第746回

カード払いの新常識!デビットカードとは?

最近、銀行の「デビットカード」の宣伝をよく見かけます。クレジットカードは持っていてよく使っていますが、これからはデビットカードも持っていたほうがよいでしょうか? そもそも、デビッドカードはクレジットカードとどんな違いがあり、どんなことに注意をして使えばよいのか教えてください。(女性 28歳 会社員)
デビットカードは、利用できる金額が銀行の預金口座残高の範囲内で、買い物やサービス等の代金を原則預金口座から即座に引き落とす仕組みになっています。 口座からの引き落としが後日になるクレジットカードと違って、家計管理がしやすく、使い過ぎの防止にもなります。 デビットカードのメリットやデメリットをよく理解して、クレジットカードとうまく使い分けるようにしましょう。

デビットカードは買い物やサービスの代金を預金口座から即時に引き落とす仕組み

デビットカードは銀行が発行しているカードで、買い物をした時や各種サービスを利用した時にこれを使って決済をすると、原則即座に預金口座から代金が引き落されます。 そのため、ATMから現金を引き出さずにすみ、ATM利用手数料を節約することができます。 また、現金をたくさん持たなくてよいので、セキュリティ面でも安心です。 なお、銀行のキャッシュカードと一体型のデビットカードは、ATMで現金の引き出しにも使えます。

同じような決済機能も持ったカードにクレジットカードがありますが、主な特徴の違いを簡単にまとめてみました。

デビットカードとクレジットカードの主な特徴の違い
項目 デビットカード クレジットカード
利用限度額
原則として預金口座残高
事前の審査で決定
支払い方法
原則即時
後払い
支払い回数
1回払いのみ
1回払い、2回払い、分割払い・リボ払い・ボーナス払い
(分割払い、リボ払いでは手数料がかかる)
キャッシングなどの借り入れ
不可
可能

デビットカードは支払い方法が原則即時であるため、後払いのクレジットカードと比べると家計の管理がしやすいでしょう。 また、分割払いやリボ払いがないことや、借り入れなどもできないことから、支払いに際して手数料(利息)がかからず家計に負担がかかることがありません。

J-Debitとブランドデビットカードとではブランドデビットカードが便利!?

デビットカードには、J-Debit(ジェイデビット)と、VISAデビットカードやJCBデビットカード等のクレジットカード会社としてよく知られているブランドデビットカードがあります。

J-Debitは、銀行が発行したキャッシュカードがデビットカードとしても利用できるものです。 普段私たちが使っているキャッシュカードにデビットカードの機能がついているので、あらためて申し込む必要はなく、年会費などの負担もありません。

一方、VISAデビットカードやJCBデビットカード等のブランドデビットカードは、銀行にあらためて申し込む必要があります。 なお、デビットカード機能とキャッシュカード機能が一体になっているものにすれば、ATMで現金の引き出しに使うこともできます。

ブランドデビットカードとJ-Debitの主な特徴の違い
  J-Debit ブランドデビットカード
(VISAデビットカード・
JCBデビットカード等)
取扱店
非公表
(全国30万ヶ所以上。加盟店を事前に確認する必要あり)
VISAやJCBのクレジットカード加盟店
海外での利用
不可
海外の加盟店で利用可能
(ただし海外取扱事務手数料がかかる場合が多い)
取扱可能時間
金融機関によって異なるが、平日8:00~21:00、土日祝は1/1~1/3と5/3~5/5を除き9:00~19:00はコア時間として使える
原則24時間365日
申し込み
不要
(キャッシュカード発行時)
必要
年会費など
不要
銀行によって必要
利用料金に応じたポイント付与やキャッシュバックなどの特典
なし
あり
(ただし、クレジットカードより還元率が低い)

J-Debitとブランドデビットカードの違いを確認すると、ブランドデビットカードのほうが使い勝手がよく、最近は急速に普及しています。

その理由は、よく使うクレジットカードと同じ感覚で使えることです。 基本的にクレジットカードの加盟店と使えるお店が同じため、あらかじめ使えるかどうかを確認しなくてすみます。 また、加盟店も非常に多く、さらに日本だけでなく海外でも使えます。取扱可能時間も原則24時間365日です。 そのため場所や曜日、時間を意識せずに使うことができます。利用料金に応じたポイント付与やキャッシュバックなどの特典があることも魅力です。

ただし、ブランドデビットカードは、年会費がかかる銀行があることには注意が必要です。 カードを作っただけで使わないともったいないでしょう。

デビットカードは預金口座にお金がなければ使えない

デビットカードの利用限度額は預金口座残高に限定され、買い物やサービス代金は原則として即時引き落としになります。 そのため、口座にお金が足りないときに買いたいものや必要なものが買えません。 常に買い物やサービス代金以上の金額が預金口座にあることを確認しておく必要があります。

デビットカードとクレジットカードの特徴の違い、J-Debitとブランドデビットカードの特徴の違いをよく踏まえて、それぞれを上手に活用したいものです。

【参考リンク】

私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。株式会社 ワーク・ワークス代表取締役。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2017年10月04日