第705回

いよいよ私立大学の出願時期。志望校が決まったらお金の用意も忘れずに!

来年、大学受験の長男の志望校が固まったようで、私立大学を受験したいと相談されました。大学の授業料はこども保険で何とかなりそうですが、それ以外に用意しておいた方がいいお金はありますか?(Y・Kさん 50歳)
私立大学の出願時期になりましたね。大学に入ってからかかるお金はこども保険などで用意している親御さんは多いようですが、大学に入るまでにかかるお金や大学生活を始めるための費用を想定していないケースが見受けられます。これらでかかるお金を見積もってみて、用意できるか点検してみましょう。大学でかかるお金は出願時期からスタートするのです。

受験関連費用だけで数十万円かかることも!

大学に入るまでにかかるお金には、受験関連費用、初年度納付金、大学生活を始めるための費用に大きく分けられます。

受験費用は、「センター試験利用方式」を利用する場合は、3教科以上は18,000円、2教科以下は12,000円です(ともに、成績通知を希望するとプラス800円)。一般入試は大学ごとに異なりますが約35,000円、願書代金は1,000円前後が相場です。もし、息子さんが一般入試で2校受験すると、受験料は願書代金も含めて約72,000円です。これ以外に、試験会場に行くための交通費、会場が遠方の場合は宿泊費もかかります。受験校が多く、しかも遠方の場合は、受験関連費用だけで数十万円かかることがあります。

まずは、息子さんがどこの私立大学を受験したいのかを聞き、願書代金、受験料、交通費、宿泊費を実額に近い金額で見積もってみましょう。

入学するときにまとまったお金がかかる!

大学受験に合格すると、初年度納付金が必要です。この内訳は、入学金・授業料・施設設備費・実験実習費などで、入学時に納めるのは入学金と前期分の授業料が一般的です。これらも、受験する私立大学はいくらかかるか事前にリサーチをしておいてください。初年度納付金の平均は約131万円 (2014年度文部科学省調べ)です。おそらく、この部分はこども保険などで用意できていることでしょう。

また、入学を辞退した場合に、入学時に納めたお金のうち、戻ってこない金額もリサーチして見積もりに入れておきましょう。

大学が自宅から遠い場合は、下宿も考えなければなりませんので新生活を始めるための準備にお金がかかります。例えば住宅関連費用(礼金・敷金・前家賃)、家具・家電・生活用品の購入費、引っ越し代金などがかかります。

息子さんの志望校が固まったら、入学までにかかるお金は、A校の場合はいくら、B校の場合はいくら、というようにそれぞれのパターンでシミュレーションし、その金額が必要な時期に用意できるか点検してください。

現在、国は返済不要の給付型奨学金の導入を新たに検討しています。収入や成績基準、給付額などの具体的な内容はこれから詰められ、2018年度の入学生から適用される予定です。

【参考リンク】

私が書きました

小川 千尋 (おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー。

1994年ファイナンシャル・プランナー資格取得。資格取得後、以前から携わっていた出版物の編集・執筆の経験を活かし、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー誌や一般誌、新聞、ウエブサイトなどのマネー記事の編集・執筆・監修などの執筆関連業務および個人のライフプランなどの相談業務、セミナー講師として活動。

※執筆日:2016年12月16日