第400回

コストを意識して、車との付き合い方を考えよう

家計に少しゆとりが出てきたので、車を買おうかと考えています。車を持つのは初めてなので、家計管理上、どんなことに気を付けたらいいか教えてください(T・Oさん 32歳 神奈川県)
車は所有しているだけでかなりのコストがかかります。その所有コストに見合う使い方をするかを考えてから購入を検討しましょう。現在は、購入(所有)以外にも車を使える方法があり、使用頻度や走行距離などの使い方によっては、購入よりも低コストですむ場合もあるからです。買い替えや、2台目の購入を検討している人も、コストを意識して車との付き合い方を考えるようにしましょう。

車との付き合い方はさまざま

最近では、レンタカー事業やカーシェアリング事業、オートリース事業への異業種からの参入も増えています。それに伴って、車との付き合い方も多様化しています。その付き合い方とは、「カーシェアリング」、「レンタカー」、「オートリース」、「購入」と大きく4つに分かれます。
「カーシェアリング」は、事業会社に前もって会員登録をしておき、使いたいときだけ車を借りて乗るシステムです。つまり、会員同士で車をシェアし合うということです。初期費用として入会金または登録手数料、ICカード発行手数料がかかり、その後は、借りても借りなくてもかかる月額利用料金と、借りた時間(10分・15分単位など)と走った距離に応じて加算される時間料金+距離料金がかかるのが一般的です。この料金の中に、車を所有することでかかるコストはすべて含まれます。まだ、全国規模で普及している状況ではありませんが、徐々に参入企業が増えており、使い勝手はよくなりつつあります。
「レンタカー」は、車を借りるという点ではカーシェアリングと同じですが、レンタカーは不特定多数で利用するので、初期費用や月額利用料金などはかかりません。借りるつど、時間に応じた料金とガソリン代がかかるだけです。レンタカーの歴史は古く、参入企業も多いため、全国規模で利用できます。
「オートリース」は、2~5年程度の使用期間と予想走行距離を設定し、その期間中だけ車を借りるシステムです。つまり、購入してはいないが購入した場合と同じように、いつでも自由に使えるということ。分割ローンで買うより安く車を利用でき、車を所有することでかかるコストを含めてリース代が設定されるプランを選べば、別に負担するのはガソリン代と駐車場代だけですみます。比較的新しいシステムですが、これから参入企業も増えると思われます。

コスト意識を持ってカーライフを送ろう

車との付き合い方によって、コストも変わってきます。車を購入して保有し続けることでかかるコストには、各種税金、車検代、メンテナンス費用、自動車保険料、駐車場代、ガソリン代など多岐にわたります。そのコストを月に換算すると、いくらくらいになるか計算して他と比べてみるのがいいと思います。それぞれのコストについて、おおまかに計算してみました。車種や乗る頻度、駐車場代の金額などによって金額は変わりますので、ひとつの目安として参考にしてみてください。

  • ■「自動車購入」1500ccクラスのファミリーカー
    ⇒月約6~7万円
  • ■「オートリース」1500ccクラスのファミリーカーを6年間リースした場合
    ⇒月約3万円+ガソリン代+駐車場代
  • ■「レンタカー」1回6時間利用・走行距離200kmで月4回利用した場合
    ⇒月約3万6000円
  • ■「カーシェアリング」1回6時間利用・走行距離200kmで月4回利用した場合
    ⇒月約3万3000円

コスト面から言えることは、週1回くらい30分~1時間くらいの「ちょこっと乗り」ならカーシェアリング、週1回6時間以上乗るならレンタカー、毎日のように頻繁に乗るならオートリースか所有が向いているということです。

車を所有するしないは各人の価値観も関係しているのでコストだけで判断することはできませんが、コストも意識してカーライフを送るといいですね。T・Oさんの場合は、ご購入を前向きに検討される様子ですので、エコカーなどの減税対象車や、中古車購入なども視野に入れて検討してみてください。

私が書きました

小川 千尋 (おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー。

1994年ファイナンシャル・プランナー資格取得。資格取得後、以前から携わっていた出版物の編集・執筆の経験を活かし、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー誌や一般誌、新聞、ウエブサイトなどのマネー記事の編集・執筆・監修などの執筆関連業務および個人のライフプランなどの相談業務、セミナー講師として活動。

※執筆日:2011年01月07日