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実際どうなの、その“ちょい上” ワンランクアップしてみました。

実際どうなの、その“ちょい上” ワンランクアップしてみました。

飛行機にビジネスクラスがあるように、うな重に上があるように、ザクにシャア専用があるように――。世のあらゆるモノやサービスには「ちょい上」クラスがあるもの。その価値を知っている者と知らない者とでは、何だか人生の豊かさが変わってきそうな気がします。あまたある「ちょい上」たるものの使い心地はいかがなものか?節約してでも、ボーナスをはたいても体験すべきか?検証すべく、庶民派かつ恐妻家ライターのモモセが気になるワンランクアップ商品を体験取材。背伸びしない目線で語る、お気軽体験ルポコーナーでございます。

第7回
理科実験教室で、息子の成績をちょい上にしたい!(前編) (2013年04月02日)

ちょい上した人
ライター・モモセ

1971年生まれ。ビジネス誌、マネー誌を中心に活躍。デキるビジネスマンへの仕事術取材。賢い投資法や節約術など相当数取材している。のに、なぜかデキない、カネない、家での権威がないという、ナイナイづくしの庶民派ライター。好きなロックバンドは男闘呼組。

学習塾だけじゃ足りない? 実験教室が人気のワケとは。

いきなり私事で恐縮だが、かわいい我が息子は小学4年生。

小4といえば、教育熱心な家庭では「中学受験」を視野に入れ子供を塾に通わせ始める時期だ。
私と違って息子はデキがいい。
フトコロ事情は厳しいが、ひそかに中学受験を夢見て「そろそろ塾に通わせなければ…」と思っている次第である。

ただし、塾といっても千差万別。
まあ、どこか中学受験専門の塾を選べばいいかなあと軽く考えていた矢先、編集者Hから思わぬ情報が入った。
「モモセさん、最近は塾だけではダメらしいですよ」

なぬ? どういうこと?

「中学受験のキモになるのが理科の実験学習なのですが、学校や塾ではそこまでフォローしきれないという話を耳にしました。だから塾とは別に、理科の実験教室に通う小学生が増えているみたいなんです」

ほう、そうなのか。
思えば小学生の時の私の苦手科目は理科だった。
そのDNAを受け継ぐせいか、息子も理科だけは苦手としている。
というか、「好きじゃない」ようだ。

「じゃあ今回は息子さんのためにも、ふつうの塾より“ちょい上”の理科実験教室に行ってみませんか? モモセさんみたいに勉強嫌いになって、ダメ・ライターへと進む道、歩ませたくないでしょ?」

ほほう。というか、おい。さすがに失礼じゃないか?
しかし、妙案でもある。
このまま息子に、私と同じ貧乏ライターかつ恐妻家の道を歩ませるのは避けたい。 それだけは親の務めとして避けねば……。

「息子の代わりに入学します!」
ババン! というわけで、やってきました、東京・五反田にある「アルファ実験教室」(http://web-sensei.jp/)。
出迎える人体解剖模型が、いきなり実験ゴコロを誘います。
あ、念のため。手前が私で奥が模型です。

いやはや、理科実験教室なんていうから古い小学校の理科室をイメージしていたが、なんともスタイリッシュなビルの中。五反田駅から徒歩3分程度とナイスな立地なのもすごい。

「教室の全景はこんな感じ」
でもって、こんなシャレオツな教室なのです。

「今日はよろしくお願いします」と白衣姿で出迎えてくれたのは、同教室を立ち上げて指導にあたる森亮之先生。
コワい先生だったら嫌だなぁ、と人知れずビビッていたが、やさしそうな先生でひと安心だ。

「こちらが森先生です。……いいな~、白衣」
森先生の姿を見て思い出したことが。理科の実験といったら白衣を着るものとばかり思っていたが、小中高と着たことなし。理科が嫌いになった理由はそこにあるような気もしてきましたよ。

さて、もともと中学受験専門の大手塾で理科の講師をしていたという森先生。塾講師を経て7年前に手弁当で「アルファ実験教室」をスタートしたそうだ。

なぜ、わざわざ理科の実験教室を開いたのか?

「理科実験をするとしないとでは、子供たちの学びの質が全く違うし受験の結果も大違い。それなのに、子供たちが実験する“場”が無かったからなんですよ」(森先生)

背景のひとつにあるのが「ゆとり教育」だ。最近、改訂されたが、その影響で小学校の授業数は激減。手間とコストのかかる理科実験は削られる対象となってしまっていた。

「熱く理科実験への思いを語る森先生」
しかし、中学の入試問題には理科の実験シーンを挙げて「この結果どうなりますか?」と問う問題が極めて多く出題されるのだそうです。ええ!? 矛盾してるじゃん。

結果、学校も大手塾もテキストをもとに教えた詰め込み指導になる。でも子供たちは実験はおろか、実験道具すら見たことが無い状態でそんな試験問題に対峙してしまい、ちんぷんかんぷん…というわけだ。

