第700回

税金滞納は厳禁!個人信用情報は自分で守ろう

固定資産税の支払いをうっかり忘れ、滞納してしまいました。督促状が来てすぐに支払いましたが、今後のローン借り入れやクレジットカードの審査に影響しますか?(Eさん 32歳 会社員)
税金の納付状況は個人信用情報(いわゆるブラックリスト)には載りません。ただし、ローンの種類によっては審査に影響する場合もあります。滞納の影響や注意点、対処法を確認しておきましょう。
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自分で納めなければならない税金とは

会社員や公務員の方は普段あまり意識することがないかもしれませんが、税金には自分で納めなければならないものがあります。 主なものには、固定資産税、自動車税、軽自動車税などがあります。 また、アフィリエイト広告や家賃収入など給与所得以外の所得が20万円以上ある場合には、確定申告をして自分で所得税を納める必要がありますし、住民税は給与から納める特別徴収か、自分で納める普通徴収かを選ぶ必要があります。

これらの税金は、自治体から送られてくる納付書を使って期限内に納めます。 納付期限を過ぎても納付しない場合には督促状が送られてきます。 督促状が送られてきても納付しない場合、最終的には財産を差し押さえられてしまいます。

税金滞納の影響

税金や社会保険料の納付状況は個人信用情報の登録対象ではないため、滞納があったからといっていわゆるブラックリストに載ることはありません。 そのため、滞納があってもクレジットカードやカードローンの審査には影響しません。 ただし、住宅ローンや不動産担保ローンなどには大きな影響を及ぼす場合があります。

会社員が住宅ローンを申し込む場合には源泉徴収票や課税証明書で足りる場合もありますが、個人事業主の場合には納税証明書の提出を求められる場合が多くあります。 不動産担保ローンの場合には会社員、個人事業主を問わず、多くの金融機関で固定資産税の納税証明書の提出が必須になっています。 課税証明書は所得金額や税額が記載されているだけですが、納税証明書は税金を納めていることを証明する書類です。 未納がある場合にはそれが記載されてしまい、ローンの審査に通るのが難しくなる場合があります。 そのため、未納がある場合には、ローンの申し込み前に未納分と延滞税を納付しておく必要があります。

相談者の場合は、督促状が届いてすぐに納付したとのことですので問題ないかと思われますが、今後は納付忘れがないように気を付けましょう。

個人信用情報を守るための注意点

最近では税金をクレジットカードで支払える自治体が増えています。 現金を持ち歩く必要がない、金融機関に行かずに自宅で手続きができる、ポイントが貯まる、などのメリットから利用が進んでいます。 しかし実は注意が必要です。本来、税金や社会保険料の納付状況は個人信用情報の登録対象ではありません。 しかし、クレジットカード払いを選択し、残高不足で引き落としができなかった場合には、クレジットカード返済の遅延として個人信用情報機関に登録されてしまします。 また、クレジットカード払いには手数料が必要な点にも注意が必要です。

もうひとつ注意しておきたいのが、携帯電話・スマートフォン端末の分割払いです。 携帯電話やスマートフォンの通話料・通信料を滞納しても個人信用情報には影響しませんが、端末の分割払いは信販の与信取引となり、滞納すると個人信用情報機関に登録されます。

個人信用情報は、ついうっかりや思いがけないことで傷付いてしまうことがあります。 しかも、いざお金が必要になった時点で気付いたのでは手遅れになるケースもあります。税金や公共料金は支払い方法をよく考え、期限内に支払うようにしましょう。

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私が書きました

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宮野 真弓 (みやの まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。

※執筆日:2016年11月14日