第639回

銀行の自動車ローンとディーラーの提携ローンの違いって?

来年子どもが生まれるので、新車購入を考えて、今度の連休にカーディーラーを見て回るつもりです。購入にはローンを利用しようと思っていますが、ディーラーの提携ローンと銀行の自動車ローンにはどんな違いがありますか?(熊本県 T)
低金利が魅力の銀行の自動車ローンに対し、ディーラーの提携ローンは車種によって特別金利が設定されていたり、残価設定ローンが使えたりと金利負担の少ないローンを利用できる場合もあります。ディーラーを訪れる前に、それぞれのローンを下調べしておきましょう。

購入予定の車種は?自動車の使用期間は?

お子様の誕生に備えての新車購入とのことですね。どんな車にするか、決めていますか?自己資金はどれくらいありますか?ローンについて検討する前に、購入する車や家計の状況について確認しておきましょう。

というのは、ディーラーの提携ローンの場合、車種によっては優遇金利が設定されていることがあるからです。また、使用期間が限られているのなら、残価設定ローン※1 を利用する手も考えられます。さらに、自己資金がいくらで借入予定はこのくらい、と大体予算が決まっていれば、銀行の自動車ローンの事前審査(仮審査)※2 を利用して、車種を決める前に審査を受けておくことでスムーズに低金利のローンを選ぶこともできます。

お子様の誕生となると、子どもを乗せやすい安全性の高い車、広い車内…など欲しい自動車の条件が変わってきますよね。今後の生活や住環境も考えて、車種や使用期間も考えてみてください。今後の子どもの成長や子どもの数が増えることも考えると、大き目の車のほうが長く乗れるでしょう。子育て家庭にはおじいちゃん、おばあちゃんが訪ねてくることも増えますし、子どもの友達もいっしょに乗せて習い事などに送迎することもあるでしょう。しかし、道幅の狭い地域に住んでいたり、住む予定があったりしたら、コンパクトな自動車のほうが運転しやすく、使い勝手がいいかもしれません。周囲の子育て家庭の様子も見て、どんな車にするか、どれくらいの期間使うのか、候補を絞り込んでおきましょう。

なお、残価設定ローンや事前審査については、以前のコラムで詳しく取り上げられているので、そちらも参考になさってください。

※1 残価設定ローン
自動車の価格から設定期間後の下取り価格(残価)を差し引き、その金額でローンを組むもの。3年、5年といった設定期間が過ぎると、1.自動車を返却する 2.違う自動車に乗り換える 3.自動車を買い取るという3つの選択肢がある。3.の場合には残価を一括で払うか、再度ローンを組む必要がある。

【参考リンク】

※2 事前審査(仮審査)
一部の銀行などで利用できる。購入車種を決める前に仮審査を申し込め、仮審査結果は3カ月間などの有効期間が設けられている。

【参考リンク】

では、ディーラーの提携ローン、銀行などの自動車ローンについて特徴をみてみましょう。

ディーラー提携ローンは、信販会社のクレジット扱い

ディーラーで申し込める提携ローンは、一般的に信販会社や系列のファイナンス会社などの扱っている自動車クレジットです。購入する車の所有権はローンを完済するまでディーラーや信販会社になっていることが多く、自動車が担保となるので審査基準は一般的には銀行の自動車ローンよりも柔軟で、審査期間も短くなっています。

購入する自動車を決めたら、店頭(あるいは自宅ででも)ディーラーの社員が審査申込手続きを行ってくれて、自動車の購入手続きと同時にローンの契約も済ませられる場合もあります。審査時、手続きの手間も時間も節約できて非常に便利ですが、もしも審査に通らないと、自動車の購入ができなくなります。

ディーラーの提携ローンは一般的には銀行の自動車ローンよりも金利が高めですが、車種によっては優遇金利が適用されることもあります。車種による優遇金利は、自動車メーカーやディーラーのホームページなどに掲載されている場合もあるので、前もってチェックしておかれるといいですね。

またディーラーでは、通常の提携ローンのほか、前述の残価設定型のローンを取り扱っているところも多くあります。残価設定型ローンが使える車種が限定されている場合もあるので、ホームページ等で確認しておくとよいでしょう。

銀行の自動車ローンは低金利

一方、銀行で自動車ローンを組んだ場合の所有者は購入者本人になります。自動車を担保にするわけではないので、審査基準は厳しく時間もかかりますが、購入車種を決める前に前述の事前審査が受けられる銀行などもあります。事前審査の「有効期間」には幅があるので、早めに事前審査を受けておけば、あらかじめ借りられる金額の目安がわかり、手続きもスムーズに進めることができますね。また、銀行の自動車ローンは、車だけでなくオートバイやレジャーボート、車検費用や修理費用などの車に関する諸費用も融資対象になります。

なお、銀行などの金融機関は平日の日中でないと手続きできないのが不便と感じる方も多いのですが、来店不要で申込みや手続きができる銀行の自動車ローンもあります。イー・ローンなどの検索・比較サイトでチェックしてみてください。

このように、銀行、ディーラーそれぞれのローンに特徴があり、選ぶ車種や使用期間など、購入者の状況によっても、「お得感」は違ってきます。ディーラーに行く前に、銀行の自動車ローンを検討して可能なら仮審査を受け、さらにホームページ等でディーラーの提携ローンについても優遇金利などの情報を集めておかれるとよいでしょう。その後、実際にディーラーに出かけて自動車を選び、ローンについても確認しましょう。事前に調べておいた自動車ローンと合わせて、複数のローンを比較検討することで、ご自分にとって有利なローンを選んでください。

【参考リンク】

私が書きました

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大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2015年09月09日