第375回

自分に合った借入を判断するポイント

入社3年目。いろいろなお付き合いも増えてきたので、今後はお金を借りる機会があるのではないかと思っています。しかし、お金を借りるにしてもいろいろな種類があるようです。利用する前に知っておくべきことはありますか? (Kさん 25歳)
“お金を借りる”には2つの方法があります。「目的に合わせた分だけ借りられる」か「いざという時にいつでも借りられる」か、どのように利用したいのかを考えて自分に合ったものを選びましょう。

“お金を借りる”の2つの仕組み

ひとくちに“お金を借りる”といっても、その仕組みには2種類あります。ひとつが「証書貸付」で、もうひとつが「極度貸付」。ただし、商品名やパンフレットにこのような名称がついているわけではありませんので、この言葉自体を覚える必要はありません。大事なことは、“どんなときにお金を借りたいのか”を明確にして、それに合った貸付がどちらなのか判断できるようになることです。
 では、2つの違いは何でしょうか?それは「借入限度額」です。「証書貸付」は当初借りたお金が借入れの上限となり、返済が進むにつれて残高が減っていきます。それに対して「極度貸付」は借入限度額の範囲内であれば、借入れと返済を繰り返すことができます。つまり、返済が進んでも残高が増えたり減ったりするわけです。
 どちらが向いているのかはお金を使う目的によって異なりますので、次項でご説明しましょう。

“使いみちが決まっている”なら「証書貸付」

「証書貸付」は、自動車ローンや教育ローン、おまとめローンなどが対象になります。

<メリット> 比較的低金利で、完済までのスケジュールが明確
借入れ時に返済金額、金利、返済期間が決まるため、完済までのスケジュールが明確です。また、利用目的が制限されるため、比較的金利は低くなっており、返済の負担を軽くすることができます。

<デメリット> 資料の準備など、審査に時間や手間がかかる
目的に合わせてお金を借りるため、その目的に合っているのかなど、そのつど金融機関は審査を行うことになります。そのため、審査に必要な資料を準備したり、審査自体に時間がかかるなど、急いでお金を準備したい時には、早め早めに行動することが大切です。

<向いているのはこんな人!> 使いみちが決まっていて、その目的を達成したい時に
マイカーの購入やスキルアップのための資格取得、リフレッシュのための海外旅行など、お金の使いみちが明確な人に向いています。また、すでに複数からお金を借りていて、それを一本化するためにおまとめローンに借り換えたいという人も検討してみてください。

(※)おまとめローンを検討したい人は、コチラもご覧ください。

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“いざというときにすぐ借りたい”なら「極度貸付」

「極度貸付」は、キャッシングやカードローンなどが対象になります。

<メリット> 必要なときに、いつでもすぐにお金が借りられる
利用目的が制限されず、お金を借りるときの審査に時間がかかりません。また、審査が完了したらすぐにお金を借りることもでき、時間的なロスを防ぐことができます。借入限度額の範囲内であれば、借入れと返済を繰り返せるので利便性が高くなっています。

<デメリット> 残高が変わるため、完済までのスケジュールが立てにくい
借入れと返済を繰り返しても月々の返済額が大きく変わらず、その分返済期間が延びるので、完済までのスケジュールが立てにくくなります。また、金利は比較的高めに設定されており、身の丈を超えてお金を借りると家計の負担になる可能性があるので、しっかり管理することが大切です。

<向いているのはこんな人!> 手持ちのお金が不足しているときなど普段使いに
急な飲み会が入ってお金が足りない、手持ち資金は足りないがタイミングを逃さずに購入したいものがあるなど、ちょっとお金が足りないが、後からすぐに補填できるような人に向いています。

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このように、「証書貸付」か「極度貸付」を選ぶ際は、どちらが良いか悪いかではなく、自分に合う貸付はどちらなのか判断したうえで活用しましょう。

私が書きました

中森 順子 (なかもり じゅんこ)

ファイナンシャル・プランナー。

プログラマー・SEを経験後、結婚を機に税理士事務所へ転職。企業の税務・社会保障・融資のサポートなど幅広く経験。個人のお金に関する相談が増えたことから、FP資格を取得。10年勤務後、個人の家計サポートに集中すべく、2003年に独立。住宅購入や資産運用、保険見直しなど、自分自身の経験も交え、執筆・セミナー・相談と幅広く活動中。家計診断は500件以上の実績あり。

※執筆日:2010年07月12日