第734回

金利だけではない!利便性やサービス内容から選ぶ住宅ローン

住宅ローンを検討しています。金利タイプ選びの考え方や、コストの検討の仕方、団体信用生命保険の疾病特約などについては理解したつもりですが、最近は、その他のサービスを提供している金融機関が出てきているとも聞いています。 具体的に、どの金融機関がどんなサービスをしているのでしょうか。(東京 32歳 男性 会社員)
住宅ローンの金利は過去最低水準が続いています。 金利やコスト面からの訴求が難しくなってきたことなどを背景に、金融機関は団体信用生命保険(以下、団信)の疾病特約や、新しいサービスを提供したり、利便性を向上したりするなどして、顧客の注目を集めようとしています。 現在、どの金融機関がどんなサービス等を提供しているのか、主なものをご紹介しましょう。

金融機関は金利やコスト以外の付加価値を提供しはじめた!

住宅ローンの金利水準は、過去何年も低い状態が続いていましたが、2016年2月の日本銀行の「マイナス金利政策」の導入以降、金利は一段と下落し、過去にない歴史的な水準にまで低下しました。 その後、多少の上下はあったものの、低い水準は変わらずに継続しています。

現在の金利水準は顧客にとって魅力的であっても、大きな変化がない状態が続くと、住宅ローンという“商品”の訴求力は低下していきます。 「低くなった今が借り時!」、「もっと上がる前の今がチャンス!」などの宣伝文句が使えず、顧客の目を向けさせにくくなります。

そんな中、金融機関は金利やコスト以外のサービスの提供や利便性の向上にも着目し始めました。 その代表的なものが、団信の疾病特約でしょう。 従来の団信は、住宅ローンの契約者の死亡・高度障害にのみ対応していましたが、疾病特約を付帯して、所定の疾病にかかった場合にも対応できるようになりました。 今では多くの金融機関が疾病特約の取り扱いを有料(一部無料)で提供しています。

その他にも、住宅ローンに付加価値をつけるため、個々の金融機関が取り組んで提供しているサービスや利便性の向上があります。

個々の金融機関のサービス、利便性向上の取り組みにはどんなものがある?

下に、新しいサービス提供や利便性向上の取り組みをしている主な金融機関の例を記載しています。

ネットを活用して契約手続きや相談の手間を軽減するものや、グループ会社や提携企業のサービスを割安で利用できるものが目立つようです。

 金融機関名   サービス、 
 じぶん銀行  ・住宅ローン契約手続きがネットで完結。契約書の署名や捺印が不要で、申し込みから契約まで手続き期間は最短10日。契約書がないため、契約書に貼付する収入印紙代も不要。
・返済口座への他行口座からの資金移動の手数料が0円。
・auユーザーなら、通信サービスとセットで毎月500円分(最長5年間)をauWALLETにキャッシュバック
(au住宅ローン)
 住信SBIネット銀行  ・住宅ローン契約手続きがネットで完結。契約書の署名や捺印が不要。契約書がないため、契約書に貼付する収入印紙代も不要。
・返済口座への他行口座からの資金移動の手数料が0円。
 三菱UFJ信託銀行  ・インターネットを利用して、自宅のパソコン画面から住宅ローン担当者と、休日や平日の夕方に相談が可能(ネットで予約可能)。
 イオン銀行  ・イオングループでの買い物が毎日5%OFF
(なお、割引対象期間は約5年間。また、借入金額に応じて年間での割引上限金額あり)

住宅ローンを選ぶ際に、金利やコストを比較・検討した上でも、なかなか選びきれずに迷っているようなときには、個々の金融機関が取り組んで提供しているサービスや利便性も検討項目に加えてみてはいかがでしょうか。

【参考リンク】

私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。株式会社 ワーク・ワークス代表取締役。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2017年07月10日