第481回

自動車ローンを借りるために必要な条件は?

地球に優しい暮らしを目指して、電気自動車「日産リーフ」の購入を検討しています。頭金100万円で、初めてローンを組もうと思いますが、収入、貯金、勤続年数などはどの程度あれば審査に通るのでしょうか?(Aさん 神奈川県 29歳)
ローンの審査は各金融機関が独自の判断基準で実施していますので、通るか、通らないかは一概にはわかりませんが、金融機関もきちんと返済してもらえそうな人に貸すはずですので、まずはご自身でどの程度の返済額、利率までなら無理なく返済していけるのか、ご自身の判断基準を明確にしてから申込をしましょう。

自分が払える基準がわかっていれば、ローンに対する不安もなくなる

初めての自動車ローンで、審査に通るのかどうかという不安な気持ちを抱かれる方は、特に若い方に多いかもしれません。今回購入を検討されている電気自動車、「日産リーフ」のメーカー小売希望価格は、本体価格が376.4万~414.4万円。頭金100万円を用意しているものの、ローンに頼る金額も大きくなってしまいます。「ローンによっては優遇金利が受けられようだが、自分はどのくらいの金利で借りられるのだろうか?少し高めの金利でも仕方ないが、金利が高くなると返済できるかどうか不安だ・・・。」そんなときは、あらかじめ、ここまでの金利なら買う(買える)、これ以上なら買わない(買えない)という基準がわかっていれば不安も払拭できますし、自分にとって高すぎる金利を払うこともありません。

【参考リンク】

自分が無理なく返済し続けることができる金額は?

買いたい車が決まっている場合、ローンで借りる金額もほぼ決まってきます。「日産リーフ」は、エコカー補助金、エコカー減税も受けられます(2012年8月現在)が、コンセント設置工事(約10万円)、諸経費も必要ですし、Aさんは、頭金100万円の他に300万円のローンを組むことにしました。毎月の返済に充てる金額は4万円~5万円を考えています。前回のアドバイスでは、「無理のない毎月返済額」と、「許容できる利息総額」が、ローン選択の際の判断基準になるということでした。こちらを参考に、毎月返済額と利息総額がどうなるかをシミュレーションして判断しましょう。

【参考リンク】

【参考】 借入金額が300万円の場合の毎月返済額・利息総額
実質年率 返済期間 毎月返済額 利息総額
2.0% 5年 52,583円 154,997円
2.0% 6年 44,251円 186,095円
2.0% 7年 38,302円 217,394円
2.5% 5年 53,242円 194,524円
2.5% 6年 44,913円 233,741円
2.5% 7年 38,967円 273,268円
3.0% 5年 53,906円 234,364円
3.0% 6年 45,581円 281,834円
3.0% 7年 39,640円 329,752円

(元利均等返済・ボーナス払い無し)
(イー・ローンシミュレーションにて試算し、筆者作成)

このように、同じ金利で借りても、返済期間が長くなると、支払わなければならない利息総額は増え、毎月の返済額は減ります。つまり、毎月返済できる金額が多いほど、早く返済を終えることができ、支払う利息も少なく済むのです。

自分が納得できる利息総額と毎月返済額を選ぶ

シミュレーションによると、返済期間が5年の場合、どの金利においても、毎月の返済額がAさんの想定している4~5万円を超えてしまいます。そこで、毎月の返済額を抑えるため、返済期間を6年で考えてみましょう。その場合、実質年率2.0%で利息総額は186,095円、実質年率3.0%だと281,834円になり、利息総額の差額は95,739円です。低い金利のローンを借りられなかった場合、1%の実質年率の差で生じる利息総額の差額を許容できるかどうかが、一つの判断基準になります。利息総額を減らしたいからといって、毎月の返済額をギリギリまで増やし、無理な返済計画を立てることは禁物です。これを機に、家計全体を見直して無駄な支出を省くことは大切ですが、駐車場代をはじめガソリン代や自動車税、車検代など、車を持つことによって発生するコストも考慮に入れて返済計画を立てることが必要になります。

利息負担と車を手に入れるメリットを比較してみる

急いで車を買う必要がない場合は、もう少し頭金が貯まるまで待つという選択肢もあります。頭金を増やして借入額を200万円に減らすと、実質年率2.5%では以下のような毎月返済額、利息総額になります。

私が書きました

福島 佳奈美 の写真

福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2012年08月10日