第1036回

ボーナス返済をすると住宅ローンの返済額はどうなる?

そろそろ住宅を購入したいと物件を選んでいます。住宅ローンの毎月の返済額は無理のない金額にするためボーナス返済を併用したいと考えていますが、注意点はありますか。(Fさん 兵庫県 37歳)
住宅ローン借入金額のうちどのくらいの金額をボーナス返済に充てることができるのかは、借り入れをする方の職業、資産状況等により変わります。将来のライフプランをもとに無理のない返済計画を立てましょう。

住宅ローンのボーナス返済とは?

住宅ローンの返済計画を立てる場合、ボーナス返済(ボーナス併用払い)を検討する方もいらっしゃるのではないでしょうか。ボーナス返済とは、毎月のローン返済に加えて、年2回ボーナス支給月に加算して返済をする支払い方法です。

住宅ローン借入金額のうち、ボーナス返済の割合を多くすると毎月の返済額を減らすことができますが、ボーナス返済の割合は返済総額に対して最大でも50%程度とする金融機関が多いようです。

ボーナス返済による住宅ローン返済額の比較

ボーナス返済でどのくらいの金額を加算するかにより、毎月の返済額も変わります。イー・ローンの住宅ローンシミュレーションで試算してみましょう。借入金額3,000万円、全期間固定金利2%、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス返済年2回として比較してみました。

ボーナス返済による毎月の住宅ローン返済額の比較
1回あたりのボーナス返済額 ボーナス返済分総額 毎月返済額 住宅ローン返済総額
無し 0円 99,379円 41,739,180円
5万円 350万円 91,069円 41,748,980円
10万円 700万円 82,760円 41,759,200円
20万円 1,400万円 66,141円 41,779,220円

(イー・ローン「住宅ローンかんたんシミュレーション」より筆者作成)

このように、ボーナス返済額が大きくなればなるほど、毎月の返済額は減少します。しかし、毎月の返済額を抑えた分、返済残高の減少も緩やかになり利息が増えます。そのため、住宅ローン返済総額も大きくなってしまうのです。ただ、この条件ではボーナス返済が無しの場合と20万円の場合を比較しても住宅ローン返済総額の差は約4万円ですので、そこまで利息の差は大きくなっていません。

住宅ローンのボーナス返済の注意点

住宅ローンの毎月返済額を抑え、ボーナス返済をする方が家計の事情に合っているというご家庭もあるかもしれません。ただし、毎月の給与と異なり、ボーナスは必ず支給されるとは限りません。コロナ禍で経験したように、民間企業では業績によって減額や支給無しとなる可能性があります。長期にわたって無理なく住宅ローンを返済していくためには、ボーナスが支払われることを前提として住宅ローンを組むのではなく、給与だけで支払える範囲で返済計画を立てるか、ボーナス返済の割合を抑えるようにしましょう。

ただし、公務員は民間企業とは異なりボーナスは「手当」として支給が決まっていますので、ボーナス返済を利用した返済計画も立てやすいでしょう。また、夫婦とも正社員の場合などは収入減少のリスクを分散できることもあるでしょう。

ボーナス返済を利用するかどうか、また利用するならどの程度をボーナス返済に充てるかは、住宅ローンを借り入れる方の職業や資産状況、夫婦の働き方などそれぞれの家庭の事情によって異なります。ボーナス返済を利用する場合には、将来のライフプランも考慮し、ボーナスに頼りすぎることなく、ボーナスが減少しても対応できるようにしておきましょう。

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2023年07月14日