。

通常の銀行融資には、保証料を信用保証協会に支払いながら受ける融資と、信用保証協会を利用しない融資があります。どちらの融資になるかは、銀行との取引実績や信用力により判断されます。銀行融資は提出する書類も多く審査にも時間がかかるため、期間には余裕をもって申込む必要があります。事業拡大の資金や、運転資金などで比較的大きな資金が必要な場合に利用を検討するとよいでしょう。

通常の銀行融資が厳しい場合には、ビジネスローンも検討

先に述べたように、銀行融資は審査が厳しいため、申込みをしても融資を受けられない場合があります。そのような場合には、ビジネスローンを検討すると良いでしょう。

ビジネスローンは、銀行融資と比較すると金利は高めですが、提出書類もあまり多くなく審査期間も短めです。例えば、銀行融資では通常、決算書の提出は3期分必要ですが、ビジネスローンでは2期分でよいものもあります。また、法人役員向けの商品では本人確認書類や所得確認書類だけで利用できる商品もあります。担保や保証人も不要で利用できるものもあり、銀行融資に比べると利用のハードルは低いといえるでしょう。

ビジネスローンは銀行だけでなく信用金庫や消費者金融などでも取り扱っており、スピーディな融資も可能です。運転資金やつなぎ資金などには、ビジネスローンを利用する場合が多いでしょう。

資金調達方法を理解して安定経営を目指そう!

低金利で利用できる銀行融資の可能性を高めるためにも、日頃から資金管理を徹底し、経理業務をきちんと行いスピーディに経営に反映させていくことも重要です。

銀行融資の他にも、中小企業向けの助成金や補助金等もありますので利用できる場合には、これらを活用していきましょう。融資までのスピードを重視するなら、ビジネスローンも視野に入れると良いでしょう。複数の資金調達方法を並行して利用することも有効です。それぞれの資金調達方法を理解して、安定した経営を目指していきましょう。

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2022年02月17日