第674回

住宅ローン借り換えの具体的な手続きの流れは?

3年前に住宅を購入し、現在住宅ローンを返済しているところです。2月に日本銀行の「マイナス金利」がスタートしてから住宅ローンの金利が下がっているという話をよく耳にするので、借り換えの検討をしようと思っています。ただ、必要な手続きやその流れがよくわかりません。どんな手続きをする必要があるのでしょうか。 (会社員 39歳 男性)
確かに「マイナス金利」の影響で住宅ローンの金利はかつてないほど下がっており、今は借り換えをする絶好のチャンスかもしれません。メリットがあると判断ができれば、借り換えをしたほうがよいでしょう。必要な手続きは借り換えをする時も当初の借り入れ時と大まかには同じですが、細かい部分では異なる点もあります。具体的には借り換え先の金融機関に確認しながら進めていきましょう。

「マイナス金利」の影響で住宅ローン金利が下落!

2016年2月に日本銀行が「マイナス金利」をスタートさせてから、住宅ローン金利が下がっています。特に固定金利タイプの金利が下がっており、全期間固定金利タイプの住宅ローンの代表格【フラット35】は、3月以降3ヶ月連続で過去最低を更新しています。

このような金利情勢の中で借り換えの判断をするには2つの考え方があります。 ひとつは「低い金利の住宅ローンに借り換えることで、コストを含めた総返済額を減らし負担を軽減する」。この場合は、借り換え先の金融機関に金額のシミュレーションを依頼して、借り換えない場合と比較してみればよいでしょう。 そしてもうひとつは「過去最低の金利水準の今のうちに変動金利タイプから固定金利タイプに借り換えて、将来の金利上昇リスクに備える」。これは、残りの返済期間が長い場合や、金利が上がって返済額が増えると家計が圧迫される場合などに効果が期待できます。

借り換えの具体的な手続きの流れ

借り換えの手続きは、当初借り入れ時と大きな流れは同じです。住宅ローンの審査も当初借り入れ時と同じように行われるため、借り換えをするまでに状況が変化している場合は希望通りの借り換えができないことがあります。

【借り換えができない場合(例)】※金融機関によって異なります。
・転職して1~2年しかたっていない。
・契約社員やパート社員になった。
・脱サラして自営業者になった。
・自動車ローン、教育ローン、カードローンなどがある。
・自宅の担保価値が大幅に下がった。
・これまでのローン返済に延滞や滞納がある。

住宅ローンの審査では、「継続して安定した返済ができる収入があること」や「他のローン返済を含めた年間返済額の収入に対する割合(返済負担率)」、「過去の返済実績」などが評価されるため、結果的に借り換えができない場合や希望した金額の借り入れができない場合があります。

借り換え手続きの一般的な流れは以下の通りです。

1.仮審査の申し込み

・金融機関に所定の情報を伝え、借り換えの仮審査を申し込みます。


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2.仮審査

・金融機関で仮審査が行われます。


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3.正式審査の申し込み

・仮審査が通過したあと、正式審査に進むことができます。


・正式審査の申し込みでは、所定の書類の提出が金融機関から求められます。

準備する主な書類(会社員で給与所得のみで確定申告をしていない人の例)
源泉徴収票(写)
住民税課税決定通知書または収入金額記載の住民税課税証明書
売買 契約書(写)
工事請負契約書(写)
重要事項説明書(写)
間取図(写)または平面図(写)
通帳(返済履歴確認資料)(写)
返済予定明細表(写)
融資残高証明書(写)
本人確認書類
その他の借り入れがある場合の返済予定明細表または残高、および毎月の返済額が確認できる書類(写)

「借り換え」が「新規借り入れ」と異なる点は、現在返済中の住宅ローンの「返済履歴確認資料(通帳など)」や「返済予定明細表」、「融資残高証明書」の写しなども求められることです。


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4.正式審査

・金融機関で正式審査が行われます。


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5.契約手続き

・事前に、現在返済中の住宅ローンを借りている金融機関に「借り換えをすること」、「借り換え予定日」などを伝える必要があります。


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6.融資実行

・融資実行日の金利が借り換える住宅ローンの適用金利になります。


・融資実行日が借り換え日になり、返済中の住宅ローンが完済されます。


(新規借り入れの場合は、物件の引き渡し日が融資実行日になります)


同じ日に、抵当権に抹消登記(これまで借りていた金融機関)と設定登記(借り換え先の金融機関)が行われます。



借り換え時に提出すべき書類や確認事項、準備すべき事項については、金融機関から具体的に案内されます。

借り換えは、仮審査を申し込んでから融資実行までにスムーズに進んでも通常1ヶ月程度はかかります。この間にも市場金利の変化に伴って住宅ローン金利は変動します。借り換えをすると決めたら、スムーズに手続きが完了させるために、不備なくテキパキと進めていくことを心掛けましょう。

【参考リンク】

私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。株式会社 ワーク・ワークス代表取締役。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2016年05月06日