第716回

「エコリフォーム」するなら早めの検討を!補助金を受け取れる制度がある!

マイホームを建てて20年以上経ったので、そろそろリフォームをしようと考えています。 せっかくなのでこの機会に少しお金をかけてエコリフォームをするつもりなのですが、リフォームをすると補助金を受け取れる仕組みがあると聞きました。 どんな制度なのか教えてください。 (茨城県 50代 男性)
一定のエコリフォームをすると補助金を受け取れる「住宅ストック循環支援事業補助金」という仕組みがあります。 この制度の適用を受けるには、遅くとも2017年6月30日までに補助金の交付申請をし、2017年の12月31日までにリフォーム工事の完了報告をする必要があるため、早期に検討をスタートしたほうがいいでしょう。 リフォームをすると、その他にもローンを活用した時の税制優遇などもあります。 せっかくリフォームをするのであれば、有利な制度をうまく活用してはいかがでしょうか。

エコリフォームをする場合の「住宅ストック循環支援事業補助金」の概要

一定の要件を満たす「良質な既存住宅の購入」、「住宅のエコリフォーム」、「エコ住宅の建て替え」をすると「住宅ストック循環支援事業補助金」制度による補助金を受け取ることができます。 「住宅のエコリフォーム」に関するこの制度の概要は以下の通りです。

要件 以下の要件をすべて満たすリフォーム工事
1.自ら居住する住宅について、施工者に工事発注をしてエコリフォームを実施すること
2.エコリフォーム後の住宅が耐震性を有すること
3.予算成立日(2016年10月11日)と事業者登録した日のいずれか遅い日以降に工事着手すること
補助事業者 工事請負契約によりエコリフォームを施工する建設業者または個人事業主
※補助事業者は、事務局が別に定める事業者登録の手続きをする必要がある
補助対象 次の1~3のいずれか1つが必須。かつ1~3の補助額の合計が5万円以上あること。
原則として、国の他の補助制度との併用はできない。
1.開口部の断熱改修(ガラス交換、内窓設置、外窓交換、ドア交換)
2.外壁、屋根・天井または断熱改修(一定量の断熱材を使用)
3.設備エコ改修(エコ住宅設備のうち、3種類以上を設置する工事)
【エコ住宅設備】太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽、高効率給湯器、節湯水栓 1~3のいずれかと合わせて実施するA~Eの改修工事も対象
A.バリアフリー改修(手すり設置、段差解消、廊下幅等の拡張)
B.エコ住宅設備の設置(1種類または2種類の設置)
C.木造住宅の劣化対策工事(土間コンクリート打設等)
D.耐震改修
E.リフォーム瑕疵保険への加入
補助額 リフォーム工事内容に応じて定める額(定額)
補助限度額 30万円/戸
※耐震改修を行う場合は45万円/戸

(住宅ストック循環支援事業事務局のホームページから転載)

補助金はリフォーム工事内容に応じた定額となっており、例えばガラス交換であれば、窓のサイズによって3,000円~8,000円、外壁の断熱改修は12万円(部分断熱の場合は6万円)、太陽熱利用システムや節水型トイレはそれぞれ24,000円などと、細かく定められています。 また、補助限度額は一戸につき30万円(耐震改修を行う場合は45万円)となっています。 具体的にどんなリフォーム工事をするかは、必要性と予算や補助額などのバランスを考えながら決めると良いでしょう。

補助金を得るには2017年6月30日までの交付申請が必要

この制度で補助金を得るには、2017年6月30日までに補助金の交付申請をし、12月31日までに完了報告をする必要があります。つまり、6月30日までにはリフォーム工事の内容を決めて工事請負契約を締結しておく必要があり、12月31日までには工事を完了しなければなりません。 補助金の交付申請、受領、完了報告はリフォーム業者が代表して行い、住宅所有者はリフォーム業者から補助金を受け取ることになります。

この制度を活用して住宅のリフォームをしたい場合は、6月末までの工事請負契約の締結、補助金の交付申請に向けて、そろそろ検討をスタートしたほうがいいでしょう。 事業者登録をしているリフォーム業者を早めに選び、工事内容を具体的に相談し、全体でいくらかかるか、補助金がいくら受け取れるかなどを明確にしましょう。

低金利のリフォームローンを活用し、ローン減税制度も使おう!

リフォーム資金をローンでまかなう場合には、リフォームローンを活用するとよいでしょう。 住宅ローンよりはやや金利が高いものの、資金使途が自由なカードローンなどと比べるとかなりの低金利です。また、一定の要件を満たすと税制の優遇措置を受けることができます。

ローンを活用してリフォームをする場合の減税制度の概要
制度 借入金の
償還期間
適用期間 所得税の控除額
ローン型減税
5年以上
5年間
A:下の(1)、(2)のいずれか少ない額の2%
(1)特定のリフォーム費用-補助金等
(2)250万円(控除対象限度額)
B:A以外のリフォーム工事費用の借入金の年末残高の1%
ただし、A+B<1,000万円
住宅ローン減税
10年以上
10年間
毎年年末リフォームローン残高の1%
※1年で40万円が限度(一般住宅の場合)

※上記制度には、対象者、対象住宅、対象工事内容、借入金の要件などが細かく定められています。詳細は国税庁のホームページなどを参照ください。
※リフォームローンでも一定の条件を満たせば「住宅ローン減税」の対象になります。

人口減少等を理由に空き家が増加していることなどから、近年の国の住宅政策は、新築の促進から、既存住宅の有効活用に重心が移ってきています。 そのため、リフォーム関連の優遇策も充実しつつあります。リフォームを検討するのであれば、さまざまな優遇策を上手に活用して、少しでも有利に実施したいものです。

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私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。株式会社 ワーク・ワークス代表取締役。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2017年03月10日