第162回

金利上昇に備えて住宅ローンを賢く見直し

2006年3月9日に日銀が量的緩和政策を解除して以来、少しずつ住宅ローンの金利が動き始めています。今後の金利上昇に備えて、住宅ローンを借りるとき、または借り入れ中の住宅ローンをどうするか、早目に対策を立てておきましょう。

新規の借り入れなら長期固定金利を優先

これから住宅を購入する予定の人は、できる限り長期の固定金利を選択するのが賢い方法です。

また、金利が1%上がるだけで総返済額が大きく増えます。例えば借入金3,000万円、返済期間30年で借りる場合、金利が2.5%から3.5%にアップすると利息を含めた総返済額は582万円も増えるのです。頭金が貯まるまで待つよりも、金利が上昇する前に購入したほうがいいケースもあるので、現在の貯蓄や家賃、今後のライフプランなどを合わせて購入時期を検討してみましょう。

<借入金3,000万円、返済期間30年の総返済額比較>
  毎月の返済額 30年間の返済総額
金利
2.5%
11万8,536円
4,267万3,057円
3.5%
13万4,713円
4,849万6,826円
差額
+ 1万6,177円
+ 582万3,769円

(元利均等返済・毎月払いのみ)

変動金利で借りている人は未払い利息に注意

変動金利で借りている場合、半年ごとに金利が見直されますが返済額は5年間そのまま。その間に金利が上昇すると毎月の返済額より利息の方が多くなり、「未払い利息」が発生する可能性があるので注意が必要です。

あなたの場合、金利が何%になると未払い利息が発生するでしょうか?毎月の返済額と残債をもとに、「毎月の返済額×12ヶ月÷残債×100」で計算してみましょう。

例えば、毎月の返済額が10万円、残債が3,000万円の場合

          「10万円×12ヶ月÷3,000万円×100=4%」

つまり、4%になると毎月の返済額と毎月支払う利息が同額となり、元本の返済ができなくなります。そこが「未払い利息の臨界点」です。金利が4%を超えると、元本が返済できないばかりか、支払い切れない利息がどんどん増えていくことになるのです。

未払い利息の発生まではいかなくても、金利が上昇すれば利息が増えていくことは確実なので、変動金利で借りている人は長期固定金利タイプへの借り換えを早めに検討することをおすすめします。

短期固定金利タイプの人も「今」検討を!

3年固定や5年固定などの固定金利選択型ローンを借りている場合、固定期間が終わる頃に検討すればいい、と思っていませんか? でも、そのときには金利が今以上に上がっている可能性が大きいです。今のうちに固定期間の長いタイプへ借換えることも選択肢に入れて検討しておきましょう。

私が書きました

上野 やすみ の写真

上野 やすみ (うえの やすみ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、キャリアカウンセラー(CDA)。

大学卒業後、クレジットカード及びキャッシングの企画販促業務を経て2000年にFPとして独立。ライフプラン全般の相談業務やコラム執筆のほか、女性のためのキャリア&マネー講座を展開。自分らしく生きるための「仕事やお金」のプランニングを支援している。産経新聞、日刊ゲンダイなどでマネーコラム連載中。

※執筆日:2006年04月13日