第1019回

アラサー独身が家を購入するときの注意点は?

親元に住んで貯金ができたので、一部を頭金にして40平米前後の中古マンションを購入しようと考えています。転勤になったり、結婚して子どもが生まれるなどして手狭になったら賃貸にすればいいと思っています。何か注意すべきことはあるのでしょうか?(Kさん 会社員、29歳)
シングルかつ若くしての投資を兼ねたマンション購入ということで、押さえておくべきポイントを整理していきましょう。

家計の激変に備えて

親元に住んでお金を貯め、マンションを購入して家を出る。転勤や結婚で住まなくなったら賃貸に回し、家賃収入を得る――。Kさんの計画は合理的ではありますが、注意点もあるので確認しておきましょう。

まず最も気になる点は家計面です。これまで親元に住んでいて、かなりローコストで生活を送ることができていたのではないでしょうか。家にお金を入れていたとしても、一人暮らしよりも自由になるお金も多く、悠々自適な生活を送ってきたのではないかと推察します。

いきなりの自活、しかも住宅購入と同時ということで、家計の激変に備える必要があります。一度、購入後の家計収支を書き出して、住宅ローンを返済しても貯蓄ができる状態かよく点検してください。購入するマンションも、住宅ローン返済額や諸費用などの見積りをとり、購入後の家計が本当に成り立つのかシミュレーションしてから決めるくらい、慎重に進めたいものです。

賃貸に出したら住宅ローンは利用できない

住宅ローンに関して、Kさんが知っておくべき注意点があります。それは、住宅ローンは住むことが前提で利用できるローンであり、同じ物件を賃貸に回すときには、住宅ローンは利用できなくなるということです。住宅ローン控除も利用していたとしたら、賃貸に出す際、その優遇もなくなってしまいます。

住宅として購入したマンションを残債がある状態で賃貸に回す場合、不動産投資ローンへの借り換えが必要になります。あるいは、住宅ローンを繰上返済して完済していれば問題はありません。しかし、すぐに貸すつもりで最初から不動産投資ローンを利用すると、住宅ローンより高い金利の借り入れをすることになります。こうした点をしっかり理解した上で、購入計画を立てましょう。

物件選びが特に重要

前項の問題をクリアした状態でも、もう1つ注意点があります。それは物件選びです。「貸すかもしれない」ということであれば、貸し易い物件である必要があります。マンションの場合、エリアや最寄駅、駅からの距離、その他の利便性(スーパーやコンビニが近い、銀行、郵便局、病院、保育園・幼稚園、小学校・中学校などが徒歩圏にあるなど)など、できるだけ条件が整っている方が貸し易い物件と考えられています。慎重に検討した上で購入を決めましょう。

なお、投資用マンションとして売り出された物件(空室)を購入して、自分が住むという方法も可能です。自分が住むということであれば住宅ローンも利用できます。ただし、投資用マンションは賃貸向けに作られているため、居住用として建てられたマンションに比べ、設備などのグレードが低いケースもあるようです。

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私が書きました

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豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2023年03月22日