第591回

スマホ購入を考えている人は必見!端末代金の分割払いで気を付けることは?

先日大手キャリアが新モデルを発表したのを機にスマホへの買い替えを検討しています。気になって携帯ショップに出向いて金額等見ているのですが、端末代金が高額なので購入の仕方を悩んでいます。普段、クレジットカードは1回払いしか利用したことがないのですが、スマホは分割でもいいかなと思っています。スマホの分割払いは、クレジットカードの分割払いと何が違うのでしょうか?気を付けるポイントがあれば教えてください。(Yさん 山口県 22歳)
普段、クレジットカードでは1回払いしか利用しない方でも、スマホやタブレットなどの高額な電子機器の購入を行う場合、割引サービスのメリットから分割払いを利用することもあるでしょう。端末の分割払いは毎月数千円レベルですが、支払いが遅れた場合の影響は大きく、その後の生活にも支障をきたす場合があります。事前に端末の分割払いを利用する場合の注意点をしっかり確認しておきましょう。

スマホの分割購入とは?

子供からお年寄りまで、幅広い層に広がってきたスマートフォン。手軽に写真を撮って共有したり、動画を見たり、外出先で地図を参照したり、生活に欠かせないものになりつつあります。通話し放題のプランや無料通話アプリの普及で、利用料金もある程度抑えられるようになってきました。但し、大手キャリアでは最低でも毎月6,000円~8,000円程度の利用料金がかかります。また、人気がある新製品の端末代金は、7万円~10万円と高額になる場合もあります。そこで、端末代金を月々の分割払いにして、利用料金から端末代金を割り引いて実質的な負担額を減らすというサービスを利用する方が多くなっています。

通常、クレジットカードの分割払いだと支払回数が3回以上になると手数料がかかるのですが、スマホの分割払いの場合は手数料がかからない上、通信料金からの割引サービスも受けられるので、利用を検討する方も多いでしょう。

このような端末代金を分割払いにして割引サービスを受ける場合、「個別信用購入あっせん契約申込書」という申込書に個人情報等を記入するはずです。普段聞きなれない名称ですが、端末代金を分割購入する上で必要なクレジット取引の契約書になります。契約書の裏面などには、その契約に関して個人情報を収集・利用することや個人信用情報機関への照会・登録を行うことなどが記されています。これは、「改正割賦販売法」という消費者保護のための法律があり、個人の支払い能力を超えて契約を結ぶことが無いよう、信用情報への登録や照会を義務付けて与信状況をチェックしているためです。クレジットカードの利用可能枠のような「包括的」な審査だけでなく、スマホの契約や自動車の購入など、販売店との「個別」の割賦契約でも審査が行われることになっています。

【参考リンク】

スマホの利用料金の支払いを滞納したらどうなる?

一方で、若い人を中心にスマホの利用料金の支払いを滞納するケースが増えています。口座引き落としによる残高不足や、払込用紙での支払い忘れといった場合があるようです。しかし、どのような理由でも、滞納して3か月を過ぎるまでに利用料金を支払わなかった場合、信用情報機関に登録されてしまいます。「端末代金は0円だし、スマホの利用料金を支払わなかった携帯電話会社との取引だけが問題になるのであって、その他の生活には影響がないだろう」と考えるのは認識不足です。「端末代金が実質0円」とうたわれていても、通信料金からの割引で見かけ上の端末代金が0円になっているだけで、割賦契約は存在しているのです。その後、たとえスマホの利用料金を支払っても、端末代金の分割払い契約が終わるまでの期間及びその後の5年間は、信用情報機関に滞納の履歴が残ったままになります。

つまり、その間新規にクレジットカードを作る場合や、自動車や住宅などのローンを申し込んだ場合に、審査に影響が出る可能性があるのです。

自分の信用力にも影響が出ることを理解し、きちんと支払いをしよう

クレジットカードで何万円も買い物をした分を滞納したわけでもなく、分割払いのスマホの利用料金を滞納しただけで数年間も信用情報機関に記録が残ってしまうということは、あまり知られていません。対策としては、契約書をよく読むこと、引き落とし口座をしっかり確認して残高不足を起こさないようにすることを普段の生活で気を付けることです。

特に注意したいのが未成年者の契約です。親の同意があれば「学生割引」として基本料金が一定期間無料になる契約ができるので、子供名義でスマホを契約するケースが増えています。その場合でも、支払いは親が行っているケースがほとんどでしょう。親が利用料金を滞納してしまったばかりに、子供が成人になってローンを組もうとしても組めないケースも起こりえます。

スマホやタブレットなどの電子通信機器の契約をする場合は、たとえ数千円の滞納でも、将来の車やマイホーム購入など、その後の自分の信用力にも影響が出ることを理解した上で契約を結び、支払いが遅れないように注意することが大切です。

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2014年10月01日