第545回

自動車税増税の兆し!? 消費税増税前の自動車購入はどうすべき?

最近、自動車にかかる税金が上がるという噂を耳にします。自動車は大きな買い物なので、消費税が上がる前に買い替えようと思っていたのですが、購入したあとの税金も上がるようだと維持費が増えるので、今は購入を迷っています。どのタイミングで買えばいいのでしょうか?また、費用を抑える方法はないのでしょうか?(埼玉県 38歳 男性)
自動車には購入時や購入後にさまざまな種類の税金がかかるので、いつどんな税金がかかるのか、今後の動向をきちんと整理して理解をしておいたほうが良いでしょう。また、購入のタイミングについては、資金準備の状況や自動車ローンなども含め、家計の体力を見極めた上で決めるようにしましょう。

自動車購入時と保有時にかかる税金を理解して、今後の動向を注視する

自動車には購入時と保有時に次のような種類の税金がかかっています。

税金がかかる時期 税金の種類 国税・地方税
購入時 消費税 国税
自動車取得税 都道府県税
保有時 自動車税 都道府県税
軽自動車税 市町村税

自動車を購入する際には、国税である消費税が車両価格の5%の割合でかかります。さらにエコカー減税が適用されない場合、地方税の自動車取得税が車両価格の5%(軽自動車は3%)の割合でかかります。

つまり、私たちが普段購入する商品やサービスとは違い、自動車では購入時に2種類の税金を払うことになります。今後、消費税率がアップすると購入時の税負担はさらに増えます。そのため、自動車取得税は消費税率が8%になる時にはエコカーが減税され、10%になる時には全面廃止されることが予定されています。

ただ、そうなると地方税が減収になります。政府では、地方の財源を補填するため、同じ地方税で、保有時の税金である自動車税、特に「優遇されすぎている」という声もある軽自動車税の増額が議論されています。というのも、自動車税(自家用乗用車)は最低でも年2万9,500円かかるのに、軽自動車税(自家用)は最大年7,200円しかかからないからです。また、現在の排気量や車の種類による課税方式に加えて、環境性能に応じて税金を課す方式の導入も予定されており、燃費の良いエコカーは減税され、燃費の悪い自動車の課税は強化される方向になりそうです。しかし、自動車業界の反発などもあるため、結論が得られるのは年末になりそうです。

公的な交通機関が発達した大都市以外では、自動車は大切な生活の足です。したがって、「購入するかしないか?」というよりも、「どんな車をいつ買うか?」ということが問題になります。税負担の観点で言うと、「軽くて排気量が少ないエコカー」のほうが、購入時も保有時も安くあがることは、これからも変わらないでしょう。購入のタイミングについては、年末まで税制議論の行方を見守る必要がありますが、国や地方の厳しい財政事情を考えると、消費税の増税分が他の税金の減税ですべて相殺されるとは考えにくいですね。したがって購入時期は、さまざまな自動車の税制が変わる前、つまり、消費税が上がる前が有利だと思います。

自動車の購入費や維持費捻出には、生活費の見直しと有利なローン商品選びで!

「どんな車をいつ買うか?」については、目先の税金の損得よりも、家族構成やライフスタイルを優先して考えるのが原則です。

たとえば、「子どもの習い事や部活などの送り迎えのために」や「妻がパートとして働きに出るので通勤のために」、「家族のレジャーや帰省のために」、「日常の買い物や移動のために」など、暮らしの中で自動車が必要になる場面はいろいろあります。

そして、自動車が必要だと考えるなら、購入資金とその後の維持費を負担するだけの「家計の体力」をつけなければなりません。

まず、目標を立てて購入資金を蓄えることが重要です。家計からできるだけ余分な支出を排除して、貯蓄余力を生み出します。家計簿をしっかりつけて分析し、「ムダ」と「必要」の仕分けを行います。「ムダ」なお金は、必ず貯蓄に充当するようにしましょう。さらに、生命保険などの家計の固定費を見直します。生命保険は、見直すだけで支払う保険料の大幅な削減につながることがあります。これまで見直しを検討したことがないのなら、ぜひ検討してみてください。このような家計の見直しは、購入時の自己資金作りにも、購入後の維持費捻出のためにも役立ちます。

早めの購入をしたいなら、自動車ローンの活用も選択肢のひとつです。

ここ1~2年以内に購入しようと思っているのなら、少し急いで消費税が上る前に取得してもよいでしょう。

自動車ローンを活用する場合は、その後の返済を有利且つ円滑に行うためにも、慎重な商品選びをしたいものです。さまざまな商品を比較検討し、金利やコストをできる限り抑えるのがポイントです。

イー・ローンの「自動車ローン」カテゴリにあるナビゲート機能を使えば、金融機関別、人気ランキング、お住まいの地域、借入条件などの項目から自動車ローンの候補を絞り込むことができます。また、気になる商品を見やすい一覧表にして簡単に比較することもできます。返済シミュレーション機能を使えば、購入後の返済負担を具体的にイメージすることも可能です。

自動車を購入した後は、自動車税などの税金以外にも、自動車保険、車検、ガソリン代など、さまざまな支出が待ち受けています。自動車保険はネット損保など、保険料の安い商品がいくつも販売されています。ガソリン代も会社によってさまざまな特典やポイントが用意されています。情報を集めてそれらをうまく活用し、できるだけ維持費も抑える工夫をするようにしましょう。

私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。株式会社 ワーク・ワークス代表取締役。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2013年11月08日