第171回

住宅ローン、金利上昇期は固定期間中でも見直しを

現在の住宅ローンの固定期間が、来年初めに終了します。これから金利が上昇していきそうで、金利見直し時にどのくらいになっているのか不安です。今のうちにできることはあるのでしょうか?
金利が上昇している時期は、固定期間中であっても金利状況によっては早めに借換えなどの見直しを行いましょう。

金利が上昇している場合の借換え

従前の住宅ローンの借換えは、現在借入れしている住宅ローンより低い金利のものに借換えをすることにより、総返済額を抑えることを目的としていることがほとんどでした。ところが、これは、将来にわたって世の中の金利の動きに影響されない「固定金利型」の住宅ローンが主流だった頃のことです。現在は、変動金利型、固定金利選択型など、将来、金利や返済額がその時の金利水準によって変動するタイプの住宅ローンの利用者が、固定金利型の利用者よりも圧倒的に多くなっています。つまり、金利が上昇してくると、将来的な返済額も上昇してしまう、またその額がいくらまでアップするかわからない、という不安から、なるべく金利が低いうちに固定金利型に借換える、もしくは固定期間が長い固定金利選択型に借換えるというケースも増えてきています。この場合には、現在の返済額はアップしてしまうことが多いのですが、それでも、今後抱える金利上昇リスクをなるべく抑えるという点から、家計の安定や安心感を得るためには有効な借換えといえます。

金利上昇リスクを抑えるための借換えは、早めの行動が必要

今後の金利上昇を不安に思いながらも「今は固定期間中だから、固定期間が終了した時点で検討すればよい」と考えている方も少なくありません。

ところが、金利上昇リスクの不安を払拭するための見直しをする場合には、固定期間が終了するのを待っていると、その時点では金利が上昇してしまった後で、現在のローンを継続するのも、借換えするにも高い金利となってしまう可能性が高くなります。ですので、金利上昇を心配を少なくするために借換えするのであれば、固定期間が終了する時期ではなく、金利が少しでも低いうちに手続きすることが必要です。住宅ローンの金利は、毎月見直されており、来月の金利がどのように動くかはなかなか把握しづらいものです。また、借換えにはさまざまな書類が必要となり、その書類の準備や、審査等の手続きで1ヶ月程度はかかりますので、「今月のこの金利で借換えたい」と思っても、実際の借換えは翌月になってしまうことも多いのです。株式などと同様で、あまりタイミングを図りすぎるとチャンスを逃しかねません。借換えが必要と思った場合には、早めに行動をするようにしましょう。

変動金利型のローンも金利上昇時には注意が必要

変動金利型は、5年間返済額が固定されているため、中には自分のローンが変動金利だと気付いていない人もいます。返済額は固定されていても、通常半年に1度、金利が見直されていますので、金利が上昇してくれば、利息支払い分が増え、その分元金の減り方が遅くなります。半年ごとに送られてくる返済予定表をよく確認し、金利上昇には十分注意するようにしましょう。

金利上昇による返済額アップにはある程度は耐えられるという判断のもと、現在の固定金利選択型や変動金利型のローンを継続する場合でも、金利見直し時にあたるその月の金利がどのようになるかは、予想しづらいものです。

思いがけず上昇してしまった場合でも対応できるよう、繰上返済用の資金も準備しておくようにしたいものです。

私が書きました

高田 晶子 (たかだ あきこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引主任者。

1985年東京女子大学卒業後、信託銀行入社。不動産業務に従事。その後、不動産コンサルティング会社を経て1996年に独立、(有)ケー・アンド・エム コンサルティングの設立に参画。目白大学エクステンション講座をはじめ各種セミナー講師や、相談業務、マネーコラム執筆等を中心に活動。

※執筆日:2006年06月20日