第711回

まだ現金派?海外でこそクレジットカードを活用!

今年の春、久しぶりに海外旅行に行く予定で準備を始めています。旅先での支払いにクレジットカードを使うのは不安です。大金を持っていくのも不安なので、どうしたらいいでしょうか?(M・Oさん 48歳 会社員)
海外でのクレジットカード利用に不安を持つ方はまだ少なくないようです。しかし、海外ではクレジットカードがないと困るシーンがありますし、利用するメリットもたくさんあります。一方、現金が必要なシーンもあります。ですから、メイン使いはクレジットカード、現金は必要なときだけの最小限にとどめる使い方をおすすめします。

海外ではクレジットカードと現金の両方が必要!

海外での支払い方法は、主に現金とクレジットカード(以下、クレカ)の2種類です。どちらも、なくては困るシーンがあります。

現金は、現地での移動に使う交通費(バス代、鉄道の切符代、タクシー代など)、クレカが使えない店やチップの支払いに不可欠です。 ただ、治安のいい国ばかりではありませんので、大金を持ち歩くとスリや引ったくり、置き引きなどの被害に遭う、落としてなくす心配があります。 こんなケースは、まず戻ってくることはないと思った方がいいでしょう。 ですから、持ち歩く金額は、現金でなければならないシーンを想定した最小限にとどめるのが賢明です。

クレカもなくては困るシーンがあります。ホテルのチェックイン時やレンタカーを借りる際に提示を求められます。 クレカは支払い能力があることを証明する「身分証」で、デポジット(預り金)として利用できるからです。 もし、クレカを持って行かないと、デポジットを現金で預けることを求められたり、詳細な個人情報の登録を要求される場合があります。 どちらも、避けたい事態ですよね。

海外でクレジットカードを使うメリットはたくさん!

クレカのメイン利用をすすめるのは、メリットがたくさんあるからです。そのメリットの例をまとめました。

・持って行った現金が足りなくなった際、クレカの海外キャッシング(借り入れ)の機能を利用して、ATMで現地通貨を引き出せます。為替レートは銀行や両替商よりお得なことが多いようです。借り入れた金額には利息がつきますが、帰国後すぐに繰り上げ返済すれば利息を抑えられます。
・クレジット機能を利用して、飲食店での支払いやおみやげ購入など、クレカが使える場所の支払いに使えます。少々、高額なショッピングもできますね。
・ポイント還元のあるクレカなら、使った金額等にポイントがつきます。
・クレカの盗難や紛失などのトラブル時には、本人に明らかな過失がある場合を除いて、被害に遭ってから一定期間さかのぼって補償されるので安心です。補償を受けるには、現地の警察での盗難・紛失の届けが必要なので、必ず手続きをしてから帰国しましょう。
・海外旅行保険がついているクレカなら、旅先での病気・ケガでかかった医療費や亡くなった場合などの補償があります。また、ホテルで水漏れ事故を起こして請求された修理代や携行品が壊れた場合の補償が受けられるクレカもあります。
・空港ラウンジが無料で使える、現地で困ったことがあったら日本語でサポートしてもらえるなどのサービスがついています。

クレカは、盗難・紛失に備えて、また、使い分けができるよう2枚持って行くといいでしょう。 ただ、一緒に被害に遭わないよう、別々に管理・保持することをお忘れなく。

事前に確認しておきたいこと!

海外旅行に行く1か月くらい前までに、確認(必要があれば変更も)しておきたいことがあります。最も大事なのは、そのクレカが海外でも使えるかどうかです。 その他、暗証番号と有効期限、海外での支払い方法(一括かリボルビング払いか)、キャッシング・ショッピングの限度額(少ないようなら増額しておく)、海外旅行保険付帯かどうかとその補償内容、海外で使えるサービス内容も確認しておいてください。 旅先で困ったことがあったときの連絡先の電話番号をメモして持って行くのを忘れないようにしてください。

なお、最近では、海外でも使えるデビットカードやプリペイドカードが登場しています。 クレカでは使いすぎが心配という人は、これらを使ってもいいでしょう。

【参考リンク】

私が書きました

小川 千尋 (おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー。

1994年ファイナンシャル・プランナー資格取得。資格取得後、以前から携わっていた出版物の編集・執筆の経験を活かし、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー誌や一般誌、新聞、ウエブサイトなどのマネー記事の編集・執筆・監修などの執筆関連業務および個人のライフプランなどの相談業務、セミナー講師として活動。

※執筆日:2017年02月03日