第731回

事業資金目的のビジネスローンでも個人の信用情報が大切!

介護用品の販売会社を経営しています。経営は比較的安定していますが、販路拡大を進めている中、一時的に資金が不足しそうなのでビジネスローンの利用を検討しています。 ビジネスローンを利用する上で、何か注意することはありますか?(中小企業経営者 Tさん 42歳)
一時的な資金不足の場合、早めに事業資金を調達することができるビジネスローンは有効な手段です。 経営状態は良いようですが、法人利用のビジネスローンでも法人経営者個人の信用情報が審査に影響を与えることがありますので注意しましょう。

急な資金調達に役立つビジネスローン

Tさんは販路を拡大しながら順調に事業経営されていらっしゃるようですが、資金繰りがうまくいかず、一時的に資金が不足するとのことです。 このような場合、ビジネスローンは審査が比較的スピーディーに行われますので、迅速に対応することができます。

ビジネスローンには、無担保ローンの他、不動産や売掛債権などを担保にする有担保ローンもあります。無担保のビジネスローンの借入可能額は、多くても1,000万円程度までとなっています。 大きな金額を借り入れるなら有担保ローンでなければ対応できないでしょうが、急ぎでの資金調達で比較的少額の借り入れなら、無担保のビジネスローンで良いでしょう。

他にも決算時の納税資金不足や入金のタイミングのずれなどに対応するため、ビジネスローンを一時的な「つなぎ資金」として利用する方も多いようです。

ビジネスローン利用で気をつけたいこと

法人としてビジネスローンを利用する場合、原則的には法人代表者の連帯保証を求められます。 つまり、法人として借り入れる場合でも経営者個人が審査対象になるということです。 もし、「ビジネスローンなら個人の信用情報は関係ない」という認識があるなら、改めたほうが良いでしょう。

経営者個人に借り入れがある場合でも、会社経営が安定していて、返済可能と判断されれば、ビジネスローンの借り入れも可能となる場合があるでしょう。 ですが、いざという時の会社の資金繰りに影響を与えないよう、なるべくプライベートでは安易な借り入れを行わないようにした方が良いでしょう。

経営者個人の信用情報も重要

信用情報には、クレジットカードや各種ローンの契約情報、返済状況などが記録されています。 一般的に経営者は、お金に対する意識がサラリーマンとは異なることも多く、借金に抵抗がない方も見受けられます。 日頃からキャッシングやカードローンの利用等が当たり前になってくると、ちょっとした不注意で返済が滞ってしまい、個人の信用情報に記録が残ってしまうこともあり得ます。

もし、個人での借り入れがあるようでしたら、まずは、経営者目線で自分の家計にも無駄がないかチェックしてみてはいかがでしょうか。 法人としての経営に影響が出ないよう、経営者個人の信用情報にも気をつけることも重要だということを意識し、自分の生活を見直すことも大切です。

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私が書きました

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2017年06月26日