住宅ローンの融資可能額

住宅ローンの融資可能額とは?

住宅ローンには、金融機関で異なりますが「いくらまでなら貸してもらえる」という融資限度額があります。融資限度額は大きく分けて、物件による制限(担保評価額)と借入者の収入による制限の2つがあり、いずれか低い方が融資額の上限となります。言い換えるなら、両方の制限に引っかからないことが条件と言えます。

<物件による制限>

民間の金融機関では、以前は購入金額や担保評価額(物件評価額)の80〜90%程度を融資金額の上限とするのが一般的でしたが、最近ではその全額を融資金額の上限とすることが主流となっています。ただし、「購入金額=担保評価額」ではありません。担保評価額は各金融機関の基準により決められるため購入金額を下回る可能性もあるので頭金なしで検討している場合は注意が必要になります。また、金融機関やローンの種類によっては物件や取り扱いエリアを限定するものなどもあります。なお、借り換えの場合には担保評価額の200〜300%まで融資可能なローンもあります。
住宅金融支援機構の【フラット35】は、マンションの場合は専有面積が30m2以上、一戸建ての場合は床面積70m2以上、物件価額が1億円以下などの基本条件があります。さらに住宅の耐久性などについて住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合していることが条件となり、基準の適合にあたっては検査機関または適合証明技術者(中古住宅のみ)が発行する適合証明書の交付を受ける必要があります。まずは融資対象物件となるかどうかを確認しましょう。

<収入による制限>

収入による制限は、住宅金融支援機構の【フラット35】の場合は、年収に占めるすべてのお借り入れ(フラット35を含む)の年間合計返済額の割合(=総返済負担率)が、以下の基準となります。

年収
400万円未満
400万円以上
基準
30%以下
35%以下

民間金融機関での収入による制限の一般的な例は下表になります。当然ながら金融機関によって審査基準が異なり、ほとんどの金融機関でその基準は明記されていません。

収入による制限(民間金融機関の例)

税込み年収
返済負担率
400万円未満
30%以内
400万円以上
35%以内
600万円以上
40%以内

注:返済負担率=年間返済額合計÷税込み年収

返済負担率は、新たに借り入れをする住宅ローンに加え、現在返済中のマイカーローン、カードローンなどの返済額も含めて計算する必要があります。
収入による制限を広げる方法として、配偶者や親、子など同居予定の家族との収入を合算させる方法があります。

融資可能額を試算してみよう

実際にどのくらいまで融資してもらうことができるのかは、次のような手順で試算することができます。

例)Aさんの場合
税込み年収450万円。4,000万円の新築マンションを購入予定。

物件による制限
購入金額(=担保評価額の場合)の100%
4000万円×100%=4,000万円
年収による制限
年間返済額
350万円×35%=157.5万円

年間返済額から融資可能額を計算するには、
毎月返済額 ÷ 借入金100万円あたりの毎月返済額 ×100万円
で試算します。
たとえば、金利2.0%、借入期間30年、元利均等返済の場合、100万円あたりの毎月返済額は3,696円なので、Aさんの場合
(157.5万円÷12)÷3,696円 ×100万円 =約3,551万円
となり、年収による制限の3,551万円までは融資可能、ということがわかります。

金利と返済期間によっても融資可能額は変わる

融資可能額は、金利が低いほど、返済期間を長くするほど大きくなります。

例)Bさんの場合
税込み年収700万円。元利均等返済で返済負担率40%を想定。

金利2.0%で返済期間を変えた場合

返済期間20年だと
約4,612万円
返済期間30年だと
約6,313万円
返済期間35年だと
約7,042万円

返済期間30年で金利を変えた場合

金利1.0%だと
約7,255万円
金利1.5%だと
約6,761万円
金利2.0%だと
約6,313万円

融資可能額はこのように試算することができますが、融資可能額と返済可能額は違います。毎月返済額は将来にわたって無理のない金額か、返済期間は老後の生活に影響を与えないか、なども十分考慮した上で借入額を決めるようにしましょう。