第737回

もう過去とは違う!「人生100年時代」に今一度考えるライフプラン

最近「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」という本を読み、自分のライフプランは大丈夫なのかと考えさせられました。そろそろ老後も視野に入れる時期にさしかかっていますが、どんなことに気をつけて今後のライフプランを考えたら良いでしょうか?(会社員 Tさん 50歳)
日本人の平均寿命は延び続け、「人生100年」も視野に入れて老後のプランを考える時代になってきました。50歳という区切りに、今一度「ライフプラン」について考えてみましょう。

社会保障費の増大・年金不安など老後は厳しい時代に

厚生労働省によると、2016年の日本人の平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳で、いずれも過去最高を更新したということです。 驚くことに2016年に生まれた子どものうち、男子は約25%、女子は約半数が90歳超まで生きるそうです。今後は人生90年、100年が珍しいことではなくなる中、不安なのはやはり老後資金の問題ですね。

少子高齢化が急速に進み、公的年金だけで老後の生活を送ることは難しくなっています。 ですから、政府は株や投資信託の配当金・譲渡益等が非課税になる「NISA(少額投資非課税制度)」や、公的年金の上乗せになる「iDeCo(個人型確定拠出年金)」といった制度を次々と打ち出し、「貯蓄から投資へ」というお金の流れを作り、自助努力で老後の資産形成をするよう促しているのです。

現役時代に老後資金を準備したいけれど・・・

長期的なライフプランを視野に入れ、早めに老後資金を準備していかなければ、とわかっていても、税金や社会保障費の負担が増える中、老後資金に回すお金が十分確保できないのが現状かもしれません。

イギリスのリンダ・グラシット氏らの著書「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」(東洋経済新報社)が話題になっています。 この本では、従来のように人生を「教育・仕事・引退」といったステージに分けるのではなく、今後は「マルチ・ステージ」へとシフトすべきだと提唱しています。 「人生100年」時代を過ごすには、現役時代に備えた老後資金だけでは対応できない可能性もあり、「生涯学びながら稼ぎ続ける」という生き方に共感が広がっているようです。

「ライフ・シフト」的な人生を送るために

人生100年と考えると、50歳はまだ人生の半分に到達したばかり。 一度じっくりとこれまでの人生を振り返り、人生の後半に何ができるかを考えてみてはいかがでしょうか?

定年後を見据えて勤労収入を増やすことを視野に入れても良いでしょう。 最近は副業が可能な会社も増えています。 副業が難しいなら、定年後に収入につながるよう自分の得意分野を生かした資格をとる、会社だけではない人脈を作る、地域とのつながりを持つ・・・ということも「資産」となってきます。

資格やスキルを身につけるためには、雇用保険の「教育訓練給付」制度を利用できる場合もありますが、自己負担もある程度必要ですし、目的の資格等が給付対象ではない場合もあります。

やりたいことがあるのに自己資金が不足する場合は、資金使途が自由で計画的な返済が可能なフリーローンを活用する方法もあります。 安定継続した収入があれば担保不要で借り入れができますので、利用する場合は毎月返済可能な金額の範囲内で借り入れを行い、計画的に返済するようにしましょう。

今後の長い人生をより豊かに生きるためには、これまでの常識にとらわれずにスキルやキャリア、人的資産等にも自己投資をしながら、生涯にわたって収入を得ていくことが必要な時代が来たのではないでしょうか。

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私が書きました

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2017年08月07日