第1007回

活用の難しい土地の処分に新たな選択肢。「相続土地国庫帰属制度」とは?

親から相続した土地を担保に不動産担保ローンを利用しようとしたら、土地が評価されませんでした。活用できない土地は管理するだけでも負担だと思っていましたが、国庫に入れることができる制度が始まるようですね。どのような内容でしょうか?(Mさん 会社員、48歳)
2023年4月27日から相続土地国庫帰属制度がスタートします。相続した土地の処分方法として、「国庫に帰属させる」という選択肢が増えます。概要を理解して活用しましょう。

相続土地国庫帰属制度とは?

相続等によって土地の所有権や共有持分を取得した場合、「自宅から遠いので土地を利用する予定がない」「管理の負担が大きい」などの理由で、できることなら手放したいというケースもあるでしょう。2023年4月27日以降は、国庫に帰属させる(=国の財産にする)ことができるようになります。

ただし、対象となる土地や申請者には一定の要件があるほか、審査手数料や10年分の土地管理費相当額の負担金を納付する必要もあります。

対象となる土地

制度の対象となる土地は、相続あるいは相続人に対する遺贈によって取得した土地が該当します。帰属対象とならない土地や、売買などで取得した土地は対象にはなりません。なお、制度開始前に相続あるいは相続人に対する遺贈によって取得した土地については対象となります。制度開始前の期間に制限はなく、数十年前に相続等で取得した土地についても、制度を利用することができます。

建物が建っているなど、国庫の帰属対象とならない土地は下表のとおりです。制度を利用する際には、申請前に確認しておきましょう。

帰属対象とならない土地
申請できない(却下事由) 承認を受けられない(不承認事由)
・建物がある土地 ・一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
・担保権や使用収益権が設定されている土地 ・土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
・他人の利用が予定されている土地 ・土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地
・土壌汚染されている土地 ・隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
・境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地 ・その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

法務省サイトを参照し筆者作成

申請できる人

下記のような人は制度の申請が可能です。相続等により土地を取得することができない法人は対象外です。

  • 相続等により、土地の所有権を取得した人。
  • 相続等により、土地の共有持分を取得した人。ただし、共有持分の場合は、共有者全員が共同して申請を行う必要があります(売買等により取得した共有者がいても活用が可能)。 
費用

制度を利用する費用として、審査手数料(2022年12月現在未定)や、10年分の土地管理費相当額の負担金を支払う必要があります。宅地や田畑、その他(雑種地、原野等)についての負担金は面積に関わらず原則20万円ですが、条件によっては算定式で計算されるため、さらに高額になる場合もあります。なお、森林はすべて面積に応じて計算されます。

(参照)相続土地国庫帰属制度の負担金(法務省)

以上、概要を見てきましたが、Mさんも対象になる場合は利用を検討するといいでしょう。申請先は、土地を管轄する法務局・地方法務局となる予定です。

【参考リンク】

私が書きました

豊田 眞弓 の写真

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2022年12月20日