第948回

不動産を有効活用!不動産担保ローンの特徴は?

営業自粛などで収入が減り、家計のやりくりが大変になってきました。借り入れを検討していますが、自宅などを担保にした不動産担保ローンというものがあると聞きました。「不動産担保ローン」とは、具体的にはどんなローンでしょうか。(兵庫県 Sさん)
不動産担保ローンは、不動産を担保として、その不動産の評価の範囲内で借り入れができるローンです。個々の商品による違いはありますが、資金使途は自由で、物件の評価額次第では高額の借り入れも可能です。担保取得の観点から金利も比較的低く、不動産を所有されている方は借り入れ形態の1つとして検討されてもよいでしょう。

不動産担保ローンとは

資金使途が自由で、担保とした不動産の評価に応じて高額な借り入れもできる不動産担保ローン。まとまった資金が必要な借り換えや教育資金、車関連費用などを目的とした利用をイメージしますが、生活資金の補填を目的とした借り入れも増えているようです。

不動産を担保としていることから、金融機関側の貸し倒れリスクが低くなるため、無担保ローンに比べると比較的低金利での借り入れが可能で、返済期間を長く組むこともできます。ただし、担保となる土地や建物の審査も必要なため、審査期間は無担保のローンよりも長くなる傾向があります。

借入方法は借り入れの都度契約書類を取り交わす証書貸付タイプのほか、契約した限度額の範囲内で何度でも繰り返し借り入れ可能なカードローンタイプもあります。

不動産担保ローンの「担保」

不動産担保ローンの「担保」となる不動産は、原則としては本人名義の土地や建物ですが、不動産所有者の了承があれば親族等の不動産も担保とできる商品も多くあります。

また、担保とした不動産には通常、抵当権が設定されます。複数の抵当権が設定されている場合には、第一抵当権、第二抵当権…と、弁済を受ける権利の優先順位がつけられます。

たとえば担保に2つの抵当権が設定されていて、債務者が返済できなくなり、不動産を売却して業者が資金を回収することになると、売却金額から第一順位の抵当権者が債務を全額回収した後、残りを第二順位の抵当権者の債務に充当することになります。

したがって、住宅ローン返済中などで、担保とする不動産にローン利用中の金融機関の抵当権が設定されている場合には、不動産担保ローンの抵当権は、第二順位以下となります。抵当権が第二順位以下でも、担保余力があれば借入可能という商品もあります。

またカードローンタイプの不動産担保ローンの場合は、抵当権ではなく根抵当権が設定されます。カードローンタイプでは先に述べた限度額を極度額として設定します。そのため一定範囲の不特定の債権を担保とする必要があることから、その性質に即したものとして根抵当権の対象となります。

不動産担保ローンの利用も、計画的に

不動産担保ローンは、比較的低金利で返済期間も長く、担保価値が高ければ、まとまった金額の借り入れも可能です。資金使途も自由で、生活資金や教育資金、自動車購入費用やローンの借り換え等、さまざまな用途で利用できます。

しかし、万一、返済できなくなった場合には、債務弁済のために、担保とした不動産が競売などの方法で処分される可能性もあります。高額な借り入れが可能だからと、安易に借り入れを増やしてはリスクが大きくなります。返済可能な金額を借り入れ、無理のない返済スケジュールを考えた上で利用を検討しましょう。

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大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2021年10月26日