第1142回NEW
一戸建てとマンションでは、固定資産税の特徴に違いはある?
- 住宅購入の検討を始めたばかりです。住宅ローンを利用するつもりですが、ローン計画は住宅購入後の固定資産税なども考えて立てたほうがいいと聞きました。固定資産税とはどういうものでしょうか?マンションと一戸建てで違いはありますか?(会社員 30代)
- 固定資産税は、土地や建物の所有者が負担する地方税です。マンションと一戸建てで比べると、一般に、土地の固定資産税はマンションのほうが、建物の固定資産税は一戸建てのほうが、負担が軽い場合が多いでしょう。
家や土地の所有者が負担する「固定資産税」
固定資産税とは、建物や土地の毎年1月1日時点の所有者が納めるべき税金(地方税)です。
3年ごとに見直される「固定資産税評価額」に基づいて「課税標準額」が算定され、それに税率(標準税率は1.4%)を掛けて固定資産税額が計算されます。
ただし、一定の要件を満たす住宅用地や新築住宅については、税負担が軽減されます。
住宅用地については、課税標準の特例があります。200m2以下の部分は課税評価額が1/6に、200m2を超える部分については課税評価額を1/3として固定資産税が計算されます。
また、一定条件を満たす新築住宅(住居部分に限る)の固定資産税については、固定資産税の1/2を減額する措置があります(適用期限:2026年3月31日)。
減税内容 | 減額期間 | |
---|---|---|
認定長期優良住宅 | 認定長期優良住宅以外の場合 | |
課税床面積が120m2以下の部分の固定資産税が1/2に減額される | 一般の住宅:5年間 3階建て以上のマンション等:7年間 |
一般の住宅:3年間 3階建て以上のマンション等:5年間 |
住宅用地の課税標準の特例や、新築住宅の固定資産税の減税措置を反映して固定資産税評価額を計算してみると、次のようになります。
設例:土地の評価額:3,000万円、家(新築)の評価額:2,000万円(課税床面積は120m2以下)
税率:1.4%。
- 土地の固定資産税額
=課税標準額{土地の評価額(3,000万円)×1/6}×税率(1.4%)
=70,000円 - 建物の固定資産税額
=課税標準額{建物の評価額(2,000万円)}×税率(1.4%)×1/2(新築住宅の減税措置)
=140,000円
土地の固定資産税の特徴
土地の固定資産税額は、地価によって変動します。その土地の購入後、周辺地域の地価が再開発などで上がると、固定資産税評価額も上がり、固定資産税額も上がります。
一戸建ての場合は敷地の面積に応じた固定資産税を負担することになります。一方、マンションの場合は、敷地にかかる固定資産税をマンションの戸数で割った金額を負担することになります。したがって、一般的に、同じような土地に建っているマンションの1戸と一戸建てを比べれば、マンションのほうが土地の固定資産税の負担は軽いでしょう。
建物の固定資産税の特徴
建物に対する固定資産税は、建物の造り(木造、鉄筋コンクリート造等)や建築してからの年数によって違い、築浅であるほど資産価値が高く、税額も高くなります。
建物の評価額は、「再建築価格1」に「経年減点補正率2」を掛けて求められます。この「経年減点補正率」は20%が限度となっており、一定年数を経過した場合には20%に据え置くこととされています。したがって、かなり古い建物でも、評価額がゼロになることはありません。
1. 再建築価格…評価の対象となった建物と同一のものを、新築する場合に必要とされる建築費
2. 経年減点補正率…時の経過による減価補正率。経年減点補正率は再建築価格の20%までとされている。
一戸建ては木造の場合が多く、鉄筋コンクリート造などよりも耐久性が低いために評価額が低くなり、鉄筋コンクリート造などのマンションよりも固定資産税額は一般に低くなります。
逆にマンションの場合は鉄筋コンクリート造などの耐久性の高い構造であることが多く、一戸建てよりも評価額は高くなる場合が多いでしょう。
なお、通常のマンションの場合は、どの階にある部屋でも専有部分の面積が同じならば固定資産税額は変わりません。しかし2018年以降に新築された高さ60mを超える新築のタワーマンションの場合は、階数が1階上がるごとに税額が段階的に上がるようになっているので、高層マンションの購入を検討されている場合には注意が必要です。
住宅ローンの計画は、住宅所有中の必要経費も含めて考えよう
このように一般的に、土地の固定資産税は一戸建てのほうが、建物の固定資産税はマンションのほうが高くなります。
住宅購入後、毎月・毎年どれくらいの税金・費用がかかるのかは、住宅ローン借入計画にも大きく響いてきます。毎月の「住宅費」を住宅ローン返済額にすべて充ててしまったら、固定資産税を払うことも、マンション保有者が毎月負担すべき管理費や修繕積立金も払うことができなくなります。
住宅購入後の毎月の「住宅費」は、現在の家賃や住宅購入のための積立額をもとに設定するとよいでしょう。その「住宅費」の額から固定資産税や管理費、修繕積立金等を差し引いて、無理のない「住宅ローン返済額」を求めましょう。
なお、今回は触れませんでしたが、市街化区域内にある土地や建物には、固定資産税と同時に「都市計画税」も課税されます。都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業に要する費用に充てるための税金で、多くの自治体が税率を0.3%に設定しています。住宅ローンの計画を立てる際には、固定資産税と合わせて都市計画税についても考慮されるとよいでしょう。
【参考リンク】
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。
大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。
※執筆日:2025年08月04日
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