第902回

義務教育でのプログラミング必修化!どんなことを学ぶの?

小学生の子どもがいます。今年度からプログラミングの授業が始まりましたが、プログラミング教室に通っている子どももいるようで、我が家はどうしようか迷っています。どんなことを学校で学ぶのか、学校の授業だけでは足りないのかわかりません。教室に通うとしたら、いくらぐらいかかるのでしょうか?(東京都 Fさん)
「プログラミング的思考」を育てる教育として、小学校では2020年度から導入されています。2021年度には中学校、2022年度には高校でも実施されることになっています。プログラミング教室は数多くあり、教室選びも大変です。学ぶ内容によって月謝も大きく違ってきます。お子さんが興味を持っているようであれば、通わせるのもいい選択だと思いますが、家計の負担にならない範囲で収めるようにすることが大事です。

実践的なプログラミングではなく、パソコンを使わなくてもできる情報活用を学ぶ

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、学校が休業になり、オンライン授業の導入や、学校のICT化を整備する重要性に注目が集まりました。とはいえ、今年度からスタートしたプログラミング教育は、以前から文部科学省が進めてきたことで、今年になって急に始まったことではありません。親は仕事などでパソコンを使用しているため、プログラミング教育というと、プログラム言語を使い、実践的なプログラミングを学ぶことかと思ってしまうかもしれません。

新たに「プログラミング」という教科が増えたわけではなく、既存の算数、理科、家庭科の中に組み込まれ、総合学習の時間やクラブ活動の中でも、プログラミング的な思考を学んでいきます。たとえば、理科の授業で、「身の回りには電気の性質や働きを利用した道具があることなどを、プログラミングを通して学習する」というような場面が学習指導要領に例示されています。家庭科では「自動炊飯器に組み込まれているプログラムを考える活動を通して、炊飯について学習する」という場面が例示されています。

プログラミングは、コンピューターを自分の思い通りに動かすために、どんな命令を出すのか、どんな順序で実行するのか、YES/NOでの分岐でどう変化していくのか、繰り返し・並び替えなどを組み合わせていくもので、論理的な思考が欠かせません。問題の発見、解決も必要になってきます。情報を活用する力を身に付けることが、プログラミング的思考を養うということです。

プログラミング的な思考を育み、プログラムの働きや良さに気づくこと、各教科での学びをより確実なものにすること。これが文部科学省の狙いとするところです。よって親が特別なことをしなければならない、プログラミング教室に通わせなければならない、と焦ることはないでしょう。

プログラミング教室は多種多様。料金形態の違いを理解し、体験入学で子どもの適性を確認する

今どきの子どもは、パソコン、タブレット、スマホがある生活が当たり前になっています。プログラミングの授業は、案外楽しいものかもしれません。実際、プログラミング教室は急速に増え、通っている子どもも増えています。学習塾はイヤでもプログラミング教室は楽しみにしている、という話も聞きます。

みんなが通っているから通わせるのではなく、子どもの興味関心がある分野を伸ばしたい、という思いがあれば、体験入学などで適性を見極めていくことも大事でしょう。

プログラミング教室は、どんな内容を学べるかによって、料金体系が異なります。ほかの習い事と同じように、入学金に加えて月謝がかかります。授業が月2回なのか4回なのかでも月謝が変わります。そのほか、パソコンやタブレットのレンタル費やパソコン使用料などがかかる教室もあります。プログラミングでもロボットプログラミングは、教材費が高額になるケースもあるようです。

入学金で1万円程度、毎月の月謝は数千円ですむところもあれば、1万、2万円かかるところもあります。ほかに習い事をしているのであれば、本当に家計負担にならないか、という点にも注意しましょう。

『平成30年度子供の学習費調査(平成30年度)』(文部科学省)によれば、学校外活動費の年間平均は、公立小学校の家庭で約21万4000円、私立小学校の家庭で約64万6000円。月平均で公立は1万7000円、私立は5万4000円という結果です。多くは補助学習、学習塾にお金をかけており、いわゆる習い事(習字、そろばん、英会話教室)にかける費用は、公立で年平均3万7000円、私立で9万7000円となっています。

習い事は子ども本人がやりたいと思うものであれば、やらせてあげたいものですが、お金をかければキリがありません。年収の5%程度が目安と言われますが、各家庭の事情に即して、習い事の優先順位、上限額を設定するなどルールを決めておくようにしましょう。

補完的に教育ローンを借りるなら、限度額を指定する教育カードローンの検討を

コロナ禍で減収になったけれど、子どもに我慢させたくない、という家庭もあるでしょう。一時的な減収であれば、ローンを借りることもやむを得ないかもしれません。ただし、安易にキャッシングなど高利な借り入れは避けるべきです。教育ローンは入学金、授業料などにしか使えないと思いがちですが、教育に関する支出であれば、下宿代、教科書代など幅広く利用することができます。一時的に借りたいということであれば、まとまった資金を一括で借りる教育ローンではなく、限度額を指定して申し込む「教育カードローン」がいいでしょう。多くの金融機関が扱っている使途自由のフリーローンやカードローンもありますが、使途が教育に関することと制限されている分、金利は少し低めになっています。また、元本据置で在学中は利息だけの支払いが可能という金融機関もあります。

一般的な教育ローンだと、200万円、300万円などと一括で借り入れるため、実際には全額使わなかったとしても、利息は借入額全体にかかってきます。教育カードローンであれば、限度額内なら、必要な額を必要なだけ、随時借り入れることができるため、当面半年分の月謝だけといった使い方ができます。

しかしながら、月謝は毎月必ず出ていく支出ですから、長くなれば借入額も膨らんできます。収入の減少が続くのかが不透明であれば、前述したように習い事の優先順位をつけ、家計の見直しをして、借り入れをしなくても済むような対応をするようにしましょう。また、ゆとりができたら、繰り上げ返済や一括返済で借り入れをできるだけ早く清算することも大切です。

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伊藤 加奈子 (いとう かなこ)

ファイナンシャル・プランナー。

大学卒業後、リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。不動産、住宅、マネー情報誌の編集者、マーケティングプランナーを経て2003年独立。フリーランスで各種媒体のエディトリアルアドバイザーを務める。2013年沖縄移住後は、各種WEBサイトに不動産、ライフプラン、マネープランに関するコラムの執筆を中心に活動中。

※執筆日:2020年11月30日