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第721回

金利上昇局面で気をつけたい、住宅ローン利用のポイント

住宅購入の貯蓄も貯まってきたので、そろそろ住宅購入を・・・と考えていたら、不動産価格上昇やローン金利上昇のニュースが。 子どもが小学校に上がる前にマイホームを購入したいと思っているのですが、金利が上昇していたらどうすればよいでしょうか。(福岡県 M)
ライフプラン上の「買い時」を見定めて、金利上昇にも対応できるように購入計画を考えましょう。 「金利が低いうちに」と買い急いで悔やむことのないよう、落ち着いてニーズに合った物件を見つけましょう。

「我が家の買い時」はいつ?

3月に発表された公示地価は全国平均(全用途)で0.4%の上昇、4月に入ると一部の住宅ローン金利も引き上げ、これから住宅購入を考えている方には残念なニュースが続きました。 とはいえ、不動産価格は地域や用途で動向が違い、長期の住宅ローン金利の参考値とされる長期金利(新発10年国債利回り)は4月に入って再び低下しています。 今後の動向には注意すべきですが、「金利が上昇する前に」と住宅購入をむやみに急いで不本意な住宅購入をしないように気をつけたいものです。 まずは「我が家の買い時」「住みたい家の条件」をよく考えて、購入計画・ローン計画を立てましょう。

「我が家の買い時」は、ライフプランや家計の状況で決まってきます。 ご家族の年齢等や学校・仕事、収入の状況などから、「いつ購入したいのか」「どんな住宅に住みたいのか」「どこに住みたいのか」「住宅購入から数十年、毎月のローン返済はできるのか」などを検討してみてください。

将来も無理なく返済するために

住宅ローン利用の際には、「借りられる金額」よりも「返済可能額」を考えることが大切です。 家計から住宅ローン返済などの住宅費(住宅ローン返済額の他、共益費、修繕積立金、固定資産税等)に回せるのはいくらか。その金額の返済が続けられるのはいつまでか。 それによって毎月返済額と返済期間が決まります。 「現在の住宅費」と「今までの住宅資金準備のための貯蓄額」の合計額を、基本的に住宅費にまわせる金額と考えて、返済可能額を考えるとよいでしょう。

金利上昇に備えるなら、住宅ローンの金利タイプは、固定金利期間の長い商品を利用するのが基本です。 固定期間中の住宅ローン金利は変らず毎月返済額も変らない(元利均等返済の場合)ので、金利上昇リスクを避けることができます。

逆に、金利上昇後に住宅ローンを利用することになったら、将来金利が下がる可能性を考えて、変動金利や固定金利期間の短い商品を利用すれば、金利が下落するにつれて住宅ローン金利も下がり、利息負担も減ります。

ただし、借入時点からさらに金利が上昇する可能性もあります。 変動金利型や短期の固定金利選択型の商品を利用する場合には、金利上昇による返済額のアップもあらかじめ試算し、さらなる金利上昇分も見越して返済可能額を考えましょう。

自己資金があり借入額が少なければ、利息負担も少ない

ご相談者のように自己資金を貯めてから住宅購入に踏み切れば、借入額を抑えられます。 借入額が多く金利が高いほど利息負担は重くなるので(表1)、借入額が少なければ金利上昇時の利息負担増も少なくて済みます。

表1:借入額と金利の違いによる返済額の違い
条件:元利均等返済 返済期間35年 毎月返済のみ(ボーナス返済なし)
借入額 金利 毎月返済額(円) 支払総額(円)
2,500万円 0.5% 64,896 27,256,464
1.0% 70,501 29,639,998
1.5% 76,546 32,149,366
2.0% 82,816 34,782,591
3,000万円 0.5% 77,876 32,707,757
1.0% 84,686 35,567,998
1.5% 91,855 38,579,239
2.0% 99,379 41,739,109

イー・ローン シミュレーションにて筆者試算

また、商品によっては、一定以上の自己資金があると有利な金利が適用される場合があります。 たとえば、【フラット35】では融資率9割以下の場合には9割超の場合より低い金利が設定されています(表2)

表2:【フラット35】 の適用金利(返済期間:21年以上35年以下)の適用金利
(平成29年4月)
融資率 金利の範囲 最も多い金利
9割以下 年1.120%~年1.670% 年1.120%
9割超 年1.560%~年2.110% 年1.560%

【フラット35】ホームページより

返済中の見直しで負担を減らす

今後金利が上昇し借入時の金利が高くなってしまっても、返済負担を抑える手立てがないわけではありません。 住宅ローンは返済途中の見直しで利息負担が抑えられることも覚えておきましょう。

時が経って金利が下落してきたら、低金利のローンに「借り換え」。 家計に余裕が出てきたら、「繰り上げ返済」や「毎月返済額の増額」で、利息負担を減らすことも可能です。

金利上昇のニュースが出ても、落ち着いて希望に合った物件を探し、今も将来も無理のない返済額を考えて住宅ローン利用を検討してください。

【参考リンク】

私が書きました

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2017年04月19日