第556回

増税前に自動車購入のシミュレーションをしたい方!あなたに合った購入時期は?

消費税増税まで残り2か月になり、自動車を買い替えるかどうか悩んでいます。車を買うために毎月3万円ずつ貯金してきましたが、購入資金の一部は自動車ローンを利用する予定です。この時期、金利キャンペーンを実施中の金融機関もあるようですが、増税前で金利が安い今買うべきでしょうか。それとも、増税後になってもお金が貯まってから買った方がいいのでしょうか?(Tさん三重県32歳)
現金一括払いなら増税前に購入した方が支払うお金は少なくなりますが、自動車ローンを組む場合は、金利の支払いが発生します。どのくらいの自動車ローンを組むのか、支払うローンの金利はいくらになるのかをシミュレーションして、有利な時期を選ぶとよいでしょう。

消費税増税に合わせて変わる自動車関連の税金をチェック!

いよいよ消費税増税の4月が近づいてきました。高額商品の購入を始めとした駆け込み需要が予想されていますが、自動車の購入を検討されている方は、納車が3月末に間に合わなければ消費税が8%になりますので注意が必要です。

増税による消費の落ち込みを防ぐため自動車関連の税制も4月1日から変更され、購入時にかかる自動車取得税が普通自動車は現在の5%から3%に、軽自動車は3%から2%に引き下げられます。さらに2015年10月に予定されている消費税10%の増税時にはこれらの自動車取得税を廃止、一方で2015年4月以降は、軽自動車税を年7,200円から10,800円に引き上げることも決定しています。

このように自動車を取り巻く税制が目まぐるしく変わるため、「いったい、いつ買うのがお得なのか?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。まず、自動車取得税の軽減はあるものの、増税幅の方が大きいので現金一括払いなら増税前に購入した方がお得だということになります。自動車取得税が既に減税となっているエコカー減税対象車では、さらに増税前後の差額が大きくなります。

【参考リンク】

車にかかる費用を想定し、ローンを返済できるかどうか判断しよう

ちょうど買い替え時期が近く資金的にも問題が無い場合は増税前に購入しても良いでしょうが、初めて車を買う場合は、購入費用だけでなく、維持費がいくらかかるのかを見積もった上で購入を判断しなければなりません。維持費には、駐車場料金、自動車保険、自動車税、車検、ガソリン代、オイルやタイヤなどの消耗品費などが挙げられます。一例として車両価額が150万円の100%エコカー減税対象車の新車を増税前に購入する場合の購入時費用と維持費を見積もってみます。駐車場代やガソリン代は個人差が大きいと思われますが、表1のような金額で年間費用を見積もって月に換算すると、維持費だけで28,000円程度かかります。

【表1】車両価額150万円の100%エコカー減税対象車を増税前に購入する場合の費用例
購入時にかかる費用 維持費(年間)
車両価額 1,500,000円 駐車場代 ※2 120,000円程度
消費税(5%) 75,000円 ガソリン代 ※2 60,000円程度
自賠責保険 40,400円
(37か月分)
自動車税 ※1
(50%減税)
17,200円
その他の諸費用 150,000円程度 任意保険 50,000円程度
(条件により異なる)
    車検費用 75,000円程度
    消耗品 10,000円程度
合計 1,765,400円程度 合計 332,200円程度

※1 総排気量が1.5リッターの乗用車とした場合
※2 地域や利用条件等により異なる

また、購入時には車両本体の価格だけでなく、税金や自賠責保険をはじめとした諸費用もかかります。今回の相談者のように自動車ローンを利用する場合、頭金が貯まるまで待った方が総支払額が少なくなる場合もあると考えられます。仮に、80万円を頭金とし、残り100万円の自動車ローンを組む場合の毎月の返済額と利息総額がどのくらいになるか見てみましょう。

【表2】 借入金額が100万円の場合の毎月返済額・利息総額の例
金利 返済期間 毎月返済額 利息総額
2.0% 3年 28,643円 31,133円
2.0% 4年 21,695円 41,366円
2.5% 3年 28,861円 39,010円
2.5% 4年 21,914円 51,874円
3.0% 3年 29,081円 46,924円
3.0% 4年 22,134円 62,448円

(元利均等返済・ボーナス払い無し。イー・ローンシミュレーションにて試算し、筆者作成)

車両価額150万円の車を購入すると消費税は増税前で75,000円、増税後は120,000円ですので差額は45,000円です。100万円のローンを組んで表2のような金利で借り入れをした場合、金利と返済期間によっては、ローンを組んでも増税前に購入した方がお得になる場合があります。しかし、お得かどうかだけで購入を決めるのではなく、維持費と合わせて自分が毎月払える金額かどうかで購入するかどうかを判断することが大切です。

【参考リンク】

金利や税金、必要度に応じて増税前に買った方がいいかどうか総合的に判断しよう

自動車ローンを利用する場合、増税前に買う方がいいのか、増税後に買う方がいいのか、ケースによって異なると思われますが、維持費を負担しながら、ローンの支払いができるのかが重要です。生活の足としてどうしても車が必要なのに資金不足の場合は、維持費の安い軽自動車やエコカー減税対象車、場合によっては中古車の購入を検討しましょう。

ローンの申し込みには仮審査、本申込み、契約という手続きがありますが、仮審査には有効期限がありますので、早めに申し込んでおくこともできます。増税時期が迫ってきていますので、購入するかどうか決めかねている場合は、ローンの仮審査を申し込んでおくとスムーズに購入することができます。

キャンペーン金利などを利用して金利を抑えることができれば、増税前でもローンを組んで購入した方が支払う総額が少なくなる場合があります。イー・ローンのシミュレーション機能を利用すれば、利息総額がどれくらいになるのかを算出することができます。金利や増税による税金負担、車の必要度に応じて、いつ購入するのが良いかを総合的に判断するようにしましょう。

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2014年01月27日