第830回

増税前にマイカーを購入するなら、スケジュールをチェック!

家族も増えたので、自動車を買おうかなと考えています。 10月に消費税の増税ありますが、今と増税後で自動車の税率も変わると聞いています。 実際、自動車を買うなら増税前と後ではどちらが得なのでしょうか。(会社員 36歳 男性)
10月の消費増税に伴って、自動車取得税が廃止され、新たに環境性能割が導入されます。 増税前と後では、車種によってどちらが得になるかが変わります。 人気車種は納車まで数ヶ月かかりますので、増税までに購入をするのであれば、早めに動き出すようにしましょう。

10月の消費増税にともなって自動車税が変わる

今年10月に迫った消費増税。高額商品である自動車を増税前に購入しようと検討している人も多いでしょう。 消費増税に伴い、自動車関連の税制が変更になるため、増税前に購入するなら、9月末までに納車できるようスケジュールを組まなければなりません。

増税後は、排気量によって決まる「自動車税」は年間最大で4500円が減税されます。 また、自動車取得税(自家用自動車3%、軽自動車2%)は廃止されますが、新たに「環境性能割」が導入され、燃費基準によって0~3%が課税されることになります(ただし2020年9月30日までに取得した場合は税率を1%分軽減される)。

増税前に購入したほうが良いかどうかは、車種、特に燃費性能の良し悪しにかかっています。

増税前後で比較すると、現在エコカー減税の対象になっている車種(ハイブリット車、EV、グリーンディーゼル車など)は、9月末までの購入でも取得税は非課税なので、増税前の購入がお得になります。 2020年度燃費基準が+10%達成、+20%達成車と軽自動車は「環境性能割」が非課税なので、自動車取得税3%分(軽自動車は2%)がなくなり、消費増税2%分の差し引きで、増税後のほうがお得に、燃費性能のよくない自動車は増税前の購入のほうが、お得ということになります。

9月末納車に間に合わせるために、やっておきたいこと

どうしても増税前に購入したい場合は、9月末までに引き渡しを受けなければなりません。 人気車種の場合は、納車まで2~3カ月かかることもあり、あまり猶予はありません。 希望する車種があれば、早めにディーラーに問い合わせて、納車までのスケジュールを確認しましょう。

1)予算を決める
2)車種を絞り、試乗をする
3)見積もりをとる
4)購入の契約をする、手付金、頭金、諸費用の支払い
5)マイカーローンの正式申し込みをする
6)残金支払い、任意保険の加入
7)納車

と、これだけのステップが必要となり、休日のみでの対応ではあまり時間がないのが現実です。また、現金で購入する以外は、金融機関などのマイカーローンにするのか、ディーラーローンにするのか、さらには「残価設定プラン」にするのかといった、お金のやりくりもそれなりに時間が必要でしょう。

マイカーローンの選び方、返済の仕方も考えておく

車の購入で一番大事なのは、実は増税があるかどうかではなく、どういう資金計画にするかです。 今はさまざまなローンがあり、選び方次第では、増税分以上の負担になりかねません。 スケジュール優先ではなく、しっかりとした計画を立てるようにしてください。

最も手間がかからず審査基準も厳しくないのはディーラーローンですが、金利は金融機関のマイカーローンに比べると総じて高い傾向です。 ディーラーや車種によってキャンペーン金利を提示しているところもありますが、返済を少しでも減らしたいのであれば、やはり金融機関のマイカーローンを選ぶことになります。

最近主流になりつつある「残価設定プラン」は、低予算で新車に乗れるため人気ですが、残価設定の仕組みや条件をよく理解したうえで利用するようにしましょう。 基本的には、3年~5年後には返却することを前提に、あらかじめ設定されている残価を差し引いた金額をローンで返済するという仕組みです。

では、金融機関のマイカーローンはどう選べばいいのでしょうか。

金利については、1.20%~5%程度まで幅があり、年収や借入金額の多寡によって決まります。 変動金利が主流ですが、固定金利で返済金額がずっと変わらないタイプもあります。 当然、金利が低いところを選びたいところですが、申し込みをして審査で決まるため、事前に何%の金利が適用になるのかわかりません。

9月末までに納車をと考えているなら、車種をある程度絞り込んだところで、気になる金融機関には仮審査を申し込んでおくといいでしょう。 審査は即日回答のところもありますが、5日程度かかる場合もあります。 また正式に申し込みをする際には、書類を揃え、確認ができてから入金まで1週間から2週間かかりますので、その点も注意しておきたいことです。

新車購入に際して、任意保険の加入も必要ですから、その手続きも納車に合わせて済ませておくようにしましょう。

以上のことを踏まえ、あせって十分な検討をせずに購入するのではなく、増税後でもディーラーと価格交渉をして増税分ぐらいカバーできる、ぐらいのゆとりを持ってほしいものです。

【参考リンク】

私が書きました

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伊藤 加奈子 (いとう かなこ)

ファイナンシャル・プランナー。

大学卒業後、リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。不動産、住宅、マネー情報誌の編集者、マーケティングプランナーを経て2003年独立。フリーランスで各種媒体のエディトリアルアドバイザーを務める。2013年沖縄移住後は、各種WEBサイトに不動産、ライフプラン、マネープランに関するコラムの執筆を中心に活動中。

※執筆日:2019年07月10日