第338回

不動産担保ローンの本申込はなぜ「来店必須」なの?

不動産担保ローンのウェブ仮申込を終えたのですが、「店舗への来店の上、面談と本申込を」と案内されました。必要書類は揃っているし、わざわざ行くのも面倒なので、何とかならないでしょうか?
確かに、時間をとって金融機関の窓口を訪問するのは面倒なことかもしれません。しかし、お金を借りたあとには返済義務を負わなければなりません。店舗への訪問を、逆に、ローンに関するさまざまな知識を手に入れるチャンスだととらえ、安心感、納得感を得て「賢くローンを借りる」ことにつなげてはどうでしょうか。

借入金額が多く、返済期間も長くなるので、お互いの信頼関係を作ることが大事

不動産担保ローンは、自宅や賃貸マンション、土地などの不動産を担保にしてお金を借りることができるローン商品です。 担保があるために、無担保ローンにくらべると、金利が低い上に、多くの金額を借りることができ、返済期間も長くすることができます。

長期間で多くの金額を借りることになるので、あらかじめ借り手と貸し手の間にしっかりした信頼関係を築いておくことが大切です。 その第一歩が、申込時の面談です。

面談では、電話やメール、書類のやり取りだけよりも、ローンに関する情報をたくさん手に入れることができます。 また、担当者から有益なアドバイスやヒントを得られるかもしれません。 安心、納得して借りるためにも、金融機関の店舗へ出向くことを面倒がらず、逆に、借入をする自分にとってプラスだととらえてはいかがでしょうか。

金融機関に出向いたときに確認したいポイント

ローンは、「いま必要なお金を借りられればいい」だけではありません。 そのあと「いかに返済をするか」が重要です。借入後の負担のことを考えると、 あらかじめ返済のことも熟慮した上で契約に臨んだほうがいいでしょう。 そのためにも、金融機関の担当者に疑問をぶつけ、ポイントを率直に尋ね、相談しましょう。
確認すべきおもなポイントは次のとおりです。
・変動金利、固定金利などの金利タイプのそれぞれのメリット・デメリット
・登記費用、印紙税、手数料など、借入時にかかるコストの目安
・借入限度額
・最長借入期間
・繰上返済の方法とそのコスト
・融資審査の内容(担保評価や収入要件の基準など)

これらのことを確認し、さらに今後の家計の収支状況と、返済額・返済期間のバランスに配慮して無理のない借入をするようにしましょう。 複数の条件のシミュレーション結果を比較すると、具体的な検討を加えることができます。

なお、インターネットで仮申込をしたあと、金融機関に出向いて本申込をしたとしても、担保となる不動産の評価などによっては、 希望する金額の借入ができない場合があるので注意が必要です。

万が一のときのことも確認しておこう

ローンには、どうしても返済期間中の金利変動や収入の変動などのリスクが付きまといます。 金融機関の窓口では、万が一、返済が滞るような場合などにどうなるかについても念のために確認しておきましょう。 遅延損害金は年率何パーセントなのか?どの程度返済が滞ると担保権が実行されて競売がなされるか? もし契約者が返済中に死亡した場合にローンはどうなるのか?など。 借入に伴うリスクとそのときの対応についても率直に説明してくれる会社を選ぶようにしましょう。

私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。株式会社 ワーク・ワークス代表取締役。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2009年10月15日