第1009回

2023年最新のリフォーム補助金をチェック!

10年前に中古で購入した一戸建てに住んでいますが、築25年を迎え、近年はいろんなところに傷みが出たり、設備が故障しがちです。そこで、昨年くらいからリフォームをしようと考えていました。つい最近になって、リフォームに関する新しい補助金制度ができたという話を聞いたのですが、できるだけ費用を抑えたいので、どんな制度なのか教えてください。(埼玉県 男性 40代)
昨年12月に2022年度(令和4年度)の補正予算が成立し、住宅の省エネ化支援を強化する新しい補助制度が創設されることになりました。経済産業省、国土交通省、環境省の連携によって、ワンスットップで利用可能になるとともに、窓の断熱改修や高効率給湯器の設置、高断熱浴槽等のエコ住宅設備の設置などの省エネリフォーム工事等への支援が行われます。これらの制度をうまく利用すれば、リフォーム費用を抑えることができ、さらにその後は、電気代やガス代等を抑制して家計の負担を軽減することができそうです。

「住宅省エネ2023キャンペーン」がスタート!

2023年に、住宅の省エネを推進する3つの補助事業「住宅省エネ2023キャンペーン」がスタートします。この制度の目的は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、家庭部門の省エネを強力に推進することです。

従来の補助制度は、所管する省庁がそれぞれ実施し、申請窓口も異なっていました。しかし、この制度は3つの省庁が連携することで、ワンストップで利用でき、併用も可能になります。

補助事業 予算 対象
新築 リフォーム
1.こどもエコすまい支援事業 1,500億円
(国土交通省)
持家 持家、賃貸等
2.先進的窓リノベ事業 1,000億円
(経済産業省・環境省)
対象外 持家、賃貸等
3.給湯省エネ事業 300億円
(経済産業省)
持家、賃貸等 持家、賃貸等

※新築は住宅の取得者、リフォームは工事の発注者が対象

※住宅は、戸建住宅、集合住宅、共同住宅等を問わない

※「1.こどもエコすまい支援事業」の新築(持家)は、子育て世帯(18歳未満のお子様がいる世帯)・若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが39歳以下の世帯)が取得する場合に限り、1世帯1回まで申請可

リフォームは、3つの補助事業すべての対象になっています。

「こどもエコすまい支援事業」のリフォーム補助額は、18歳未満のお子様がいる子育て世帯や、夫婦いずれかが39歳以下の若年夫婦世帯の場合、リフォーム工事の内容に応じて上限45万円/戸となっています。子育て世帯・若年夫婦世帯が中古住宅を購入してリフォームをする場合は、上限60万円/戸に増額されます。その他の世帯はリフォーム内容に応じて上限30万円~45万円/戸に設定されています。

「先進的窓リノベ事業」における窓の断熱改修(リフォーム)の補助額は、リフォーム工事の内容に応じて上限200万円/戸となっています。

「こどもエコすまい支援事業」と「先進的窓リノベ事業」は、工事内容等によって、補助額が細かく定められています。

「給湯省エネ事業」の補助額は、導入する高効率給湯器に応じて以下の通り定額となっています。

設置する給湯器 補助額 補助上限(住戸あたり)
家庭用燃料電電池
(エネファーム)
15万円/台 戸建住宅:いずれか2台まで
共同住宅等:いずれか1台まで
ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器
(ハイブリッド給湯器)
5万円/台
ヒートポンプ給湯器
(エコキュート)

省エネ工事や設備の導入には、一般の工事、設備よりも費用がかかる傾向がありますが、補助金制度を利用することで費用を抑えることができます。また、リフォームしたあとは、長期的に電気代やガス代等を抑えることができるため、家計の負担軽減に繋がります。

制度を活用する際の注意点

「住宅省エネ2023キャンペーン」は、恒久的な制度ではありません。昨年12月に2022年度(令和4年度)補正予算の成立によってできた制度であり、3つの補助事業それぞれに、予算や期限が設けられています。

補助金の交付申請期間は、2023年3月下旬から予算上限に達するまで(遅くとも2023年12月31日まで)とされています。予算がなくなったら終了するため、今年リフォームをしようと思っているのであれば、早めに計画を立てて実施したほうがいいでしょう。

補助金の交付申請は、リフォーム工事の発注者(施主)ではなく、工事施工業者が代行して行います。それぞれの事業事務局に申請しますが、ワンストップでの申請も可能です。なお、工事施工業者は、あらかじめ各事業事務局の定める登録規約に同意の上、所定の書類を提出し、事業者登録を完了しておく必要があります。「こどもエコすまい支援事業」と「先進的窓リノベ事業」の補助金は工事施工業者に交付され、工事の発注者(施主)には、工事代金への充当または返金のいずれかの方法で還元されます。「給湯省エネ事業」の補助金は、工事の発注者(施主)に直接交付されます。

制度を活用する最大のポイントは、リフォームの工事施工業者選びではないでしょうか。一般的なリフォームに関する知識を持っているだけでなく、今回スタートする「住宅省エネ2023キャンペーン」の制度、および、既にある活用できる制度、各自治体が実施している制度の詳細を熟知し、「リフォームが必要な場所はどこか?」、「リフォームによってどんなメリットが期待できるか?」、「補助金の交付をいくら受けることができそうか?」等を適切にコンサルティングできる事業者選びが大切です。そのためには、発注者自身も大まかな知識を身に付けてリフォームに関する要望や質問を事業者に伝えることができること、複数の事業者に対して見積書や提案書を依頼して比較・検討をすることなどが必要でしょう。

なお、省エネリフォームにこだわるあまり、費用が予算オーバーをしてしまうと、今後のライフプランの実現に影響を及ぼしかねません。ムリのない費用の範囲内で行うことも大切です。リフォームローンの利用を考えている場合には、金融機関によって金利や借入期間、その他諸条件が異なりますのでよく比較検討しましょう。エコリフォーム専用の好条件なローンを扱う金融機関もあります。

【参考リンク】

私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。株式会社 ワーク・ワークス代表取締役。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2023年01月06日