そこで森先生は大手塾の講師時代に動いた。

「個人的に実験道具を持ち込んで授業をすると、子供たちはテスト結果を確実に上げたんです。自分で手を動かして試すことで得る触感や匂いや感動は、深く心に刻み込まれる。丸暗記ではなく好奇心にまで響く学習だからこそ、物事の本質をつかめることを確信しました。ところが、やはり大手の塾ではなかなか手間のかかる実験を日々実施するのは難しくて…」(森先生)

こうして自ら理科実験教室を起ち上げ。物理、生物、地学、化学、と理科の全分野を網羅した実験学習に特化して教える場所をつくりあげた、というわけだ。

「なるほどねえ、と感心する私」
(白衣、着られていいなぁ…と思いながら)

いずれにしても、学校での理科の授業は今も詰め込み教育に近い様子。だから、うちの子も「理科ぎらい」になっているのかもしれない。

この教室は卒業生を毎年100名くらい出しているが、今年は中高一貫校の名門、国立筑波大付属駒場中に7名もの生徒が合格。同じく名門の桜蔭中、開成中、麻布中に合格した生徒はもっと多いというからすごい。

ほほう。やはりうちの子も通わせるしかない!

「中学受験をわかりやすい目標として掲げていますが、一番の狙いは理科を好きになってもらうことなんです。実験を通じて楽しく学ぶことで理科が好きになり、好きになれば自主的に勉強するようになりますからね」(森先生)

理科の実験学習の必要性は十二分にわかった。
気になるのは授業内容だが…。
「今日これから小学4年生の授業があるんです。よろしかったら、モモセさんも特別に参加してみませんか?」とやさしいお言葉をかけてくれた森先生。ぜひぜひ、お願いします(白衣も着たいし)。

「というわけで、参加しました」
ジャン! 小4生の教室の末席に座らせて頂きました。それにしても、残念なのは子供たちのかわいさと私からほとばしるアラフォー感のギャップがすごいこと。さらに残念なのは、大人用の白衣が余っていなかったことでした……。

実験のテーマは「音の性質」。音の特徴を、実験を通じて学ぶものだ。机をともにする生徒たちを眺めると皆、いかにも賢そうである。

塾とは別にここに通う生徒が大半ということで、学びの意欲が違うのだろう。授業時間も120分とかなり長めだ。

最後まで飽きずにいられるのか? いや、子供たちじゃなくて、私が。

心配する中、森先生が壇上に上がり、いよいよスタート!

まず、弦が張られて音の出る「モノコード」という器具が登場。弦を指ではじき、音が出る時の弦の様子を観察した。

「こいつがモノコードです」
音が出ると弦がふるえます。まあ、なかなか家にはないですよね。学校にもあったかな…。

森先生は「弦をさわってみて」と指示し、生徒たちにふるえを実感させた。次に「モノコード」の弦を強くはじいた時と弱くはじいた時で、弦のふるえがどう変わるかを比較させた。

私もやってみた。

おお。強くはじくと音は大きくなって弦のふるえも大きくなる。
おお。弱くはじくと音は小さくなって弦のふるえも小さくなる。

当たり前なのだが、これを実感させたうえで弦がふるえる幅を“振幅”と呼ぶことを教えてくれた。ああ、生で体験すると違うわあ。

「ワイワイと楽しそうです」
子供たちは数名のチームになって実験中。真剣かつ楽しそうです…いいなぁ、白衣。

さて、次にU字型の「音叉(おんさ)」が登場。これを鉄琴のバチみたいなもので叩くと音が出る。「音が出ている時は、まわりの空気が振動してふるえているんです」と説明する森先生。そのふるえを目で見るために、マイクロホンがついた「オシロスコープ」という器具を使った。

「これが、それです」
音叉です。楽器のチューニングにも使うあれですが、実験用でデカいです。

この「おんさ」をバチで叩いてマイクロホンを近づけると、「オシロスコープ」に音が出ているときの空気の振動が波のように描かれる。

「こんな感じです」
でも、なんかこういう機材と私と白衣の人がいると、病院に見えてしまうのは年の功 でしょうか?

ここで「『おんさ』を強く叩いた時と弱く叩いた時で、音の波はどう変わるでしょうか?」という問いが出た。

なるほど。森先生は生徒たちに考えさせる時間を与え、あらかじめ仮説を立てさせたうえで結果がどうなるか実験によって確かめさせるわけだ。

仮説と検証――。
科学に必要な基本思考が、クセになるに違いない。

「仮説はチームごとに発表」
「音の波はどう変わるか…」チームごとに立てた予想をホワイトボードに書いて、発表。その後、実験で検証するわけです。

実際「音の大小は空気の振幅によって決まります。振幅が大きいと音は大きくなり、振幅が小さいと音は小さくなるんです」との森先生の解説に、皆一様にうなずいていた。
予想が当たった生徒は喜び、外れた生徒はくやしそうだ。
もちろん、この私もだ(もちろん、くやしかった…)

「では、次の実験に移りましょう」と、また新たな実験道具が目の前に――。

「あれ、音楽教室だっけ?」
いや。これも次の理科実験道具です。

実験はまだまだ続くのであった。(次回へ続く)

※文/百瀬康司、企画構成/カデナクリエイト、編集/イー・ローン